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夢幻水滸伝

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第百四十四話 見えてきた勝利その一

               第百四十四話  見えてきた勝利
 純奈は矢を放ち敵の空船、重巡のそれを一撃で貫いた。そうしてその艦が爆発し空中で四散するのを見て言った。
「これでまた一隻」
「おう、やったのう」
 横にいる正岡が応えた。
「相変わらずええ腕してるぜよ」
「そっちもたい、その短筒の威力すごかとよ」
「これじゃな」
「さっき戦艦一撃で沈めたとよ」
「いや、わしの短筒はあれぜよ」
 笑ってだ、正岡は純奈に話した。
「わしの感情に左右されるきに」
「それでたいな」
「気分がいい時は強いがのう」
「弱いと」
「それこそ並の拳銃並ぜよ」
 それだけの威力しかないというのだ。
「それが弱点ぜよ」
「そうだったとよ」
「だからぜよ」
 正岡はさらに話した。
「おまんの為朝公の弓には劣るぜよ」
「いつも同じ威力を出せるこの弓矢とは」
「そうぜよ、そしてわしは元々ぜよ」
「戦向きではないたいな」
「正直戦よりもぜよ」
 正岡は笑って話した。
「政、特に貿易がぜよ」
「好きだったね」
「おう、貿易をしてぜよ」
 正岡は純奈にさらに話した。
「儲けてその銭で国をよくするぜよ」
「それが一番の望みたいな」
「そうぜよ、しかし」
「しかし?」
「戦するなら」
 それならとだ、正岡は純奈にこうも話した。
「全力でやるぜよ」
「そうたいな、実際あんた戦の采配もよかとよ」
「そうかのう」
「うちよりもよかとよ」
「わしはそうは思わんが」
「それでもたい、よかとよ」 
 その采配はというのだ。
「だからこの場も順調に戦えてるたい」
「それでじゃな」
「このまま攻めるとよ」
「そうじゃな、戦局はこっちにかなり傾いてるぜよ」
 日本軍が攻めている、それ故のことだ。
「最初に一撃浴びせて」
「それからたいな」
「ずっと攻めてきてぜよ」
 そしてというのだ。
「今やぜよ」
「日本がたいな」
「流れをかなり掴んでるきに」
「それなら」
「このまま攻めるぜよ」
 そうするというのだ。
「最後の最後まで」
「そうたいな、しかし」
 ここでだ、純奈は戦局を見て言った。自分で正岡の方が上と言うが実は彼女の采配もかなりのものなのだ。
「アメリカ軍もたい」
「反撃しようとしてるぜよ」
「劣勢でもたい」
「それでも反撃の機会ば伺ってるきに」
 それが軍を見てわかるのだ、彼等の動きから。
「若し反撃を許したらぜよ」
「そこからたい」
「押し切られることもあるぜよ」
「そうぜよ、だからこそ」 
 正岡はさらに言った。
「ここはその反撃の芽を摘むぜよ」
「それならたい」
 純奈は弓矢を構えつつ正岡のその言葉に応えた。 
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