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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百七十九話 香織さんの告白その六

「間違ってるよ」
「人としてね」
「そこまでしたら言った人と同じというか」
「もっと酷いわね」
「うん、したらいけないよ」
「そこまではね」
「香織さんも思うよね」
 僕もここで香織さんに尋ねた。
「そう」
「思うわ、流石にね」
「そこまではしたら駄目だね」
「自分を傷付けた相手は何十倍にして傷付け返すのよね」
「そうした意気込みで実際にね」
「そんなこといつも恨みを心に抱いてる人のすることよ」
 香織さんははっきりとした口調で言い切った。
「もう憎悪とかの塊になっていて」
「心も歪んでいて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「もう嫌いな相手、恨んでる相手は徹底的に嫌って恨んで」
「徹底的に行うね」
「そこまでいったら逆に報いが来るわ」
「言われたことは別にして」
「そのうえでね」
「まあそうなるよね、因果応報だからね」 
 これは世の中の摂理だと親父が言っていたけれど僕がいつも思うことでもある。人は悪事の報いは絶対に受けるものだ。
「やられた分はまだね」
「目には目でも」
「何十倍もやり返したら」
 それこそだ。
「駄目だよ」
「傷付けられたから傷付け返せ」
「そこも極端に至ったら」
「駄目よね」
「本当にね」
「義和もそう思うのね」
「その特撮キャラ死んだし」
 作品の最後の方にだ。
「それもとんでもない死に方でね」
「そうなったから」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「そんな風になっていいなら別だけれど」
「それでもよね」
「そんなことはしないで」
「適度ね、やり返すことも」
「もう何十倍もしつこく何度もしたら」
 そうした人はいつも恨んでいて憎んでいる、だからやり返しても気が晴れない。もうそうした感情に心を支配されているのだ。
「駄目だよ」
「流石にね」
「それで前向きにならないと」
 そうした感情を何とか抑えて消してだ。
「そしてね」
「前に向かって歩くことね」
「そうすべきだよ、ずっと復讐を考えていたら」
 そして実行に移したらだ。
「よくないよ」
「後ろ向きだからね、復讐って」
「確かに特撮ヒーローでもいるけれど」
 昔からそうしたヒーローも確かに存在している、けれどそうしたヒーローはあくまで正統派のアンチテーゼだ、アンチテーゼはその対象が存在しないと成り立たないものだ。そうした意味で第一ではない存在だ。
「それでもね」
「復讐だけだとよね」
「最後はね」
 もうそれこそだ。
「辿り着く先はよくないよ」
「光がないわよね」
「うん、袋小路で」
 復讐の先にあるものはだ。
「最後にあるのはね」
「何かっていうと」
「もう何もないよ」
 それこそだ。 
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