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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十九話 香織さんの告白その八

「あれでね」
「よく理解者いたわよね」
「うん、リストもルードヴィヒ二世もね」
「そうした人達がいてくれてよね」
「助けてもらっていたし」 
 ただしそんな人にも不義理を働く様な人間だった。
「今だって何回も覚醒剤で捕まる人いるね」
「いるわね、あれ何でするのか」
「わからないよね」
「あんなのしたら」
 どうなるかとだ、香織さんは眉を顰めさせて言った。
「確実に身体に悪いわよね」
「どう見てもね」
「早死にするわよね」
「絶対だと思うと」
 覚醒剤なんかに手を出したらだ。
「煙草なんか比較にならない位身体に悪いから」
「そうよね」
「僕もそれがわからないけれど」
 それでもだ。94
「やる人いるからね」
「それも何度もね」
「それでね」
 その結果だ。
「身体ボロボロになって何度も捕まって」
「死ぬわよね」
「最後そうなるけれど」
「そんな人でもね」
「支えてくれる人がいるからね」
「完全に孤独な人はいないのね」
「そうだよ、こうした人でもいるから」
 中には俺は絶対に信じていると言ってそうして拘置所から保釈した時に迎えてくれる。もっともこうした人はまたするけれどだ。
「だからね」
「それでよね」
「完全に孤独とはね」
「思わないで」
「やっていくべきだよ」
 つまり生きていくべきだ。
「何といってもね」
「そこも勇気ね」
「勇気っていうと」
 僕は香織さんの今の言葉に尋ねた。
「どういうことかな」
「だから、孤独じゃないなら」
 それならとだ、香織さんは僕の今の問いに答えてくれた。
「傍にいてくれている人を信じられるでしょ」
「その信じることがなんだ」
「勇気がいることだから」
「それも勇気って言うんだ」
「あと生きていくこと自体が」
 このこともというのだ。
「勇気がいるでしょ」
「普段はそう感じなくても」
「辛い時ってそうよね」
「そうだね、あまりにも辛いと」
 その時はだ。
「もうね」
「辛くて逃げ出したくなるでしょ」
「自殺もね」
 この最悪の行為もだ。
「考えてしまうよ」
「そうでしょ、辛い時にはね」
「そうしたことも考えるから」
「だから生きることにもね」 
 この何でもないと普段考える様な時でもというのだ。
「勇気が必要だってね」
「香織さんは思うんだ」
「そうなの、実際に自殺なんかしたら」
 それはとだ、香織さんは苦い顔で僕に話した。
「こんな残念なことはないでしょ」
「うん、自殺をしたら自分が痛いだけじゃないよ」
「周りの残された人達がね」
「物凄く悲しくなるから」
「残念にも思うわね」
「人間親しい人が亡くなったら残念に思うよ」
 このことだけでだ。 
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