八条学園騒動記
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第五百七十一話 差し入れその六
「迷惑千万だから」
「もうね」
「あの二人をね」
何とかというのだ。
「探偵から放す様にするわ」
「これからの努力はそっちに向けようね」
マルティもこう言った。
「あの二人については」
「是非ね、しかし意外だったわ」
レミはしみじみとしてこうしたことも言った。
「あの二人にそっちの才能があるなんて」
「人は誰でも才能が備わってるわよ」
七海はレミにこう返した。
「何かしらのね」
「そう言われるわね」
「誰でも何かの分野で天才なのよ」
「そうした才能を持っていて」
「二人の才能はね」
「お料理にあったのね」
「そういうことよ、完全に無能な人はいないのよ」
それこそ一人たりともとだ。七海はこうも言った。
「これがね、ただね」
「ただ?」
「悪い才能の持ち主もいるのよね」
ここでは眉を顰めさせた、そうして七海は話した。
「世の中は」
「ああ、いるわね」
レミも否定せず頷いた。
「確かに」
「嘘を吐く才能とか」
「持ってる人いるわね」
「盗みとか痴漢とかね」
「最悪殺人とか」
この悪事の才能も話に出た。
「あるわね」
「そうでしょ」
「いらない才能ね」
「悪いことする才能はね、けれどね」
「そっちの才能もあるのね」
「それも世の中ってことよ」
七海はレミに眉を顰めさせて話した。
「本当にいらない才能だけれど」
「あるのね」
「そう、それでね」
「それで?」
「天才的な嘘吐きでその才能を発揮したら」
「大変ね、詐欺師になるか」
レミも顔を顰めさせた、そのうえでこう言った。
「似非宗教家ね」
「どれかになってね」
「とんでもないことしでかすわね」
「カルト教団立ち上げたりね」
「平気で嘘吐く人っているからね」
レミはこうも言った。
「世の中には」
「それでその中でね」
「嘘を吐く天才だったら」
「もうね」
それこそというのだ。
「稀代の詐欺師かね」
「カルト教団の教祖ね」
「それになるわ」
「厄介ね」
「あと殺人の天才だったら」
七海は今度はこうした輩の話をした。
「殺し屋になる可能性もあるけれど」
「サイコ殺人鬼とか」
「殺し屋はお金をもらってするけれど」
つまり仕事以外では人を殺さない、若しその時以外に人を殺すとなるとそれはもう殺し屋ではないということだ。
「サイコ殺人鬼はね」
「お仕事じゃないからね」
「もう趣味でね」
「それで人を殺すから」
所謂快楽殺人である、こうしたことを行う輩も人類の歴史には存在しているのだ。
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