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ヘタリア大帝国

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TURN45 サフラン=ヴェーダその十一

「アラビアだけは何としてもだからな」
「その為にも」
「風呂上りの紅茶も用意しておくからな」
 これはイギリスの気配りだ。
「いいな。それじゃあな」
「お風呂に行ってきます」
「ゆっくり入れよ」
 こう言ってクリオネを送り出してからだった。イギリスはお茶の準備をした。一時間程してから戻ってきた彼女に紅茶を差し出してから問うた。
「すっきりしたか?」
「はい、お酒が抜けました」
「身だしなみも整ったな」
「クリオネちゃん復活です」
 自分でこう言う。
「もう大丈夫ですから」
「そうだな。じゃあこれからのことだけれどな」
「ネルソンさんもお呼びしますか?」
「ああ、そうだったな」
 イギリスも言われて思い出した。彼のことを。
「あの人にも来てもらうか」
「何とかここはですね」
「頑張るか。だがな」
「だが、ですか」
「正直戦力を失い過ぎたな」
 クリオネがやる気を取り戻してもだった。肝心の戦力をかなり消耗してしまいそれでこうも言うのだった。言わざるを得なかった。
「助っ人が欲しいな」
「助っ人ですか」
「スエズからの援軍は期待できないしな」
 そちらはそれどころではなかった。
「だからな」
「ううん、スエズは北アフリカから来るドクツ軍がいますから」
 戦力を割けなかった。全くだ。
「だからですね」
「ああ、俺達だけでやるしかない」
 今アラビアにいる戦力だけでだというのだ。
「けれどそれでもな」
「勝利を収めるにはですか」
「心許ないな」
 これがエイリスのインド洋方面での現状だった。
「ここはな」
「では。噂で聞いたのですが」
「噂?」
「はい、あくまで噂ですが」
 一応こう前置きするがクリオネは真剣にイギリスに話す。
「このアラビアに魔術師がいるそうです」
「魔術なら俺も使えるぜ」
 そうしたことにも精通しているイギリスだった。
「何ならやってみようか?ここでな」
「いえ、祖国さんの様な術ではなく」
「また違う感じかよ」
「はい、独特の術です」 
 それがクリオネが話す魔術師の術だというのだ。
「戦力になるものです」
「俺の術は呪いとかだからな」
「完璧に黒魔術ですね」
「何かそっちの方が得意なんだよ」
「ある意味祖国さんらしいですね」
「俺らしいかよ」
「妹さんは白魔術のイメージですが」
 それでもだというのだ。イギリスはだ。
「祖国さんはやはり黒ですね」
「何か褒められてる気がしねえな」
「確かに褒めてはいませんが」 
 クリオネ自身もそのことを認める。
「しかしけなしてもいませんよ」
「ありのままを言っただけだっていうんだな」
「はい、そうです」
 まさにそうだというのだ。
「それだけです」
「まあどうでもいいけれどな」
 イギリスはぼやき気味に返した。
「とにかくな。今はな」
「今はですか」
「ああ、その魔術師に会うか」
「何とかアラビアを守る為に」
 こう話してだった。イギリスとクリオネはネルソンも呼んでその上でクリオネが知っているその魔術師のことを調べだした。そのうえで今後こそ勝利を収めようとしていた。


TURN45   完


                            2012・8・11
 
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