八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十七話 期末テストを前にしてその九
「健全です、ですが」
「健全であってもですね」
「やはりです」
「清濁を、ですね」
「共に含んでいる」
「そうしたお家でもありますね」
「多少のやんちゃもです」
これもというのだ。
「いいのです、傾かれても」
「傾奇者ですか」
「それでもです」
「そういえばうちの親父は」
その清濁併せ呑む親父はというと。
「一族であれこれ言われていても」
「受け入れてもらっていますね」
「そうですね」
「止様は確かにやんちゃですが」
それでもというのだ。
「人として持っているものは持っておられて」
「それで、ですね」
「八条家のどの方もよしとされていますね」
「そうなのです」
「どの人もそうですか」
「女性がお好きでも家の誰にも声をかけられたことはないです」
「メイドの人達にもですね」
彼氏持ち、人妻の人達だけじゃない、お家で働いている人達に気さくに挨拶してもそうしたことはしない。
「それはないですね」
「よくあるお話ですが」
「実際にですね」
「イギリスでは合法でした」
かつてのあの国である、あくまで。
「家の主が使用人と関係を持っても」
「そうだったんですか」
「当時のイギリスの法律はローマのそれを範としていて」
それでというのだ。
「ローマでは合法だったので」
「かつてのイギリスではですね」
「それもよかったですが」
「ここは日本ですしね」
「そして現代です」
「だからですね」
「無論一族で家で働いている人達と恋愛に落ち」
そしてというのだ。
「結婚した方もおられます」
「八条家ってそうしたところ厳しいですしね」
「家で働いている人と恋仲になってもいいですが」
「責任は取る」
「それで結婚された方もおられますが」
「女の人でもですか」
「はい」
どちらの性別でもというのだ。
「あります」
「そうですか」
「ですが止様は」
「お家で働いている人達にはですね」
「一切そうした声はかけられません」
「そこも弁えているんですね」
「遊ばれても」
女の人とだ。
「そうした人とだけです」
「そういえば交際しても」
親父が言うだけでなく一族の人が言うにもだ。
「その場合も」
「相手のおられない方ですね」
「そこは絶対です」
「左様ですね」
「伊藤博文公の遊び方かと」
「あの人も凄い女好きでしたが」
英雄色を好むという、ただ英雄が誰でも女好きという訳でもないし女好きの人が誰でも英雄かというとそうでもない。
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