最初は下手でも
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第四章
「そうして育ててね」
「うん、じゃあね」
「そうするわね」
姉妹は両親の言葉に頷いた、そしてだった。
二人は天理高校に入った、成績のいい姉は二類という進学コースに入り普通だった妹は普通科の一類に入ったが。
亜弥はよく周りにこう言われた。
「亜弥ちゃん天理教のこと詳しいわね」
「何でも知ってるわね」
「凄いわね」
「いや、私最初全然出来なかったから」
亜弥は周りに笑って話した。
「お姉ちゃんと比べてね」
「ああ。二類のね」
「あの頭がよくて奇麗な人ね」
「全然ね、けれどお祖母ちゃんにもお父さんにもお母さんにも教えてもらって」
そしてというのだ。
「教会の信者さん達にもそうしてもらって」
「それでなの」
「出来る様になったの」
「そうなの、だからね」
それでというのだ。
「最初はね」
「全然なのね」
「出来なかったのね」
「そうよ、本当にね。だから今もね」
それこそというのだ。
「やっていってくわ」
「そうなのね」
「努力していくのね」
「今も出来てるとは思わないし」
亜弥自身はそう思っていた。
「そうしていくわ」
「そうなのね」
「これからもなのね」
「ええ、本当にね」
こう言って高校に入ってからも努力していった、家から遠かったので二人共寮で生活したがそこでも同じだった。そして。
二人は大学を出ると暫く働いた後で結婚した、芽衣は長女だったので教会を継いで婿を迎えた。そして亜弥は。
祖母の紹介で同じ大教会の系列の教会に嫁いだ、そうしてそれぞれ家庭を持ったが。
芽衣も亜弥も子供達を何人ももうけたが皆公平に育てていった、二人共両親に言われた祖母の言葉を胸に置いてそうしていった。二人を育ててくれた言葉だからこそ。
最初は下手でも 完
2020・7・29
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