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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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―Cyber VS HERO―

 
前書き
新年、明けましておめでとうございます。 

 
 アイドル決定戦からまた、しばらく経った。

 相変わらずの白い制服姿である万丈目に詰め寄ってみるも――それしか出来ないのが悲しいところだ――万丈目は、「白は全てを司る神秘の色! どこにそんな俺に相応しい色を身につけない理由がある!」などと、訳の分からないことを叫び、取り合ってもらえない。

 エドも現れず、結局、俺は何も出来ないのだった――


 デュエル・アカデミアのブルー寮、大ホール。
そこで、俺と三沢は二人でたてつけられた大きなテレビを見ようとしていた。
周りには生徒の数も多く、その誰もがテレビ画面を今か今かと待ちわびている。

 本来ならば、明日香やレイも誘いたかったものの、デュエル・アカデミアのブルー女子寮が男子禁制であるように、その逆もまたしかりなのだ。
このルールは、意外と昔ながらの考え方を持ったクロノス教諭が定めたもので、ブルーの男子生徒からは大ひんしゅくを食らったものの、「どうせ女子生徒はこっちに近づかないノーネ!」というクロノス教諭の言葉(現実)に黙るしかなかった。

 翔や剣山らのグループを誘っても良いが、彼らはオシリス・レッドの方で見るだろう。
明日香やレイも同様に、彼女たちの居場所で見るだろう。

 何故ならば、今回テレビで描かれるのは、デュエルモンスターズのプロリーグのデュエルの中継。
いや、それだけならば見ない生徒――具体的に言うと十代のような生徒―もいるだろうが、今回の戦いはまた別だ。

『さあーいよいよ始まるぞぉ、今回の対戦カードは……』

 プロリーグのMCが開催を告げるにつれて、大ホールに集まった生徒が一旦ざわめくが、次第に静かになっていった。

『どちらもプロ入りを果たしてからは連戦連勝の二人! カイザー亮こと丸藤亮VSエド・フェニックスー!』

 そう、今日のプロリーグの戦いは亮とエドの戦い。
俺にとっては、親友と倒すべき奴とのデュエルであり、一般的には連戦連勝を続ける人気のプロデュエリスト同士のデュエルでもある。

「遊矢。君はこのデュエルをどう見る?」

「分からない……としか言いようが無い。お前もそうだろ、三沢」

 問いかけてきた三沢も、その答えは予想していたのだろう、俺の質問に即座に頷いた。

 分からないとしか言いようが無い、などという答えを出すことは、俺はともかく三沢の分析力からしたらとても珍しいことだ。
しかし、それも仕方のないことで、実力を良く知る亮はともかく、エドの方はまだ未知数……いや、強いことは良く知っているのだが、あいつは今まで「仮のデッキ」と称し、毎回別のデッキを使ってきていた。
そして、今回の亮とのデュエルを以て、自分の本来のデッキを使う、とのことだ。

 いくら三沢でも、デッキタイプが解らずに考察など出来るわけがない。
……いや、少しだけなら知っているか。

「DESTINY.DESTROY.DEATHの3つの意味を持つヒーロー……《D-HERO》……だったか? それはどうなんだ?」

 エドと十代のデュエルの顛末は、明日香と三沢、レイには話してあるために、D-HEROのことは知っている。
言いふらさないように、とは約束してあるが。

「ああ、あれがエドの本来のデッキなんだろうが……俺は《ダイヤモンドガイ》しか見てないからな……」

 俺と三沢が実にならない考察を続けている間に、テレビでは二人のデュエルが始まろうとしていた。

『さあ準備は良いかー! デュエル・ディスク、セ~ット、オン!』

『デュエル!』

亮LP4000
エドLP4000

『まずは俺のターンから、ドロー』

 先攻はどうやら亮がとったようで、先に亮がカードを引く。

『俺は《サイバー・フェニックス》を召喚』

サイバー・フェニックス
ATK1200
DEF1600

 先攻一ターン目という状況では、サイバー・ドラゴンを出すことは出来ない。
そこで様子見として現れるのが、サイバー・フェニックスであった。

『更に《タイムカプセル》を発動し、ターンエンド』

『僕のターン、ドロー!』

 亮のデッキのカードが一枚、タイムカプセルによって地下に沈み、エドのターンへと移る。
さて、どんなデッキだ……?

『僕は《E・HERO スパークマン》を守備表示で召喚する』

E・HERO スパークマン
ATK1600
DEF1400

 様々な融合素材となる、光り輝くE・HERO……攻撃表示にしてもサイバー・フェニックスは突破出来ないために、守備表示にするのは順当だろう。

『おおっーと、エドのフィールドに現れたのは、何と《E・HERO》だぁー!』

 MCの声と共に、会場もこの大ホールも驚愕に包まれる。
しかし、デュエル中の二人はそれに構わずデュエルを続行した為に、すぐさま驚愕から見物にシフトした。

『カードを一枚伏せ、ターンを終了する』

『俺のターン。ドロー』

 どちらもまずは様子見、と言ったところであろうか。
主力モンスターを展開せずに、最初のターンは睨み合いで終わった。

『俺は《サイバー・ヴァリー》を召喚』

サイバー・ヴァリー
ATK0
DEF0

 亮が出したのは、またもや防御向きのモンスターであるサイバー・ヴァリー。
亮にしては珍しく、タイムカプセルの効果が発動するまで耐えきるつもりなのだろうか……?

「……先手を打つのはカイザーか」

 横にいる三沢のつぶやきに、ようやく亮の狙いを予測する。

『サイバー・ヴァリーの第二の効果。サイバー・フェニックスとこのカードを除外することで、二枚ドロー』

 二枚ドローすることでモンスター二枚分の損失を消しつつ、後続のサイバー・ドラゴンの為にフィールドをがら空きに出来る第二の効果。
第一の効果ばかり目にいくために忘れがちだが、十二分に強力な効果だろう。

『そして、サイバー・ドラゴンを特殊召喚』

サイバー・ドラゴン
ATK2100
DEF1600

 亮の主力モンスターである、サイバー・ドラゴンがフィールドに特殊召喚される。
サイバー・ヴァリーの効果により、エドのフィールドにのみしかモンスターがいなくったことにより、だ。

『バトル。サイバー・ドラゴンで、スパークマンを攻撃! エヴォリューション・バースト!』

 守備表示故にエドにはダメージは通らないが、スパークマンは光線により破壊される。

『スパークマンが破壊された時、《ヒーロー・シグナル》を発動! そのエフェクトにより、デッキから《E・HERO バーストレディ》を特殊召喚する!』

E・HERO バーストレディ
ATK1200
DEF800

 普通のE・HEROよりも、肌の色が深いバーストレディが、スパークマンから出たシグナルにより現れた。

『カードを一枚伏せ、ターンエンド』

『僕のターン、ドロー!』

 さて、十代の時と同様に、わざわざ下級のE・HEROの中でもステータスが低いバーストレディを選んだのだ。
理由は一つしか無いだろう。

『《融合》を発動! 手札のフェザーマンとフィールドのバーストレディを融合し、《E・HERO フェニックスガイ》を融合召喚!』

E・HERO フェニックスガイ
ATK2100
DEF1200

 先程亮が使用した、サイバー・フェニックスと同様に不死鳥を模したHERO。
あちらと違い、フェニックスガイの効果はまさしく不死だ。

『バトル! フェニックスガイで、サイバー・ドラゴンに攻撃! フェニックス・シュート!』

 攻撃力は2100と全く同じだが、フェニックスガイの方には効果がある。
亮もそれを知っているのだろう、いつもの仏頂面の中に若干苦々しい顔をした。

『攻撃力は同じだが、フェニックスガイには戦闘で破壊されないエフェクトがある』

 エドのその宣言通り、サイバー・ドラゴンが一方的に破壊されてしまった。

『僕はこれでターンエンド』

『俺のターン。ドロー
……スタンバイフェイズ、《タイムカプセル》によって除外したカードを手札に加える』

 ここで加えるとすれば、爆発力がある《パワー・ポンド》。
もしくは、安定性のある《融合》……どちらにせよ、次の亮の手は決まっている。

『リバースカード、オープン! 《リビングデッドの呼び声》を発動し、墓地からサイバー・ドラゴンを特殊召喚する』

 フェニックスガイには勝てないと分かっていながらの、サイバー・ドラゴンの特殊召喚。
あの無意識負けず嫌いは、発動する魔法カードまでやり返すつもりだろうか。

『《プロト・サイバー・ドラゴン》を召喚し、《融合》を発動!』 

 召喚されたプロト・サイバー・ドラゴンには、フィールド場にいる時は名前が《サイバー・ドラゴン》となる。
《融合解除》などとは併用しにくいが、有効な融合サポートになる。

『フィールドにいる二体のサイバー・ドラゴンを融合し、《サイバー・ツイン・ドラゴン》を融合召喚!』

サイバー・ツイン・ドラゴン
ATK2800
DEF2100

 選択されたのは、《パワー・ポンド》ではなく《融合》の方か。
何が来るか分からない一ターン目、ハイパワーよりも安定性を選んだようだ。

『バトル! 破壊はされないが、ダメージは受けてもらう。サイバー・ツイン・ドラゴンで、フェニックスガイに攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!』

 リバースカードも無かった為に、フェニックスガイは二つの光線をもろに受け、エドがその余波に巻き込まれる。

『……くっ』

エドLP4000→2600

 これで、初期ライフの半分近くのダメージがエドに与えられ、会場の観客の亮に対する声援が強くなる。

『ターンエンドだ』

『僕のターン、ドロー!
魔法カード《テイク・オーバー5》を発動し、セメタリーに五枚のカードを送る』

 優秀すぎる墓地肥やしカードが発動され、エドが一枚のカードをデュエルディスクの特別な場所にセットした。

『フィールド魔法《摩天楼-スカイスクレイパー-》を発動!』

 プロリーグの会場がアメリカの高層ビル街となっていく。
その名の通りにスカイスクレイパーとなり、その頂上にはフェニックスガイが立っていた。

『サイバー・エンドならばともかく、ツインなど敵ではない……バトル! フェニックスガイで、サイバー・ツイン・ドラゴンに攻撃!』

 このままではただの自爆であり、現にこちらのホールでは数名から失笑がこぼれたが、エドは構わずにフェニックスガイに攻撃を命じたままだ。
それもそのはず、スカイスクレイパーから飛び降りたフェニックスガイは、その勢いにより攻撃力が1000ポイント上がっていったからだ。

『スカイスクレイパーのエフェクト。HEROが自身よりも攻撃力が高いモンスターとバトルする時、その攻撃力が1000ポイントアップする! スカイスクレイパー・シュート!』

 スカイスクレイパーによって、サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃力を上回り、そのまま炎を纏った体当たりによりサイバー・ツイン・ドラゴンを破壊した。

『く……』

亮LP4000→3700

 ダメージは微々たるものだが、サイバー・ツイン・ドラゴンを破壊されたのは亮にとっては痛い。

『カードを一枚伏せ、ターンエンド』

『俺のターン。ドロー』

 エドのフィールドには、戦闘破壊耐性持ちのフェニックスガイに、リバースカードが一枚……亮のフィールドには何もない。

『俺は《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》を守備表示で召喚』

サイバー・ドラゴン・ツヴァイ
ATK1500
DEF900

 プロト・サイバー・ドラゴンとはまた違う、サイバー・ドラゴンの融合サポートの為の亜種。
しかし、融合してもフェニックスガイは倒せないことは証明済みだろうに……

『サイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果。手札の魔法カードを見せることで、このカードの名前はサイバー・ドラゴンとなる』

 亮が手札から一枚見せたのは、《エヴォリューション・バースト》の魔法カード……!

『……しまった!』

『魔法カード《エヴォリューション・バースト》を発動! フィールドのサイバー・ドラゴンの攻撃を封印することで、相手モンスターを破壊する! エヴォリューション・バースト!』

 自身の効果でサイバー・ドラゴンという名称になったため、サイバー・ドラゴンの攻撃名を冠する魔法カードを扱える。
サイバー・ドラゴン・ツヴァイから放たれた光線に、フェニックスガイは貫かれて破壊される。

『エヴォリューション・バーストを使ったターン、サイバー・ドラゴンは攻撃出来ない……ターンエンドだ』

『僕のターン、ドロー!
セメタリーのテイク・オーバー5のエフェクト起動! このカードを除外することで、一枚ドローする』

 最後まで優秀なカード、テイク・オーバー5により一枚ドローする。
意外に墓地アドバンテージを良く使うHEROデッキのことだ、五枚も墓地に送ったからには何かしらのアクションがあってしかるべき……

『僕はセメタリーに眠る《E・HERO ネクロ・ダークマン》の効果を起動! レベル5以上のHEROをリリース無しで召喚出来る! カモン、《E・HERO エッジマン》!』

E・HERO エッジマン
ATK2600
DEF1800

 E・HEROの中で、もっともステータスが高い金色のHEROが、墓地のネクロダークマンのサポートもあってフィールドに降り立った。
だが、まだまだエドの快進撃は止まらなかった。

『更に《ミラクル・フュージョン》を発動! 墓地のフェニックスガイとスパークマンを除外し、カモン! 《E・HERO シャイニング・フェニックスガイ》!』

E・HERO シャイニング・フェニックスガイ
ATK2500
DEF2100

 エドのE・HEROデッキの切り札格であろうHERO、シャイニング・フェニックスガイ。
十代のシャイニング・フレア・ウィングマンと対をなした、光り輝くHEROである。

『シャイニング・フェニックスガイの攻撃力は、セメタリーのHERO×300ポイントアップする! 僕の墓地にはHEROが三体。よって、900ポイント攻撃力がアップする!』

 これで、シャイニング・フェニックスガイの攻撃力は3400にまで達し、スカイスクレイパーと併せれば、亮の切り札たるサイバー・エンド・ドラゴンをも破壊出来る攻撃力まで達する。

 しかも、亮のフィールドにいるのはサイバー・エンド・ドラゴンではなく、下級モンスターであるサイバー・ドラゴン・ツヴァイ。
見るからに亮のピンチであった。

『バトル! エッジマンで……』

『リバースカード、《和睦の使者》を発動!』

 亮とサイバー・ドラゴン・ツヴァイを守るように、二人が薄いバリアに包まれた。
攻撃しても無駄だと分かったエドは小さく舌打ちし、HEROたちの攻撃を中断させる。

『ターンエンドだ』

『俺のターン。ドロー!
……《強欲な壺》を発動し、二枚ドロー』

 気合いが入ってきた亮により、強欲な壺が破壊されて二枚ドローした。
気合いが入ってきた亮ならば、この状況程度ならば逆転するだろう……!

『俺は《死者蘇生》を発動。墓地から《プロト・サイバー・ドラゴン》を特殊召喚する!』

 万能蘇生カードを使って、わざわざステータスの劣るプロト・サイバー・ドラゴンの特殊召喚。

亮のデッキを知っているのならば、何を狙っているのかは一目瞭然だ。

『プロト・サイバー・ドラゴンの特殊召喚時、《地獄の暴走召喚》を発動! デッキ・手札・墓地から《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚する!』

 死者蘇生によって特殊召喚されたのは《プロト・サイバー・ドラゴン》であるが、プロト・サイバー・ドラゴンはフィールドでは《サイバー・ドラゴン》と名称が変わる効果を持っている。
よって、特殊召喚されたのは《サイバー・ドラゴン》であるということになり、《地獄の暴走召喚》によって純正の《サイバー・ドラゴン》が三体特殊召喚されるのだ。

 亮の使う名称変更コンボの中でも、一気に四枚の《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚するこのコンボは、一際群を抜いて強力だった。

『……僕はデッキから、もう一枚の《E・HERO エッジマン》を特殊召喚する』

 地獄の暴走召喚のデメリットとして、エドのフィールドにエッジマンが特殊召喚されるが、亮のフィールドにはサイバー・ドラゴンがなんと五体……いや、まだ一体はサイバー・ドラゴン・ツヴァイか。
……まあ、時間の問題だろうが。

『サイバー・ドラゴン・ツヴァイの効果発動。《フォトン・ジェネレーター・ユニット》を見せることで、名称をサイバー・ドラゴンに変更する』

 フォトン・ジェネレーター・ユニット……!
戦闘破壊耐性を持ったシャイニング・フェニックスガイを、どう突破するかが鍵だったが……これならば心配はいらないな。

『フォトン・ジェネレーター・ユニットを発動! プロト・サイバー・ドラゴンとサイバー・ドラゴン・ツヴァイを墓地に送り、デッキから《サイバー・レーザー・ドラゴン》を特殊召喚する!』

サイバー・レーザー・ドラゴン
ATK2400
DEF1600

 フォトン・ジェネレーター・ユニットにより変形した、効果破壊を得たサイバー・ドラゴン。
このモンスターの効果ならば、シャイニング・フェニックスガイを破壊出来る……!

『サイバー・レーザー・ドラゴンの効果を発動。一ターンに一度、このカードの攻撃力より攻撃力・守備力が高いモンスターを破壊する! シャイニング・フェニックスガイを破壊せよ、フォトン・エクスターミネーション!』

 サイバー・ドラゴンシリーズの主力攻撃である、エヴォリューション・バーストよりも細い光線がシャイニング・フェニックスガイの胸を貫き、破壊された。。
いくら戦闘破壊耐性を持っていようが、効果破壊には意味がない。

『そして《融合》を発動。サイバー・ドラゴン二体を融合し、《サイバー・ツイン・ドラゴン》を融合召喚!』

 再び融合によってフィールドに召喚される、二回攻撃が可能な融合モンスターであるサイバー・ツイン・ドラゴン。
攻撃力は2800であり、エドのエッジマン二体の攻撃力を超えている。

 それにしても、サイバー・ドラゴン・ツヴァイしかいなかった状況から、サイバー・ツイン・ドラゴン、サイバー・レーザー・ドラゴン、サイバー・ドラゴンの三体まで展開させるとは……流石は亮、としか言うことが無い。

『バトル! サイバー・ツイン・ドラゴンで、一体目のエッジマンに攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!』

『こちらも《和睦の使者》を発動する!』

 これでエッジマンが破壊出来れば、サイバー・レーザー・ドラゴンの追撃で勝負は決まっていたのだが……相手もプロだ、そう上手くはいかないようだ。

『カードを一枚伏せ、ターンを終了する』

『僕のターン、ドロー!』

 場の流れは、サイバー・レーザー・ドラゴンのシャイニング・フェニックスガイ破壊によって亮に流れた。

 だが、エドのフィールドにはエッジマンが二体とスカイスクレイパーがある。
まだまだ逆転は不可能ではない。

『僕も《融合》を発動! 手札の《E・HERO ワイルドマン》とフィールドのエッジマンを融合し、《E・HERO ワイルドジャギーマン》を融合召喚!』

E・HERO ワイルドジャギーマン
ATK2600
DEF2300

 攻撃力が変わらないものの、ワイルドマンと融合したことでエッジマンが全体攻撃が可能となった姿。
よりにもよって、ここでフレイム・ウィングマンに次いでスカイスクレイパーと相性が良い融合HEROの登場に、今度は亮のピンチとなる。

『バトル! ワイルドジャギーマンで、まずはサイバー・ドラゴンに攻撃! インフィニティ・エッジ・スライサー!』

 リバースカードが機械族の切り札、《リミッター解除》であることを恐れてか、まずは一番攻撃力が低いサイバー・ドラゴンから標的にしたのだろうが、亮のリバースカードは反応せずに破壊された。

『ぐっ……』

亮LP3700→3200

『次は、サイバー・レーザー・ドラゴンを攻撃する! インフィニティ・エッジ・スライサー!』

 ワイルドジャギーマンの第二の攻撃にサイバー・レーザー・ドラゴンが破壊されても、亮のリバースカードは発動しない。
やはり、ただのブラフだったのだろうか。

亮LP3200→3000

『最後のバトル! ワイルドジャギーマンで、サイバー・ツイン・ドラゴンに攻撃! インフィニティ・エッジ・スライサー!』

 攻撃する前にワイルドジャギーマンは、スカイスクレイパーの一角にあるビルの頂上に登った。

『スカイスクレイパーのエフェクト発動! ワイルドジャギーマンの攻撃力を1000ポイントアップ――』

『速攻魔法《サイクロン》を発動! スカイスクレイパーを破壊する!』

 遂に、警戒されていた亮のリバースカードが姿を見せると同時に、ワイルドジャギーマンが登っていたスカイスクレイパーを竜巻が襲い、破壊される。

『なにっ!?』

 エドの驚愕の声が響くも、もはやワイルドジャギーマンの攻撃宣言は終わっているため、どうすることも出来はしない。
崩れ落ちるスカイスクレイパーと共に落ちていくワイルドジャギーマンを、サイバー・ツイン・ドラゴンの光弾が破壊した。

エドLP2600→2400

『チィ……エッジマンを守備表示にし、ターンエンドだ』

『俺のターン。ドロー!
……このままバトルを行う』

 先程のサイバー・ドラゴンの大展開と、スカイスクレイパーを破壊したサイクロンにより、亮の手札は0枚。
追撃は与えられないが、サイバー・ツイン・ドラゴンの効果によってこのターンに決着がついてもおかしくはない。

『サイバー・ツイン・ドラゴンで、エッジマンを攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!』

 いくら融合せずに出せる最強のHEROであろうとも、守備表示でサイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃には耐えられない。
エッジマンはあっけなく破壊され、エドのフィールドはがら空きとなる。

『終わりだ! サイバー・ツイン・ドラゴンで、プレイヤーにダイレクトアタック! エヴォリューション・ツイン・バースト!』

『残念だが、まだ終わらない。セメタリーに眠る《ネクロ・ガードナー》のエフェクト発動! このカードを除外することで、戦闘を無効にする!』

 エドの墓地から黒色の戦士が飛びだし、サイバー・ツイン・ドラゴンの攻撃を防いだ。
テイク・オーバー5で墓地に送られていたのであろうが、フィールドががら空きの状況で防ぐとは……

『カードを一枚伏せ、ターンエンドだ』

『僕のターン、ドロー!
……フッ。自身のエフェクトにより、《E・HERO バブルマン》を守備表示で特殊召喚!』

E・HERO バブルマン
ATK800
DEF1200

 ……ここでバブルマンを引いた……!?
エドの手札が0枚のためにバブルマンは特殊召喚され、フィールドにはバブルマン以外に何もなかった。
……その状況でのみ、バブルマンは効果を発揮するのだが……!

『バブルマンのエフェクト発動! フィールドと手札にこのカード以外に存在しない時、二枚ドロー出来る!』

 別名、強欲な泡男の真髄が、珍しく発揮される。
二枚ドローとはいえ、バブルマン以外に何もない時という厳しい条件をクリアしたエドに対し、関心したような声がホール内ででるものの、十代で(幸か不幸か)慣れてしまっていたため、エドの次の手の方へ集中することが出来た。

『カードを一枚伏せ、ターンエンド』

『俺のターン。ドロー!』

 引いたカードを一枚伏せたのみで、エドはターンを亮へと渡した。
サイバー・ツイン・ドラゴンの効果による二回攻撃があるために、あれが防御カード、もしくは破壊カードでなくてはエドの敗北となるが……

『バトル! サイバー・ツイン・ドラゴンで、バブルマンに攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!』

 サイバー・ツイン・ドラゴンの第一撃目がバブルマンを弾き飛ばしたが、バブルマンは守備表示によって特殊召喚されていたため、エドのライフにダメージは無い。

 そして、俺の――おそらくは亮も――予想に反し、ここでエドが行動を起こした。

『リバースカード、オープン! 《デステニー・シグナル》!』

 リバースカードから上空に放たれたのは、見慣れた『H』という文字のシグナルではなく、どこか暗い雰囲気を持った『D』の文字だった――
 
 

 
後書き
亮vsエド戦、前編でした。

前書きでも書きましたが、明けましておめでとうございます。
クリスマスとか新年とかの企画には縁の無かった本作ですが、今年もよろしくお願いします。

では、いつも通りの感想・アドバイス待っております。 
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