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おぢばにおかえり

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第五十九話 先輩と神戸でその三十二

「もっと酷い人になっていたわ」
「残酷で意地悪い人にですか」
「なっていたわ」
「想像出来ないですけれど」
 私にはです。
「先輩がそうした人になることは」
「ちっちは私のこと美化してるのよ」
「そうでしょうか」
「ええ、凄くね」
「けれど私から見たら」
 本当にです。
「凄くいい人で」
「ちっちはいつもそう言ってくれるわね」
「本当のことですから」
 私にとってはです。
「ですから今もこうして」
「一緒に遊んでるのね」
「そうです、嫌いな人だと」
 若しそんな人ならです。
「こんなに楽しくいられないですよ」
「それはね」
「先輩もですよね」
「ええ、ただちっちってあまり人の好き嫌いは」
「ない方ですから」
「そうよね」
「まあ阿波野君よりはずっとですね」
「あの子ね」
「彼は凄いですから」
 もう人の好き嫌いが明らかにはっきりしています、嫌いな相手には顔にあからさまに出るタイプだとわかります。
「自分でも言ってますけれど」
「嫌いな相手は徹底的に嫌うタイプね」
「そうなんです、困ったことに」
「私も嫌いだしね」
「はい、もう嫌いな相手は」
「お顔に出てよね」
「態度にも出まして」
 本当に露骨に出ています。
「好きな人にはにこにこしてまして」
「嫌いな人には、なのね」
「もう睨んで嫌そうな顔で」
 先輩もそんな顔で見ていました。 
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