夢幻水滸伝
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第百四十話 波高しその十二
「そうやさかいな」
「それでやな」
「身体は試合やトレーニングの後は癒しておかんと」
「あかんな」
「怪我するわ」
スタインベックはデリーロに真剣な顔で話した。
「怪我したら自分も痛いし何よりもな」
「チームメイトやファン、特に子供達がだね」
「子供達に心配かけるのは」
それはとだ、スタインベックはエリカにも話した。
「ヒーローとして失格や」
「そもそも」
「そやからな」
「絶対にやな」
「そんなことにはならん様にな」
「身体のケアは忘れんな」
「そや、この身体も」
この世界での筋骨隆々のそれもというのだ。
「常に怪我をせん様にな」
「してるんやな」
「そや、後な」
「後?」
「最近将兵がやる気やのはええが」
軍の士気が高いことはとだ、スタインベックは述べた。
「ここで気になるのは」
「何や、それは」
「いや、戦をはよ終わらせたいってな」
「そう思ってるか」
「厭戦気分やないが」
それでもというのだ。
「はよはよってなってな」
「ああ、焦ってな」
それでとだ、デリーロも応えた。
「それが戦に影響する」
「そうならんとええな」
「自分そういうとこ結構見るな」
「これでも星のモンで軍勢率いてな」
そしてとだ、スタインベックはデリーロに答えて話した。その顔は神妙なものであり将のそれがはっきりとあった。
「政もやってる」
「そやからやな」
「それでや」
「そうしたことも見てやな」
「わいなりに考えてる」
「そやねんな」
「そこは言うてくか、しかし」
デリーロはこうも言った。
「日本軍弱いとかな」
「そうは思ってへんな」
「わい等がそれは戒めてるしな」
敵は侮るな、常に言っているのだ。
「それでや」
「日本は侮ってないな」
「そこはええ、しかし戦ははよ終わらせるにしても」
それに越したことはないがというのだ。
「焦るとな」
「あかんな」
「急いてはことをし損じる」
エリカははっきりと言った。
「そういうことやな」
「そや、焦るとな」
「しくじるわ」
「何でもな」
「ほなそこは軍に言うてくか」
「そこは棟梁さん達も見てるやろけど」
トウェインそしてメルヴィルがというのだ。
「わい等もな」
「言うておくか」
「そして戦になれば」
その時のことも言うのだった。
「落ち着いて周りを見てな」
「戦せんとな」
「あかんな」
「ほんまやな」
「何ていうか」
こうも話した。
「戦は侮ってもあかん」
「焦ってもあかん」
「難しいもんやな」
「何でも難しい」
スタインベックは結論の様に言った。
「そやな」
「そうなるか」
「そやろ」
こう二人に話した。
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