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ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)

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確かな愛

レプリフォース大戦 終結数日後



Dr.ケイン自宅 研究室


「では、ゼロ。アイリス。お前たちを一回スリープモードに移行させるからしばらく眠っておるんじゃぞ。」

「はい。」

「・・・・・・・頼む。」

ケインの指示でゼロとアイリスは手術台に寝かされてスリープモードへと切り替えられる。ケインの隣にはドップラー、かつてマザーコンピューター暴走事件で協力したミディ、そして、ドラえもんと言うメンバーが集まっていた。

「・・・・・では、これより、アイリスの戦闘用へのボディ改造と二人のパートナー回路の移植手術を始める。ドップラー、アイリスの動力炉とカーネルの動力炉を合わせたハイブリットタイプの新型動力炉を。」

「うむ、わかっておる。」

「ミディ、アイリスの稼働OSの変更。」

「分かりました。」

「ドラえもん、新型パートナー回路用意。」

「はい。」

何故このような手術を行う事になったのかは、エックスたちがハンターベースに帰還して修理をする際にアイリスが言ったことがきっかけである。



























帰還直後のハンターベース メディカルルーム

「あ、アイリス・・・・・・お主、一体自分が何を言っておるのかわかっておるのか?」

メディカルルームに運び込まれたアイリスは、ケインからカーネルが殺害されたことを聞き、修理をしようとしたところで誰もが驚くことを発言していた。

「はい、反対されるのはわかっています。でも・・・・・」

「でもではない!戦闘用に改造されるということをちゃんと理解しておるのか!?」

ケインはアイリスに向かって思わず叫ぶ。ちなみにゼロ、エックスは損傷が激しく、隣の部屋で集中治療を受けており、エックスに関してはマーティと玉美が付きっきりだった。

「私・・・・・・衛星での戦いでも結局ゼロを傷つけてばかりで何もしてあげられませんでした。それに・・・・・」

「アイリス、カーネルが殺されたことやゼロに怪我を負わせてしまったことに関しては儂も理解しておる。じゃが、マーティの時も儂は迷っておったんじゃ。“本当にここれでよいのか”と。元々戦闘用に作られていないお前もそうじゃが戦闘用に作られていたエックスも含めて本当は戦ってほしくなかった。ましてや同じレプリロイド同士で。」

「博士・・・・・・」

「お前もわかっておるはずじゃ。ハンターと言えど絶対的な敗北は『死』に繋がるんじゃ。」

「・・・・・・じゃあ、私はゼロたちが傷つくのを何もしてあげられずに安全なところにいろと言うんですか?」

ケインの言葉にアイリスは悲しげな表情で言う。

「オペレートすることも大事な仕事だというのはよくわかっています。・・・・・でも、ゼロやみんなの身にもしものことがあったら私は・・・・・・どうすればいいんですか?」

「アイリス?」

「私・・・・・・・あの衛星での戦いで怒りのあまりにダブルを惨殺していたゼロの姿を見ました。シグマは、その姿を自分が恐れたあの時のイレギュラーだった頃のゼロそのものだって言っていたんです。」

「!?」

アイリスの言葉にケインは思わず驚きの表情を浮かべる。

(あのとき・・・・・まさか、シグマにあそこまでの重傷を負わせたあのときか?しかし、あの騒動以降ゼロがあの状態に戻る前兆は見られなかったが・・・・・・・)

「それにスリープモードに切り替えるたびにうなされているんです。何かを恐れているようで・・・・・そんな苦しんでいるゼロを見ていると耐えられなくて・・・・・・・・」

「・・・・・・」

泣き始めたアイリスを見てケインは思わず黙り込む。

彼女は自分が知らなかったところまでゼロのことをよく見ている。うなされているというのは初めて聞いたことだった。そんなに苦しんでいることも知らずに・・・・・・。

(・・・・・儂はなんてことを見過ごしておったんじゃ。)

「あの・・・・・・・・・」

「ん?」

聞き覚えのある声にケインは振り向くとスネ夫が来ていた。

「スネ夫さん。」

「スネ夫君、どうしたんじゃ?」

「いや・・・・・・ちょっとのび太の様子を見に来ようと来たんですけど二人の話を聞いて・・・・・」

スネ夫はちょっと言いづらそうな態度をとっていたが切り替えて思い切って話そうと考える。

「実はゼロの話なんだけど・・・・・・」

「ゼロのことじゃと?」

「・・・・・・実は以前話した通り、僕たちのいた世界ではこの世界はゲームとして存在しているんです。その中で本当の事とは言い切れないんですけどゼロは・・・・・・・Dr.ワイリーの製作した最後のワイリーナンバーズだって言われているんです。」

「Dr.ワイリー?Dr.ライトと共に伝説と言われながらも数多くの戦闘用ロボットを生み出し世界を恐怖に陥れたマッドサイエンティストのことか。」

「はい、Dr.ワイリーはライト博士がエックス、のび太を残したように自分自身もゼロを製作して残したって言われているんです。」

「ふむ・・・・それで何のために?」

「それは僕にもわかりません。でも、ワイリーは自分の生きていた時代に世界征服を邪魔した存在“ロックマン”を破壊することに執着していました。ですから、のび太を破壊するために作ったんだと思います。けど気になることがあって、それならワイリーは事前に標的を最初っからインプットさせておくはずです。にもかかわらず、のび太への執着は愚か、敵意すらない。何か変だとは思いませんか?」

「・・・・・・言われてみれば。本来叩くべき敵がおるのなら事前に目標を決めておくはず・・・・・・・・!まさか!」

「おそらくシグマに重傷を負わせた時のが本来のプログラムを実行しようとしたゼロなんだと思います。」

「じゃが、シグマの攻撃でプログラムに何らかの不具合が起き、今の儂らが知っておるゼロになった。」

「それが妥当かと。」

「・・・・・・・」

「スネ夫さん、ゼロは・・・・・・もしその話が本当だとしたらゼロは・・・・・」

「いつ本来の形に戻るかわからない。」

「!?」

「・・・・・これで奴がうなされておる原因がなんとなく分かった。おそらく奴は本来の使命を果たそうとするある種の再起動用プログラムかもしれんのう。」

ケインは、これでアイリスが言いたいことを理解した。彼女は戦闘用に改造を志願しているのはゼロをサポートするためだけではなく、いつか目覚めるかもしれない本当の姿になるのを防ぐためにも力が欲しいという事だ。

「・・・・・じゃが、ただ単に戦闘用に改造するぐらいではすまんかもしれん。」

「どういう事ですか?」

「アイリスもゼロの実力はよくわかっておるじゃろう。アイツの実力は特A級、マーティは元々レスキュー用に作られていたからある程度の改修で済んだがお前の場合は内部フレームから動力炉も取り替えなければならん。それに内部機構もゼロのサポートも考えるのならスペアパーツも共有できるようにしなければいかん。」

「それなら大丈夫ですよ、ドラえもんがいますから。」



























そして、今の事態になった。手術前、ゼロは何度も反対したがアイリスの、ゼロを支えたいという強い意志に押され、最終的に折れた。

アイリスの改修は、外見は変化はないものの内部骨格を残し、各構造をドラえもんの秘密道具で解析したゼロのデータをベースに運動能力を強化、内部フレームを亡くなったカーネルに使用していた素材へと変更し、動力炉はゼロのエネルギー供給もできるようにカーネルのものと組み合わせたハイブリッド型へと取り換えられた。そのため、見た目に変化はないもののアイリスの体のパーツは65パーセントがゼロと共通のものに変更された。さらに武装に関しては、廃棄する予定だった前のゼロのボディからバスターを回収、再加工して右腕に取り付けた。ケインはこのバスターのICチップをゼロの破損したバスターに移植する予定だったがOSの一部が変更されているため断念、ゼロの意思もあってアイリスへの取り付けに至った。戦闘での動きはミディがゼロとカーネルの動きを解析して製作した補助システムでサポートしてもらえるようにし、戦闘慣れして独自の動きができるようになったらいつでも外せるようにしておいた。さらに近接武器としてカーネルの形見であるサーベルを彼女に合わせて再調整し、ドラえもんとドップラーの協力で完成した「疑似ラーニングシステム」を取り付けることによってゼロ同様に技を習得できるようにした。


最後は、ケインが開発した「パートナー回路」をゼロと共に体に移植した。

この回路は、パートナー同士の居場所を知らせる他、夢も共有したりとかなにかができるという。

ちなみにゼロの方には以前破損したバスターに突貫で製作したICチップを移植したがどうも不完全らしく、チャージができない上に弾速が異常に遅いという問題を抱えてしまい、今後も課題が多い。

ともあれ、三日間にもわたる大手術は無事終了した。

精神力を使い果たし、手術室から出てきたドラえもんたちは出て来るや外で待機していたエックスたちの目の前で倒れてしまった。

「ど、ドラえもん!?大丈夫かい!?」

倒れてしまったドラえもんを支えてエックスは声をかける。

「だ、大丈夫・・・・・・・・」

「ケイン氏、手術の方は?」

「うぅ・・・・・・・・取り敢えず成功じゃ。パートナー回路が正常に作動するかどうかは本人たちにしかわからん。明日、目覚めたとき次第じゃな。」

「そうですか。」

「ぬっ?そう言えばエックス、マーティはどうしたんじゃ?」

ケインはふといつもはエックスのすぐ隣にいるはずのマーティの姿がないことに気が付く。

「あぁ・・・・・実はどういうわけか最近無視されてて・・・・・」

「何?何か悪いことでもしたのか?」

気になるように聞くと丁度その場にマーティが通りかかった。

「あっ、マーティ。ちょっと・・・」

「・・・・・・・」

しかし、マーティはそっぽを向いて去って行ってしまった。

「あっ!ちょっと待って・・・・・最近いつもこんな調子なんです。」

「むむ・・・・・・せっかくお似合いカップルが崩壊の危機かのう。」

「博士悪い冗談はよしてくださいよ!?」

「・・・・・それより、ゼロ隊長とアイリスさん。大丈夫ですかね?」

「あぁ、ドラえもんと儂らが総力をあげてやったんじゃ。それよりもエックスの今後に関して考えないといかんのう。」

「博士まで・・・・・・・」

そう言いながらエックスたちも部屋を後にしていった。

























???

『ゼロ・・・・・・・・・ゼロ・・・・・』

「・・・・・・また、この夢か。」

ゼロは、また例の夢を見ていた。

カプセルの中で寝かされ、それを見て、自分に「アイツ」を倒せと言い続ける正体がわからない老人。ゼロは頭痛に苦しまされる。

『アイツを倒すのじゃ!何としてもアイツを!それがお前に与えられた使命なのじゃ!』

「だ・・・・・黙れ・・・・俺はもう・・・・・」

『あの時とて片腕が吹き飛びながらも圧倒的であったではないか!お前が本気を出せば・・・・・』

「えい!」

『フおっ!?』

「!?」

突然遮られた老人の声にゼロは驚く。同時に頭痛も収まり、顔をあげてみるとそこは先ほどのカプセルがあった場所ではなかった。

「これは・・・・」

「大丈夫ゼロ?」

「!」

隣を見るとそこにはアイリスがいた。

「アイリス?」

「よかった、パートナー回路が正常に作動したみたい。」

「何?どういうことだ?」

アイリスの言葉の意味が分からずゼロは首をかしげる。

「実は今回の手術でゼロと私に新しい回路を組み込んでもらったの。なんでも、ドラえもんさんがいろいろ使って完成したんだけど。」

「・・・・つまり、今の俺たちはその回路で意識がリンクしているという事か?」

「うん。・・・・うっ!」

アイリスは突然頭を押さえ始めた。

「大丈夫か!?」

「大丈夫・・・・・・・・」

『おのれ・・・・・・誰かは知らんが邪魔をするというのなら容赦はせんぞ。』

再び老人の声が聞こえてきた。しかし、回路のせいで完全に干渉できないのか姿は現さない。だが、ゼロも頭痛が再発し、頭を押さえ始めた。

「アイリス、俺とのリンクを切断しろ。そうすれば・・・・・・・」

「いいの。」

「何ッ!?」

頭を押さえながら言うアイリスの言葉にゼロは唖然とする。 

「私は、いつもあなたの苦しんでいる姿を見ることしかできなかった。だから、どこでもあなたを支えたいの・・・・・・」

「だからと言って・・・・・・・・・」

「もう、あなた一人だけを苦しませたくない。あなたが苦しむなら私も同じ苦しみを味わうし、嬉しいことがあったら一緒に分かち合いたい。」

「アイリス・・・・・・」

アイリスに抱かれてゼロは苦しみから初めて解放されたような気がした。

「あなたが私を護る為に戦うのなら、私もあなたを支えるために傍にいたい。そして、もうあなたを一人にしない。」

「・・・・・・・・お前は本当に・・・・・・・・でも、ありがとう。」

ゼロは彼女を抱きしめながら感謝する。

『・・・・・・・・』

その姿を見て何かを感じたのか老人は何も言わなくなり、次第にその姿を消してしまった。

「!?消えたのか?・・・・・・いや、一時的なだけかもしれん。」

でも、ゼロの中から何か不安が一つ消えたような気がした。

































ハンターベース 外

「おい、マーティ!ちょっと待ってくれ!!」

ケインとの話し合いを終え、自分の部屋に戻ろうとしたエックスは偶然すれ違ったマーティを追っていた。マーティは無言でエックスの前から去っていこうとしたがエックスに腕を掴まれてしまう。

「・・・・・・放してよ。」

「何で俺のことを無視するんだ?衛星兵器から戻ってきてから様子が変だぞ?何かあったのか?」

「・・・・・・・・・・」

「何で黙るんだ?俺が何か悪いことでもしたのか?あるんだったら言ってくれ!俺は・・・・・・!?」

エックスは振り向いたマーティの顔を見て言葉を失う。

「何が・・・・・・悪いですって?・・・・・・・アタシに黙ってゼロに言うなんて・・・・・・どういう事よ・・・・・」

マーティの眼から涙が流れていた。

「ゼロって・・・・・一体何のことか・・・・・」

「とぼけないで!!何がアタシたちに襲う前に処理してくれよ!?ゼロには言えてアタシには言えないって言うの!?」

「・・・・・・・」

「エグッ・・・・・・うぅ・・・・・・いつもそう・・・・・・・不安なことはアタシの前では見せないで自分の中に溜め込んで・・・・・・・・アタシは信用できないの!?死を分かつまで愛を誓うんじゃなかったの!?ねえ!!」

マーティは、泣き叫びながらエックスを見る。

「・・・・・・マーティ・・・・・・」

「う、うわあぁあ~!!!エックスのバカぁ・・バカ!バカアアアアアア!!」

マーティは、そのままエックスの胸に飛び込んで泣き続ける。その様子を見てエックスは、自分の判断が誤りだったことに気づいた。

愛するものを護る為に戦ってきたのに不安になったからと言って他人に処理してくれと頼み込む。

それは愛する者への裏切りであり、信じていないという事になる。

愛していると言いながら不安を妻である彼女に言えなかった自分が一番愚かに感じた。

エックスは、彼女を強く抱きしめ、頭を撫でた。

「・・・・・そうだった・・・・・・・そうだったね。何で肝心なことを忘れていたんだろう・・・・・・本当に不安なら君に言うべきだったのに・・・・・・」

「う・・・・・うっ・・・・・・・・・」

「・・・・・・・夫失格だな、俺は。こんなにも心配してくれる人がすぐ傍にいるのに・・・・本当にバカだよ。」

「うぅう・・・・・・・うぅ・・・・・」

「ごめん、君のことを何も考えずに先走ったことを考えて。でも、愛しているからこそ、君を傷つけたくなかったんだ・・・・」

「ふ、夫婦なんだから・・・・・・か、うっ、隠し事なんてしたら裏切り行為なんだから・・・・・・・今度やったら離婚しちゃうからね!」

マーティは、涙を手で拭いながら言うとエックスと唇を重ねる。

「愛してる・・・・・」

「俺もだよ。」
































21XX年 タイムパトロール本部

『警報!警報!侵入者が本部の防衛システムを破壊し、格納庫へ進行中!各隊員は、侵入者の身柄を拘束、最悪な場合は破壊せよ!!』

ドラえもんの故郷である22世紀のタイムパトロール本部。

ここである事件が起こっていた。

ある一体のロボットが本部へと侵入。防衛システムをあっという間に破壊し、次はタイムパトロールが保有しているタイムマシンである巡視艇の格納庫へと進んでいた。

「くそ!一体何もんが入ってきやがったんだ!?」

丁度この時本部へ出頭していた白い乗馬ズボンとアメリカ国旗を模したベストが特徴のドラえもんと同型のネコ型ロボット ドラ・ザ・キッドは利き腕に特注の空気砲(実は友人の妹の贈り物)を装備し、他のロボット警察官たちと共に防衛ラインへと急いでいた。何者かは知らないが防衛システムをあっけなく破壊した輩だ。もし、タイムマシンを奪って過去や未来に行かれてしまったら取り返しのつかないことになる。

最終防衛ラインに辿り着くと、既に前線の隊員たちは全滅しており、周りには砂ぼこりで煙が視界を遮っていた。

「チィ・・・・・どうやら敵さんは思った以上にバケモンのようだな・・・・・・・」

キッドは、空気砲を構えながら他の隊員たちと周囲を警戒する。

「くっ・・・・・・・これじゃあ、見えづらいったらありゃしねえ!テキオー灯でも使って・・・・・・・・!?」

キッドが被っている四次元ハットに手を掛けようとした瞬間、光弾がすぐ真上を通り過ぎて隊員たちを吹き飛ばす。

「なっ、なんだ!?今のは!?」

「キッドさん!敵はうわっ!?」

すぐ近くにいた隊員も言う間もなく吹き飛ばされ、いつの間にかキッド一人残して隊員はいなくなっていた。

「な、なんなんだよ・・・・・・・一瞬で俺以外全滅なんて・・・・・!」

キッドは近づいてくる人影を確認して空気砲を向けた。人影が徐々に濃くなり、やがて黒いアーマーに後頭部から長い銀髪を持ったロボットだということが確認できた。

「て、てめえ!こんなところにまで乗り込んできやがってどういうつもりだ!?」

「・・・・・・・雑魚がまだ残っていやがったか。」

「何ッ!?」

雑魚呼ばわりされてキッドは逆上しそうになったがすぐにこらえる。

このロボットは、たった一人で本部の防衛システムを破壊したうえ、自分たち以外の隊員をあっという間に全滅させてしまったのだ。隙を作れば命取りになる。

「・・・・・・タイムパトロールと言ったな。どいつもこいつも貧弱なやつばかりだ。こんな低レベルでよくやってこれたものだ。」

「てめえ・・・・・・どこの輩だ?その姿を見る限りでは軍事用でもなさそうだな。てめえみたいな人型、軍ではまだ採用されてねえ筈だし。」

「フン。」

ロボットは右腕をバスターに変形させて、キッドに向かって撃ち込んでくる。

「くっ!」

キッドはすぐに回避行動に出るがロボットは更に左腕もバスターに変形させて撃つ。

「躱しきれ・・・・ドカーン!」

空気砲でバスターの光弾を相殺させる。しかし、煙が晴れる間もなく斬撃がキッドの四次元ハットを吹き飛ばした。

「しまった!?」

「少しはできるようだな・・・・・・・」

ロボットは左腕を元に戻してセイバーでキッドを斬りつけてくる。キッドは小柄な体を生かして攻撃を避けていくが装備しているのは空気砲のみ、接近戦では不利だ。何とか距離を取ろうにも隙が無い。このまま体力を消耗していけば、いずれはやられてしまう。

「くっ!」

背中を掠り、キッドのベストがセイバーのビーム刃で斬られる。

「・・・・・・避けてばかりか。これじゃあ、話にならんな。」

ロボットは自ら距離を取る。撃つなら今だ。

「しめた!喰らえ!スペシャルドカーン!!」

キッドは、空気砲の出力を最大にして発射する。通常のロボットなら行動不能になる威力だ。

「・・・・・・フン!」

だがロボットはこともあろうことか空気砲の空気の弾をセイバーで叩き斬ってしまった。

「なっ!?」

「この程度か。本当の攻撃というものがどんなものか教えてやる。」

ロボットは右腕に力を込めて地面に殴りつける。

「アースクラッシュ!!!」

ロボットの周囲から凄まじい衝撃波が走り、倒れた隊員たちも含めてキッドは吹き飛ばされる。

「うわあぁあああああああああああ!!」


























「・・・・・・・」

ロボットは、ほとんどの巡視艇を破壊した後、一艇だけ拝借して本部を後にした。

「・・・・・・・」

そこへ通信が入る。

『お兄様、うまく・・・・』

「・・・・・」

画面に何かが映ろうとした瞬間、ロボットは回線を切った。

『ちょ、ちょっと!?折角心配して通信を入れてきた妹に対してひどいんじゃないの!?』

「黙れ、ベルカナ。」

画面に映る魔女のような容姿をした女性に対してロボットは冷たく一言いう。

『だって、そうじゃない。私やパパもダイちゃんもお兄様のこと心配して・・・』

「それなら俺じゃなくてダイナモやほかの奴らに行かせればよかっただろ。タイムパトロールの本部に乗り込んでしばらく動けなくなるくらいにしておけって言いやがって・・・・・・・」

『私だって苦労していたのよ?向こうではパパの命令でレプリロイドの研究員に紛れて仕事していたし・・・・・・・」
 
「そのくせして俺のオリジナルに半殺しにされて帰ってきたんだからな。」

『・・・・・何にも言えません。』

「・・・・・もうすぐ帰る。ルートの指示を頼む。」

『はいはい。』

通信を斬るとロボットは、操縦を自動にして足を掛ける。

「・・・・・・・・・・」

『俺のコピーにしては出来が良くないようだな!!』

「・・・・・・ちっ!」

ロボットは、悔しがるかのように近くの壁を殴りつけた。

「・・・・・・・ゼロ、俺は絶対にお前を破壊してやる!!どちらが出来が良くないかどうか証明してやる!」

ロボット・・・・・ブラックゼロは、歯ぎしりしながら独り言を言った。
  
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