オズのケーキ
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第十幕その四
「お聞きしたいことがあるんですが」
「何かしら」
「このケーキは」
今ケーキが作っているそれはというのです。
「お城ですけれど」
「ええ、奇麗でしょ」
「お城といいましても」
それは確かでもというのです。
「宮殿ですね、これはエルミタージュですね」
「私がお家にいる時に見た写真を元に作ったの」
「そうなんですか」
「ええ、オズの国にはこの宮殿もあるの」
「エルミタージュも」
「美術館としてあるの」
この宮殿はというのです。
「ちゃんとね」
「そうだったんですね」
「王室が持っている美術館の一つよ」
「それは外の世界のエルミタージュと同じですね」
「どう同じなのかしら」
「はい、エルミタージュはロシアにありますけれど」
つまりナターシャのお国にです。
「最初はエカチェリーナ女帝が建てて」
「そうの人がなの」
「ロシアの偉大な女帝だった人で」
「オズマ姫みたいな?」
「立場は近いかも知れないですね」
そのオズマと、というのです。
「女の人で国家元首でしたから」
「そうなのね」
「大人の人でしたけれど」
そこは違うというのです。
「それでもです」
「女の人で国家元首だったことは同じね」
「それで文学や芸術や哲学はお好きで」
「そこもオズマ姫に似ているわね」
「そうですね、そして」
さらに言うナターシャでした。
「その人が建てさせた宮殿で今は」
「美術館になっているのね」
「はい」
そうなっているというのです。
「そしてですね」
「オズの国でもなのね」
「美術館で」
それでというのです。
「とても奇麗だから」
「こうしてですね」
「ケーキのモデルに使ったけれど」
「まさかオズの国にエルミタージュがあって」
それでと言うナターシャでした。
「こうしてケーキとして見られるなんて」
「思わなかったのね」
「夢にも」
「そうだったのね」
「ですから」
それでというのです。
「本当に嬉しいです」
「いや、オズの国は不思議の国だけれど」
神宝はそのケーキを皆と一緒に作りつつ言います。
「こうした不思議もあるんだね」
「まさかここにもエルミタージュがあって」
ジョージの手も動いています。
「こうしてケーキのモデルにもなるとか」
「これもまたオズの国ということね」
恵梨香はケーキの屋根を作っています、五人共それぞれケーキの指示通りに動いてテキパキと作っています。
「お伽の国で」
「不思議なことが一杯あって」
それでと言ったのはカルロスでした。
「まさかということもあるのね」
「もう何でもあるのがオズの国で」
それでとです、ナターシャはまた言いました。
「こうしたこともあるんですね」
「そうね、アメリカにはナターシャのお国から来た人もいるのよね」
「ロシア系の人もですね」
「そうよね」
「アメリカはそうした国ですから」
移民の国なので世界中から人が集まる国です、だからナターシャのお国であるロシアからも人が来ているのです。
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