おっちょこちょいのかよちゃん
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62 文化祭準備始まる
前書き
《前回》
丘の上の秘密基地で森の石松の話を聞いたかよ子達はそれぞれが持つ異能の能力を確認し合う。そしてかよ子は隣の家に住む高校生男子が三種類の異能の能力を持っている事を知り、彼が気になると共に、この杖を赤軍や異世界の敵から守り抜く事を誓い続けるのだった!!
今回はかよちゃんの隣の家に居候するあの高校生の学校がメインの舞台となります。なお、かよちゃんの通う学校の全校清掃は「ちびまる子ちゃん」の映画「大野君と杉山君」の冒頭のシーンを元にしています。
羽柴さり。母・羽柴奈美子の後を継いで異世界の道具「護符」の所持者となった女性である。彼女は地元の清水を出て今は名古屋で一人暮らしをしていた。そして七月に久々に静岡市の清水に帰省していたが、そこで七夕豪雨に遭遇した。そしてあれから二カ月たった今、再び遠出している。前回とは異なり、次は新幹線で新大阪駅まで行き、別の電車に乗り次いで兵庫県へと向かっていた。
さりが着いた所は兵庫県の県庁所在地・神戸市。さりはその住宅街のある一軒の家に向かう。
「来たわね、さり」
「ゆり姉、久しぶり」
さりの姉・すなわち羽柴家の三姉妹の長女・ゆり。現在は結婚の為、祝津の姓を名乗っていた。
「今日は主人もいるし、上がって」
「うん」
さりは上がった。
「母さんから聞いたよ。異世界の護符を貰ったんだってね」
「うん、でも、これは異世界の人間や日本赤軍と闘う事になった時に使う事にしているよ」
「母さんがそんなのを持ってたなんて驚きね。でも、あの謎の地震以来、変な事が起きているわね。異世界の人間が攻めたり、清水で豪雨だったり・・・。最近神戸でも異世界の人間が来たのよ」
「ええ!?大丈夫だったの!?」
「なんとかね。ウチの隣に住んでる高校生の子が何とか倒したわ」
「高校生の子・・・?」
「ええ、その子は平和を司る異世界から来たっていう人から貰ったんですって。そろそろ来るわ」
祝津家のインターホンが鳴った。入って来たのは一人の女子高校生だった。おとなしそうな女子だった。従弟と同じくらいの年頃に見えた。
「隣に住んでる鷺森光江ちゃんよ。高校二年生なの。光江ちゃん、こっちは名古屋に住んでる私の妹よ」
「初めまして」
「どうも、こんにちは・・・」
従弟と同年代である事は当たった。さりは姉と姉の主人、そしてその鷺森光江と会話した。
清水市内の高校。異世界の「杖」の所持者、山田かよ子の家の隣に居候している男子高校生・三河口健が通っている高校である。この高校は9月の終わり頃に文化祭を催す予定である。三河口のクラスは7月頃に何をするかを決めていた。露点として焼き鳥とから揚げを販売をする事になり、教室内ではサッカー部にPKゲームをする会場として貸し出す事になっていた。文化祭実行委員に抜擢された北畠圭助と神戸真希がそれについて学級会で話を仕切っていた。
「それじゃ、スケジュールはこんな感じ。土日でコンロや鍋などの道具を用意して、当日売り込みする班と、食材を調達して料理する班、そして店の看板を作る班の三班に分ける。それでいいか?」
皆に異論はなかった。班分けがされた。濃藤と北勢田は売り込む班となり、三河口は料理する班に割り当てられた。
「三河口君もなんだね」
「ああ、奏子ちゃん」
奏子も三河口と同じ料理する班に割り当てられていた。
「頑張ろうね」
「うん」
奏子は照れていた。それぞれの班は話し合いをして、元の授業に戻った。
かよ子が通う小学校ではこの日は放課後に全校清掃を行う予定だった。班分けではまる子、はまじこと浜崎憲孝、そして大野と杉山だった。
(す、杉山君と一緒だ・・・!!)
かよ子は好きな男子と同じ班になれて嬉しかった。
「あ、かよちゃんも一緒の班かあ~」
「ま、まるちゃん・・・。宜しく!」
(はあ、つまんないわあ~。大野君と別の班だなんてえ・・・)
冬田は好きな大野と別の班になって残念がっていた。かよ子達五人は校庭の掃除を行う予定だった。
「よし、皆行くぞ!」
大野が呼び掛ける。
「うん!!」
皆は校庭に行った。
「さくら、倉庫から箒と塵取り持って来いよ」
大野が命じた。
「はっ、はいっ」
まる子は道具を取りに行く。
「あ、まるちゃん、私も行くよ!!」
かよ子も手伝いに行った。まる子とかよ子は箒と塵取りを取りに行く。その間に男子達はスコップの準備していた。かよ子、まる子、はまじは草むしりを行う。その時、大野と杉山は大きな切り株を見つけていた。
「大野、この切り株なんだけどどうする?」
「こんなもん、俺達二人で十分だぜっ。俺はスコップで堀起こすからお前は木を引っ張れ」
「オーケー!」
大野がスコップで掘る。そして杉山が切り株を抜こうとする。二人だけでも大変な作業だというのに手伝ってもらおうともしていない。
(やっぱり私、手伝おうかな・・・)
かよ子は思い切って聞いてみた。
「あの、杉山君、大野君・・・」
「何だよ?」
「わ、私も手伝おうか?」
「ああ、大丈夫だよ。草むしりを続けてくれ」
「う、うん・・・」
かよ子は引き下がった。分業した方が効率的なのかなと同時にかよ子は考えた。それともへんなおっちょこちょいやって迷惑かけそうだったからなのか・・・。大野と杉山の二人の力で切り株はなんとか抜く事ができた。
「大野と杉山、スゲーな」
「うん、あんな大きい切り株抜けたんだもんねえ~」
「うん・・・」
かよ子も二人の凄さに見惚れてしまった。
かよ子の母・まき子は羽柴家にて奈美子と話をしていた。
「もう文化祭の季節なのね」
「うん、まきちゃんもどうかな?」
「ええ。うちの子も楽しむと思うわ」
「そうね」
かよ子は家に帰り、おやつの時間にて母から声を掛けられた。
「かよ子、今月の終わりの休日に隣の健ちゃんの通ってる高校で文化祭があるんだけど、行ってみる?」
「え?うん、行きたいな!」
かよ子はあることを思いついた。
「そうだ、まるちゃんとか誘ってもいい?」
「もちろん、いいわよ。そうだ、杉山君とかも誘ってもいいわよ」
「え?」
かよ子は母の唐突な発言で顔を赤らめた。
「う・・・、で、でも、来てくれるかな・・・?」
「大丈夫よ、誘ってみたら?」
「う、うん・・・」
一人の大学生が静岡県の清水市に行く事を計画していた。
後書き
次回は・・・
「文化祭招待大作戦」
三河口の通う高校で文化祭の話を聞いたかよ子は勇気を持って杉山と大野を文化祭に誘おうとする。一方、三河口は焼き鳥・唐揚げに使用する鶏肉の仕入れ先を探していた・・・。
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