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最初は下手でも

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第二章

「努力しないとね」
「駄目になりますね」
「だから正幸さんと琴乃にお願いしたいことは」 
 このことはというと。
「二人共公平に育てて」
「駄目でもですね」
「最初はそうでも」
「いい娘にしていくことだよ」
 こう娘夫婦に話した。
「そのことはお願いね」
「そうね、公平に育てないとね」
 琴乃は母のその言葉に頷いた。
「さもないとね」
「折角二人を引き取ったんだよね」
「私達の娘として」
「だったらだよ」
「公平に育てて」
「二人共ね」
 芽衣も亜弥もというのだ。
「いい娘にしてあげるんだよ」
「わかったわ」
 琴乃はまた母の言葉に頷いた。
「それじゃあね」
「いいね」
「そうさせてもらうわ」
「ですね。肉を巻いていけばいい柱になりますし」
 正幸は天理教の言葉から言った、天理教の教会の会長だけあってそのことはいつも頭の中にあるから出た言葉だ。
「それなら」
「二人共ね」
「大事に育てていきます」
「そうしてあげてね」
 祖母は娘夫婦に言った、そして芽衣も亜弥も実際に公平に育てていき食べものも飲みものも分け隔てしなかった。
 そして前に出るタイプでなく姉と比べてもの覚えの悪い亜弥もだった。
 じっくりと何度も教えていった、天理教のこともだった。
 天理教の楽器や歌、楽器の使い方もじっくりと教えていった。その教えも。すると最初はもの覚えが悪かったが。
 中学生になった時には問題なくなっていた、それで両親は言った。
「やっぱりな」
「じっくりと教えていくとね」
「よくなるな」
「そうよね、お母さんの言う通りだったわ」
「あれっ、亜弥ってておどりとか下手だったの」
 芽衣は両親の言葉を聞いてこう言った。
「私は別に思わなかったけれど」
「子供の頃はな」
「そうだったのよ」
 両親は芽衣に答えて話した。
「動きもたどたどしくて」
「もの覚えも悪くてな」
「中々覚えてくれなくてな」
「心配もしたのよ」
「そうだったのね」
「そういえば」
 亜弥自身も言ってきた、今は天理教のことも家事も普通に出来ていてしかも学校の成績もスポーツも優秀な姉程ではないが普通と言っていい位だ。 
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