ミンツチカムイ
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第二章
「よし、いけ」
「やってくれ」
「疱瘡神を退治してくれ」
「やっつけてくれ」
「この地に入れないでくれ」
「流行り病なんかもたらさせないでくれ」
こう口々に言って応援する、そしてだった。
疱瘡神は人形達に負けて今日本に向かう船に乗ってだった、這う這うの体で逃げ出した。シャクインはその様子を見てアイヌ達に言った。
「これでだ」
「難を逃れたか」
「疱瘡神は逃げて」
「流行り病は来ないか」
「そうなんだな」
「ああ、助かったぞ」
まさにというのだ。
「これでな」
「そうか、よかった」
「それは何よりだ」
「流行り病なんてはやるとな」
「とんでもないことになるからな」
「そうだ、わし等は助かった」
シャクインはアイヌの者達に笑顔で話した。
「無事にな、それでだ」
「それで?」
「それでというと」
「まだ何かあるのか」
「そうだ、見るのだ」
ここでシャクインは港を指差した、そのうえでの言葉だった。
「ここをな」
「港をか」
「この場所を」
「一体何があるんだ」
「わし等が作った草人形達は戦ってくれた」
その疱瘡神と、というのだ。
「そうしてくれたな」
「そのことか」
「そのことか」
「そういえばな」
「草人形達は皆」
アイヌの者達も港を見た、彼等と疱瘡神達が戦ったその場所では。
草人形達が倒れて動かなくなっていた、戦が終わりカムイ達も去り今はその場にそうなっているだけだ。
その彼等を見つつだ、シャクインはさらに話した。
「折角戦ってくれた、なら供養しよう」
「折角戦ってくれたしな」
「わし等の為に」
「そして疱瘡神をやっつけてくれた」
「それならか」
「このまま放っておいては駄目だ」
こう言うのだった。
「だからだ」
「これからだな」
「草人形達を皆拾って」
「そのうえでか」
「供養するか」
「それが筋だ」
人のとだ、シャクインは話した。
「ではいいな」
「わかった、それならな」
「皆で草人形達を集めよう」
「そして一つにして供養しよう」
「人形にも供養が必要だしな」
「丁重に弔おう」
アイヌの者達も頷いてだった、そのうえで。
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