ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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ジェット・スティングレン
海上エリア
エックスとドラえもんがサイバースペースでクジャッカーと対峙していた頃、マーティは、ライドチェイサー・・・・・・・厳密には、ラッシュにアディオンの装甲や装備を取り付けたものに乗りながら移動していた。
「ラッシュ、きつくない?」
『ワンワン!』
マーティの言葉に対してラッシュは元気に答える。どうやらラッシュ自体にそこまで負担はかかっていないようだった。元々アディオンは、カウンターハンター戦まで運用されていた初期型ライドチェイサー チェバルをベースにケインと刑期を終えたドップラーの二人が共同でフルチューンして生み出された最新タイプのマシンであり出力を極限にまで強化した代物。チェバルでは不安要素だった火力や機体の耐久力の改善、推進力にも利用される反重力ドライブを応用した周囲の空間を歪める事で触れるもの全てを寸断する「ドライブブレード」などの武装が追加されたものの、高性能と代償に乗りこなせるのがエックスやゼロ、そして、元特A級ハンターであるビートブードなど限られた人員にしか扱えないものとなってしまった。
数機製作されたアディオンは、レプリフォースにも回され、操作性を考慮しデチューン・スペックダウンさせて乗りやすくしたハーネットが開発された。それでも難があり、ハーネットはレプリフォースでもごく一部の限られた部隊にしか配備されなかったが。
イレギュラーハンターは後にこのハーネットも含めてランク分けに三機のマシンを配備している。そのアディオンのうちの一機を解体し、ラッシュに装着できるようにしたのが今マーティが乗っている物だ。武装面はオリジナルのアディオン同様、そして、ラッシュが補助操作を行っているためより安定性の向上に成功している。
「アイリス、情報が正しければレプリシーフォースはこの海上ルートを使って逃げたのは間違いないのね?」
『えぇ・・・・・いくつものルートを割り出してみたけど、あれだけの部隊を一度に撤退させるのはそのルートでほぼ間違いないわ。』
通信越しで答えるアイリスの言葉を聞いてマーティは、真剣な顔で前を見る。
「スティングレン・・・・・・・アンタ、どうしてあんなことするのよ・・・・・・・」
シグマの反乱以前 海上レスキュー訓練学校
「うんしょ・・・・・うんしょ・・・・・」
マーティは、浮き輪に掴まりながら海に浮いていた。すぐ近くでは同僚のマーメイドタイプのレプリロイドたちが普通に泳いでいるのにもかかわらず何故か彼女だけ浮き輪に掴まってゆっくりと移動していた。
「マーティ、今日はもうこのぐらいにしておいた方が・・・・・・・」
同じクラスの友人たちが心配そうに彼女に言う。そんな友人たちを他所にマーティは離れた所で有意義に泳いでいる仲間に対して嫉妬の目を向けている。
「・・・・・」
「そ、そうだ!今日は、もう泳ぐのやめにしてさ。遊びに行かない!?ほら、最近学校の近くに新しいカラオケができて・・・・・・・」
友人の一人が誤魔化すように話をしようとするとマーティは浮き輪を捨てて泳ぎ始める。
「ま、マーティ!?」
「ゲホッ、ゲホッ!ゴブッ!」
3メートルも行かないうちに彼女の体は沈み、泡だけが昇ってくる。
「大変!すぐに引き上げないと!?」
友人たちは沈んだ彼女を引き上げるべく、飛び込む。しばらくすると咳き込む彼女が引き上げられた。
「ゲホッ!ゲホゲホ!ゲホッ!」
「マーティ、大丈夫!?」
咳き込む彼女の背中を擦りながら友人たちはオドオドとする。
「どうしてよぉ・・・・・・・・どうして泳げないのよ!」
彼女は、拳を叩きつけながら悔しそうに言う。
マーティは、最新鋭のレスキューマーメイドタイプとして開発され、現場に配備できるよう訓練学校へと入れられた。成績もよく性格に若干問題はあったものの予定通りの性能を引き出し、訓練学校を出るのは時間の問題だった
はずだった。
卒業を控える最終試験において、彼女は他の生徒と共に実際の現場を再現したレスキュー訓練を行うことになった。
試験は順調でこのまま他のメンバーと共に無事卒業を迎えられそうだった。
しかし、そこへ逃亡中のイレギュラーが訓練エリアに侵入、それを追っていたイレギュラーハンター第6艦隊もエリアに乗り込む大混乱となった。
多くの同級生が目の前でイレギュラーとハンターの交戦に巻き込まれ、彼女自身も負傷した。
この事件後、イレギュラーを追尾していたハンターであるホイール・アリゲイツは、半年以上の独房での監禁となり、ハンター本部から訓練学校に対して度重なり謝罪が行われた。
訓練生の中で生き残ったのはマーティを含めて僅か数名だった。
しかし、その残った同級生も
「マーメイドタイプから一般のウーマンタイプに再改造してください。」
「海以外の・・・・・・海以外の場所に配属先を変更させていただけないでしょうか?」
「水・・・・・水には・・・・・入りたくないんです・・・・・・・」
アリゲイツによるトラウマのせいで彼女を除いてレスキュー部隊に入るのやめてしまった。残されたマーティは、修理された後に復帰できるかと思われていたがどういうわけか水に浸かった瞬間、尾びれが動かなくなるという謎の現象が発生。プログラムのバグなのではと精密検査を受けてみたが異常はなかった。彼女は何とかもう一度自力で泳ごうと訓練を続けて見たが25メートルはおろか5メートルすら泳げない事態に訓練学校で彼女の居場所はないに等しかった。今、彼女が所属しているクラスは特殊訓練・・・・・・・いわゆる落ちこぼれ組のような扱いで指導するはずの教官もそんな彼女たちを放置していた。
「どうして・・・・・・どうしてなのよぉ・・・・・・・」
一日の訓練時間が終了して、彼女は友人たちと共にカラオケに行ったが表情は暗いままだった。誘った友人の方もそれ以上言う事がなにも浮かばず時間だけが過ぎていく。
明日になればまた、無駄な一日が始まる。
このまま泳ぐことはもうできないのか。
入るのをやめた同級生たちみたいにいっそのこと通常ウーマンタイプに改修してもらおうか?
これ以上続けても周りを見て自分がみじめに見えてくるだけ。
こんな感情が次第に彼女を支配しつつあった。
そんなある日のことだった。
転機が訪れたのは。
その日、新しい教官が彼女たちの担当になった。
「今日から君たちを指導することになったジェット・スティングレンだ。」
いつものやる気のない教官とは違ってその男は至って真面目な人物だった。
「君たちとは違って戦闘用として開発されたから抵抗感があるかもしれないが私は戦闘用も非戦闘用も違いはないと思っている。そのため、私は君たちが無事にこのクラスから卒業ができるようになるよう努めていくつもりだ。今後よろしく頼む。」
スティングレンは、頭を下げて言う。
「・・・・・・・・・・」
教官が変わったことなどマーティにとってどうでもよかった。
どうせ、途中で匙を投げて逃げるに決まっている。
そう言う偏見的な考えを持っていた。
そして、いざ訓練の時間となり、マーティはいつものように浮き輪で浮かんでいた。
「よし、では初めに軽く泳いで・・・・ん?マーティ、君はなんでマーメイドタイプなのに浮き輪なんかに掴まっているんだ?」
初訓練という事もあってスティングレンは、キョトンとした顔でマーティを見る。
「あっ、きょ、教官!マーティは実は・・・・・・」
「まずは何もなしで泳いでみることが大事だ。実際マーメイドタイプは従来のレプリロイドと違って水中で動きやすいように設計されている。怖いかもしれないが自分から踏み出すことも大事だ。」
そう言うとスティングレンはまるで小学生のプールの指導のように少し離れた場所に浮かび、合図をする。
「取り敢えずここまで泳いでみるんだ!」
「・・・・・・(子供扱いして!【怒】)」
マーティは、浮き輪を外してスティングレンに向かって泳ぎ始める。しかし、半分も行かないうちに沈んでしまった。
「・・・・・・・相当重症だな。」
溺れたマーティを引き上げながらスティングレンは納得する。
その後とあるプールで
「じゃあ、水に対しての恐怖心を失くすところから始めるぞ!」
「だからって、子供プールでやらないでよ!(泣)アタシは子供か!?」
態々一般のプールにまで言って足が着くプールで練習。
マーティは顔を真っ赤にしながら足をゆっくり動かせるように丁寧に指導。
数か月後
「やっと浮き輪なしで泳げるようになってきたな。感心感心。」
「・・・・・・(恥ずかしくて何も言えない・・・・・)」
浮き輪で浮かぶのは卒業し、徐々に泳げる距離が伸び始める。
さらに数か月後
「よし、次は海での実践だ!」
「・・・・・・・」
気がつけば海での訓練に戻ってきていた。
そして、一年後・・・・・・・・
「す、スティングレン教官!」
彼女は海上レスキュー部隊への配属が決まった。卒業認定をもらうと彼女は早速、スティングレンに報告した。
「ん?」
「ぶ、無事・・・・・卒業認定もらいました・・・・・・・」
マーティは恥ずかしそうに言う。もっとも一年ぐらい前まで馬鹿にしていた男に言うのだ。今更ながらバカにしていた一年前の自分が憎たらしく感じる。スティングレンは、そんな彼女に対して嬉しそうに答える。
「そうか。無事に卒業できたか。一年前はどうなるかと思ったが・・・・・よかったな。」
スティングレンはまっすぐな視線でマーティを見る。
「・・・・だが、これで終わりじゃないぞ。マーティ、レスキュー部隊に入ればどんな危険なエリアでも必ず救助者を助けなければならない。イレギュラーがいる危険な場所でもだ。」
「・・・・・・・」
「君は、以前の卒業訓練でイレギュラーとの抗争に巻き込まれた。もし、あの事態になったら君はまた怯えてしまうだろう。だが、時にはその恐怖心を抑えて戦わなければならない。」
「戦う?」
「レスキュー部隊は何も救助だけが全てではない。時には仲間と安全なところまで行くために自ら危険を冒さなければならない。勇気が何よりも大事なんだ。」
「勇気・・・・・・・・」
「何事も恐れずに立ち向かうことだ。それだけは忘れるな。」
「・・・・・・・はい。」
マーティはそう言うと頭を下げる。
「今までご指導していただきまして本当にありがとうございました。」
それが二人の最後のやり取りとなった。
海上レスキュー部隊に配属されて以降、マーティは危険を顧みず、積極的に救助活動を行うようになった。かつては自分の優秀さに酔いしれていたところがあったが復帰した彼女にその様なものはなかった。そのため、部隊での同じマーメイドタイプとも仲が良く、新しい職場でのコミュニケーションは問題なかった。ちなみにかつて落ちこぼれ組だった友人たちも同じ部隊に配属されている。
「あっ、そう言えばあの教官に挨拶していなかったわね。元気にしているかしら?」
「あれ?マーティ知らないの?スティングレン教官、最近レプリフォースに転属が決まったのよ?」
「えっ?」
「元々戦闘用だったからね・・・・・まあ、仕方ないと言えば仕方ないけど。」
「・・・・・そうなの。」
「レプリフォースって一般レプリロイドだと立ち入りできないものね。」
「結構カッコよかったんだけどな・・・・まっ、また次を探せばいいか。」
現在
「ここね。」
マーティは、スティングレンが潜んでいると思われる港湾施設に辿り着いた。彼女は降りるとラッシュは元の姿に戻り一緒に入り口の前に来る。
『ウゥ~!!!』
「・・・・・・ラッシュ、アンタはここでお留守番。」
『ワオッ!?』
主に言われてラッシュは思わず驚く。
「悪いけどここはアタシと彼とで話をさせてほしいの。アンタは、ここで帰ってくるまで待ってて。」
『クゥウン・・・・・・・』
心配するラッシュの頭を撫でるとマーティは港湾施設中へと入る。目の前は既に水面となっていた。
「・・・・・・・・どうやら、ここで間違いはなかったようね。」
彼女の周りにはスティングレンの部下と思われるレプリシーフォースの兵士たちが銃口を向けていた。
「・・・・・・スティングレンはどこ?」
「き、貴様に答える気はない!」
部下たちは、マーティに銃を押し付ける。しかし、マーティは、瞬時にパイルバンカーを展開して部下たちの手から銃を突き飛ばした。
「「「なっ!?」」」
「女だからって舐めるんじゃないわよ。」
今度は逆に部下の一人にバスターショットを突きつける。
「くっ!」
「もう一度聞くわ。スティングレンは・・・・・・」
「私はここだ。」
スティングレンが水面から顔を出して宙に浮かんできた。
「「「「す、スティングレン隊長!?」」」」
「まさか、潜伏先がこうも簡単に発見されるとはな。」
スティングレンはマーティを見ながら腕を組む。
「・・・部下を放してくれないか?」
「話によるけどね。」
「・・・・・・わかった。君と一対一で話をしよう。」
「「「スティングレン隊長!?」」」
解放された部下たちは、スティングレンを見ながら言う。
「お前たちは、このエリアから離脱しろ。」
「しかし・・・・・・」
「部下を守るのも上官としての務めだ。」
「うっ・・・・・・」
部下たちは、戸惑いながらもその場から退避していく。
「・・・・・・・久しぶりだな、マーティ。」
「アンタも元気そうね、スティングレン・・・・いいえ、“スティングレン教官”。」
2人は懐かしむように言う。その顔はどことなく寂しさを感じた。
「まさか君がイレギュラーハンター・・・・・・それもあのエックスの妻となるとはね。正直驚いたよ。」
「アンタの方もそうなんじゃないの?アタシのクラスが卒業してすぐにレプリフォースに引き抜かれるなんて・・・・・そっちの方が給料が良かったの?」
「フッ、確かに良いがジェネラル将軍とカーネルにスカウトされてな。それに二人の『部下を守り、敵を倒し、生還する』という教えに共感した。私はそれを信条に軍に仕えている。」
「そう。」
しばらく二人は口を閉ざす。
「・・・・・・スティングレン教官、大人しく投降してちょうだい。アンタだって今回の作戦には疑問を持っていたでしょ?」
「・・・・・・・」
スティングレンは黙る。
確かに今回の作戦である人間たちのライフラインを遮断することは果たして本当に独立のために必要なことだったのだろうかと作戦決行まで悩んでいた。
「・・・・・・・残念ながら今の私は軍人だ。軍人は兵士として上官の命令に従わなければならない。」
「教官時代のアンタだったら最後まで反対していたはずよ。」
「今更後戻りは出来ん。マーティ、君だって自分の守りたいもののために戦っているのだろう?なら、迷う事はない。私は、カーネル殿やジェネラル殿への忠誠のために戦う。」
「・・・・・・・やっぱり退いてはくれないのね。教官時代もそうだった、アタシがいやだいやだって駄々こねても、やめることなくリハビリを続けて・・・・・・・・・出来ればアンタを撃ちたくはなかったわ。」
マーティも槍を出して水中に飛び込む。同時に下半身を変形させてマーメイド形態へと移行した。
「軍の誇りにかけて!行くぞ!マーティ!」
スティングレンは、背部のジェットをフルに加速させてマーティに向かって体当たりを仕掛けるがマーティは瞬時に回避して彼の背後にバスターショットを放つ。対するスティングレンも巧みに回避する。
「流石にハンターになったことだけはあるな!ならば、これでどうだ?グランドハンター!!」
スティングレンは、脚部から小型のエイ型メカニロイドを発射する。マーティはバスターショットで次々と撃ち落としていくがその隙にスティングレンは海底の砂に身を隠す。
「・・・・・・・・アンタのかくれんぼなんて訓練学校の時にバレバレよ!!」
マーティは思いっきり水中に槍を突き刺す。同時に別の場所からスティングレンが姿を現し、右腕のバスターから巨大な渦を発生させる。
「うっ!?」
マーティは、渦に呑まれてしまう。
「どうだ!かつて津波警報時による訓練でもやったことがあるが今のはその時の4倍の力だ!」
スティングレンは、渦の中に突進し、マーティに体当たりを喰らわせる。
「グッ!」
「どうした!地上での活動をするようになってから勘が鈍ったか!」
スティングレンは、そう言うと再びグランドハンターを無数に発射する。マーティはシールドブーメランで攻撃を防ぐが爆発に呑まれる。
「・・・・・・・すまない。」
あれ程の規模の爆発ならおそらくもう助かるまい。スティングレンは水中に戻ってマーティの残骸が残っていないかどうかを調べ始める。
「まさか教え子を破壊することになるとは・・・・・・・・・・・」
スティングレンは、少し潜ってみると底にシールドブーメランが確認できた。
「シールドに対してダメージがない?っという事は・・・・まさか!?」
スティングレンはすぐに水面に戻ろうとする。しかし、その直後砂の中から何かが飛び出し彼の体を射抜いた。
「グオッ!?」
彼は飛んできた先を見るとそこには破壊したと思っていたマーティが槍を構えていた。
「アンタの隠れ技・・・・・・・真似させてもらったわ。ちょっとでも間違えたら砂に埋もれるところだったけど。」
「ぐっ・・・・・・」
スティングレンは、槍の先をどうにか引き抜いて水面に上がる。傷はそこまでひどくはなかったがどういうわけか凍り付いていた。
「これは・・・・・・・」
「じいさんに属性チップの効果を槍の先端に作用できるように改良しておいてもらったの。今使った属性は『氷』。寒冷地に適した設計じゃないアンタにとっては致命的なはずよぉ・・・・・・・・」
マーティも水面に浮いて種明かしをする。スティングレンは、それを聞いて傷口が凍り付いているのに納得する。
「な、なるほどな・・・・・・・・・しかし、どうして氷だと判断出来た?」
「・・・・・・・・“女の勘”ってものよ。アンタが昔クラス全員で食事会していた時、妙に飲み物に氷入れていなかったから。」
「そ、そんなことで判断するものか?」
マーティの意外な答えに思わずキョトンとする。
「でも、これで戦えないでしょ?」
「・・・・・いや、まだだ・・・・・」
スティングレンは、フラフラと浮遊しながらマーティを見る。
「私とてレプリフォースの士官の一人、軍の誇りにかけても投降するわけにはいかんのだ・・・・・・」
「・・・・・・それもジェネラルとカーネルの教え?」
「・・・・・フッ。そして、私の誇りでもある。」
「・・・・・・そう。」
スティングレンは、傷口の氷を抉り取り、ジェットを再び加速させる。
「行くぞ!マーティ!君が本当に・・・・・・真のハンターなら私の屍を超えていけ!!でぃやぁぁぁぁあああああ!!!!」
スティングレンは、最大速度でマーティにダイビングアタックを仕掛けようとする。
「・・なんで・・・・なんで自分の命を大切にしないのよ!この馬鹿教官!!!」
マーティは、頑固な彼に向かって槍を振り回し、すれ違う寸前で急所に深く突き刺した。同時にスティングレンの機能が停止し、その場で止まった。
「・・・・・・・アンタってホント馬鹿だよ・・・・もうまともに動けないのに無理するなんて・・・・でも、アンタは最高の教官だったよ・・・・・」
かつての恩師の最期を看取りながら、マーティは、水中でひっそりと泣いた。そして、彼の体からDNA端末のみ回収すると水底の砂中で手を合わせて手厚く葬った。
「・・・・・海を愛したアンタだからね。ここでゆっくり眠りなさい。」
水中から出るとマーティは外で待たせていたラッシュの元へ戻ってくる。主が戻ってくるなりラッシュは尻尾を振りながら駆けてきた。
『ワン、ワン!!』
「ラッシュ・・・・・ごめんなさいね。待たせちゃって。」
『ワン?』
「う、うんうん。いいの、気にしなくて。」
いつもと様子が違う事に気がつかれてマーティは誤魔化す。
「はあ・・・・・・・早くエックスの顔が見たいわぁ。ラッシュ、帰りもお願いね。」
『ワン!』
ラッシュは再度ライドチェイサー形態に戻り、マーティを乗せてその場から去って行く。
「・・・・・・・・」
マーティは、再度後方を確認する。
「・・・・・・・・・さようなら、スティングレン教官。“アタシたちの自慢の先生”。」
それだけを言い残すと彼女は前を向いてハンターベースへと戻って行った。
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