| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第九十九話 厳島の合戦その九

 二国は程なく毛利家のものとなった、石見の大内家の領地もだった。
 そこでだ、元就は言った。
「さて、後はな」
「しかとですな」
「領地を治めてな」
 吉田郡山城で元網に話した。
「そしてじゃ」
「足場を固めたうえで」
「尼子家と戦う」
「それでは」
「周防と長門の兵も手に入った」
 陶が率いていた彼等もというのだ。
「無事にな」
「それだけにですな」
「兵も揃っておる」
「尚よしですな」
「左様、あと大友殿とのことだが」
「盟約を結びますな」
「そうする、わしは九州には進まぬ」
 それはしないというのだ。
「海の方の守りは固めるが」
「それでもですな」
「それ以上はな」
 これといってというのだ。
「せぬ」
「九州には進まず」
「大友殿にお任せする」
「大友殿は筑前や筑後を領地にされましたな」
 元網はその大友家の話をした。
「そうされましたな」
「左様であるな」
「ならば」
 これといってというのだ。
「何もせぬ、大友殿に筑前等大内家の領地だった国の兵達はお渡しした」
「それも皆」
「それで大友殿の領地を守ってもらう」
「我等の為に」
「どうも島津家が気になる」
 元就は鋭い目になり述べた。
「わしはな」
「薩摩及び大隅を治め」
 隆元が言ってきた。
「そこから北にですか」
「九州を攻め上ってな」
 そしてというのだ。
「肥後、日向、肥前、豊後等と攻め上がり」
「そしてですか」
「大友家そして龍造寺家ともな」
「ことを構えますか」
「そうなるのではないかとな」
「父上は思われますか」
「うむ、だからな」
 それ故にというのだ。
「わしとしてはな」
「大友家にはですか」
「強い勢力になってもらい」
「大友家を防いでもらう」
「そうしてもらいたいのじゃ」
 これが元就の考えなのだ。
「是非な、それでじゃ」
「だからですか」
「わしは大友家には一切手を出さぬ」
「島津家の守りとなってもらう為に」
「盟約も結びな」
「大友家には九州に専念してもらいますか」
「大友家は波はある様だが出来た御仁じゃ」
 主の彼もというのだ。
「実は博多の街は欲しいが」
「それでもですか」
「あの街もな」
 豊かなその街もというのだ。
「求めぬ」
「左様ですか」
「周防と長門だけでな」
「よいですか」
「あくまでな」
「では父上」
 今度は元春が言ってきた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧