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ワールドトリガー~希望の架け橋~

作者:スズ
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第9話

一方の海斗は三輪隊に行くために声をかけた人物東と一緒に三輪隊に向かっていた。


「なるほど・・・・奈良坂からの連絡で三輪隊の隊室に行きたかったんだな。」
「はい・・・・すいませんお忙しいところ、場所が書かれてなかったもので・・・・今日正隊員になったばかりでして隊室には縁がなかったもので。」

「おぉ、今日からかおめでとう」

「ありがとうございます。」

「それにしても奈良坂が場所を伝えないなんて珍しいな・・・・・」


東にとって奈良坂は同じポジションで師弟関係である。そのため奈良坂の性格を熟知していた東は珍しいと思った。それほどまでに奈良坂という男はまじめで几帳面である。
焦るようなことでもあったのか。

「(思いつかないな。ボーダーのことじゃないだろう。では学校のことなのか?)」

考えているうちに彼が所属する三輪隊のメンバーの顔が浮かんできた。そしてそれと同時に学生に起こったことも浮かび上がってきた。

「(もしかして・・・・・)神崎はもしかして勉強とか得意だったりしないか?」

「え?まぁそれなりには・・・・・どうかしました?」

「いや・・・大丈夫だ(ハハハ・・・・・・)」

なんとなく考えたことが当たってそうである。

それなりと答えた海斗が実は六頴館の記録を塗り替える秀才だということを知るのはすぐのことである。


「よし、ここが三輪隊の隊室だ。」
「ありがとうございます。」

「じゃあ入ろうか・・・・東だ。入るぞ?」

「え?東さん?入ってください。」

海斗には聞き覚えのない。少なくとも奈良坂の声ではない男の人の声がした。

ガチャ

「ハハっやっぱりな。」

東が入り、続いて海斗も中に入る。そこではテーブルの上でたくさんの勉強用教材が置いてあった。東はうっすらと気づいていたらしい。

「あ!!」

メガネの少年・小寺は海斗の顔を見た瞬間驚いたような顔をした。ほかの人は誰?というような顔をしている。

「奈良坂。神崎連れてきたぞ。A級の隊室の場所わからなかったみたいだから。」

「え?あ!?すみません場所書き忘れてました。すまない神崎。」

「いや、結果たどり着けたから大丈夫。それよりもこれ、勉強か?」

「あぁ・・・・やっぱりいつものか?」

「「「「「いつものです」」」」」

ひとりを除いた全員が同じ言葉を口にした。

「アハハッ」

「アハハじゃないから陽介・・・・・」

海斗を除く全員にジト目(東は苦笑い)された陽介と呼ばれた少年は話をそらすように口を開いた。

「ところでそいつ誰?」

再び海斗のほうに視線が向く。

「彼は俺のクラスに編入してきた神崎だ。」

「神崎海斗です。よろしく。」

「編入!?確か六頴館って編入試験すごく難しかったよな。」

金髪の少年が驚いたように声を出す。

「それだけじゃないですよ!!」

メガネをくいっとあげて小寺が話す。

「神崎先輩は編入試験を前代未聞の満点で合格し、ついこないだの実力テストも第2学年試験を綾辻先輩を抜いてトップ。それも全教科満点の偉業を成し遂げたんです。六頴館の中じゃ既に知らない人はいらないんじゃないんですか?」

これには奈良坂と小寺以外の全員が驚いた。

「神崎!そんなにすごかったのか?」

「まぁ、前の学校でも進みは早いほうでコツコツ勉強はしてきましたから」

「え、じゃあ助っ人って?」

「神崎のことだ。」

「すごいな。太刀川にも見習わせたいぐらいだ。」

「ご迷惑おかけしてます・・・・」

「?太刀川さん?」

「俺のとこの隊長。太刀川慶。」

あ、俺は出水公平な。なし崩しのようだがそれぞれが自己紹介を行う。

「章平は六頴館で三輪、出水、米屋が三門第一高校だ。それから、オペレーターの蓮さん。」

「初めまして、月見蓮よ。よろしくね。」

「よろしくお願いします。」


「ちなみにさっき言ってた太刀川は、ボーダーアタッカー、総合ランクともに一位・・・・なんだが」

「大学のレポートに追われてボーダー以外じゃダメダメな人だから」

「ほんと我が幼馴染ながら情けないわ。」

はぁーーーーー


高校生ながらなぜかレポートを手伝わされる出水だけでなく大学生組がそろいもそろって徹夜に付き合っていることを新隊員以外はよく知っているためため息をつく。

海斗はさっきの本部長の様子はこういうことだったのかと納得した。

「じゃあ、俺はやることあるから先行くな。もし戦術だったりトリガーのことを聞きたかったらいつでもおいで。ついでにID登録をしよう」

「はい。よろしくお願いします。」

正隊員しか持たないそれに奈良坂は目を見開いた。

「神崎それを持ってるってことはもしかして・・・・・・」

「あぁ、今日から正隊員に昇格した。」

「そうか・・・・・おめでとう!」

「あぁ、ありがとう」

「じゃあ、今日忍田本部長にもあったのか。」

「あぁ、その時”慶にも見習わせたい”みたいなこと言ってたんだけど・・・・」

もしかして・・・・・


「あぁ、それうちの隊長のこと」
なるほど・・・・・

やるべきことをすでに察している海斗はいそいそと奈良坂が少し開けてくれた場所に座り


「じゃあさっそくだけど米屋、そこの問題間違ってるよ。」

「げっ!?まじか」

「そう、その英文はこの文法を使うといい」

早速、目についた英語のプリントの問題を見て間違いを指摘する。
文法の解き方を教え、いそいそと問題を解き始める米屋をしり目に奈良坂にノートを渡す。

「奈良坂、今日の午後の授業分のノート貸そうか?」
「いいのか?」
「あぁ、その代わり俺が防衛任務に入った時は貸してくれよ」

「あぁ、もちろんだ。」

そして奈良坂はノートをぱらぱらとめくり、その表情は徐々に驚きに代わっていった。

「ノート、すごい見やすいな!!」
「え?どれどれ・・・・やばすぎない?」

海斗のノートはきれいな文字で書かれており、色も使い、けれども決して派手すぎないちょうどいい色使いとなっており、書き込みスペースを用意し、黒板に書かれていなかったであろうものも書き込んでありとても見やすいノートとなっていた。

「あの、自分もわからないところがあるんですが・・・」
「どれどれ・・・・・あぁこれは・・・・」

小寺にも質問される。見せられた問題はかなりの応用であったが、スラスラとルーズリーフに書き込みながら答えていく。


「・・・・・・こうすると、ほらこの答えになるんだ」

「ほんとですね。ありがとうございます!」

小寺にはきらきらと尊敬のまなざしで見られた。

「ふぃー、終わったーーーーー!!!」

あれから一時間程度で米屋の今日の分の補習プリントが終わりを迎えた。

「毎回あれほど苦戦する補習プリントをわずか一時間程度で完成させるとは・・・・」

三輪が唖然とする。

「さすが神崎!」
なぜか奈良坂がドヤ顔をする。

普段の奈良坂を知っている高校二年組は今までの性格と神崎が来てからの性格が変わりすぎて唖然としている。
年下の小寺も唖然と仕掛けたが最近クラスメイト達が噂をしている”奈良坂先輩が最近話しかけやすくなった”と噂を耳にしたためこういうことだったのかと納得した。奈良坂の容姿も相まって人気が高く話題になりやすいのである。そこに最近海斗が名前を連ねるようになったが。

「そうだ、さっきボーダーから隊員専用タブレットもらったなら連絡先教えてくれ。」
「あぁ、かまわないよ。」
「奈良坂だけずりーぞ!!俺も」
「俺も俺も!!」
「すみません。僕もいいですか?」

奈良坂が連絡先を聞くのに連なり米屋、出水、小寺までもが便乗する。
更に

「秀次も交換しとけよ。」
「何で俺が・・・・・」

米屋から言われた三輪の顔が険しくなる。

「さすがに嫌がっている人に無理やり交換させるのはどうかと思うよ」
「いーや、別に嫌っているわけじゃねーよ。こいつの場合これがデフォルトだからな。な、奈良坂」

「そうだな、三輪ももっと交流すべきだ。神崎とは学校は違えど同じ高校二年なんだから、それにこれからだって陽介の勉強見てもらえる人は貴重だぞ。どうせ今回だけじゃないだろうし。」
「・・・・・そうだな。俺もいいか?」

「おいっ!?」

まるでコントのようなやり取りをほほえましそうに見ながらもちろんと三輪とも交換をした。


「そういえば追試はいつなんだ?」
「土日を挟んだ月曜日だ。」
「そうなんだよ~。ほんとは防衛任務があったってのに・・・・・」
「?学業が本分だからか?」

「そうとも言えるわね。ただ、防衛任務は年中無休で24時間対応だから中高生でも授業を休んだり早退しながら任務に出てるし特に高校の場合はほとんどの隊員がボーダー提携校の三門第一高校と六頴館高校に進学してそれを先生たちも融通利かしてくれてるんだけど、さすがに追試はどうにもならないわね」

「本来僕たち三輪隊は、日曜と月曜防衛任務だったんですけど、米屋先輩がこの状態なんで三輪隊連帯責任でなしになりました。」

「その代わり、他の部隊や暇な人が混合部隊を作って防衛任務に出るんです。」

「今回俺らの代わりは誰だろうな。太刀川隊か?」
「いや、俺らじゃねぇよ。てか、現在太刀川さんも同じような状態に陥っているから・・・・」
「あの人は・・・・」
「なるほど、レポートか」
「で、いつものように風間さんに監視されているわけですか」
「そ、風間さんが防衛任務の時は二宮さんだったり諏訪さんだったりがうちの隊室にきて監視してるよ」

その時海斗のタブレットにメッセージが来た。

「・・・・・どうやら、俺の初任務がそれみたいだ。」

他のメンバーにタブレットの画面を見せると、任務の日時と他にも別の隊がフォローに就くとのことだた。

「あぁ・・・ソロの時はよっぽどの実力者じゃない限り別の部隊が一緒に任務に就くことになるんだ。」
「なるほど」
「神崎は部隊に入るのか?」
「入るというより自分で作ろうと思っている。」
「そうなのか?」
「あぁ」

「なら、ソロの間はどこかの部隊に入ることになるな。」
「もし、一緒に任務をすることがあったらよろしく頼む」







 
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