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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第七十二話 アルバートへ

ウロボロス内部へと侵入した三人。

アッシュとグレイをアルバートの元へと行かせるために率先して襲い掛かってくるイレギュラーだが、紅いオーラを纏ったヴァンが地面を殴り付けると、無数の光の柱が立ち昇り、瞬く間にイレギュラーは残骸となっていく。

イレギュラーを蹴散らしながら前進するヴァンをアッシュとグレイは追い掛けていく。

「ヴァンが味方で良かった。」

「同感だわ」

グレイとアッシュは一掃されていくイレギュラーを見つめながら呟いた。

そしてシャッターを抉じ開けると、先程とは違った荘厳さすら感じられる内装が施された通路に出た。

「アルバートの奴、本当に王気取りなんだな。派手な内装だ」

「本当に悪趣味だわ」

「酷いな、立場ある者は相応の場所にいるべきだと思わないかな?」

ヴァンの言葉にアッシュが同意すると、聞き覚えのある声にグレイが険しい表情を浮かべた。

「アルバート…!」

全ての元凶と呼べる男の登場に三人がアルバートを睨むが、アルバートは余裕を崩さない。

「…まさか飛行艇でこのウロボロスに突っ込んでくるとはね。進化に追いつけぬ者のやる事は野蛮だな」

「お前が空にこんな物を浮かべなかったらこんなことはしなかったんだけどな。」

「ふむ、それはすまなかったね。ところで…君達に会いたいという者達がいるのだが…彼らの相手をしてやってくれないか?」

アルバートの体が光ったかと思えば、次の瞬間には別の姿へと変わっていた。

ディアバーン

「裏切り者、モデルA…俺、お前、倒す!」

クロノフォス
  
「シャーッシャッシャッシャッ!この時を待っていたぞ、復讐の時をな!」

ローズパーク

「わざわざこんなところまで来るとは…!しつこい女だ。だが、君にまた会えて嬉しいよ少年…!」

カイゼミーネ
  
「あら…私にもおもてなしさせて欲しいわ」

コンドロック

「アンコールに応えて来てやったぜ!」

アーゴイルとウーゴイル

「覚悟せよ…二度も不覚は取らぬ…!」

テスラット
  
「処刑はまだ継続中なのよっ!」

バイフロスト

「王に仇なす者達め…今度こそ滅ぼしてくれる!」

アルバートが変身したのはアッシュ達が倒してきたフォルスロイド達であった。

「トランスオン…!」

「モデルAと同じコピー能力を何でお前が!?」

モデルAとグレイが目の前で起きた現象に目を見開くが、アルバートは何てことないように口を開いた。

「私の力はコピー能力などではない。モデルVの生け贄となった全ての魂が、私の中で生き続けている。突然変異で生まれたモデルOの全てを破壊し、滅ぼす力と対を為す…全ての命を操る力…それが究極のロックマンの力…真のトランスオンだ。この奥に彼らの新しいボディを用意した、遊んでやってくれ。私の元まで辿り着けたら…全てを教えてあげよう。何故君達が不完全とはいえ、トランスオンを使えるのか…君達の…正体をな」

アルバートは転送の光に包まれてこの場から消えた。

どうやらウロボロスの奥へと引っ込んだらしい。

通路の奥のシャッターを抉じ開けると、アルバートが言っていた通りに復活したフォルスロイドがいたが、クロノフォスを発見して最初にアルティメットセイバーによる一撃で一刀両断する。

「「ヴァン!」」

「先に行け!こいつらは俺が相手をする!」

一瞬、躊躇したが、ヴァンを信じて前進するアッシュとグレイ。

アルバートのいる場所に近いからか、守りが厳重になっていくが、数多くのフォルスロイドを含めたロックマンを倒してきたアッシュとグレイは状況に応じて変身を繰り返して突破していくのであった。

「ふんっ!!」

襲い掛かるバイフロストを両断し、次は蹴りを繰り出そうとしているディアバーンを返り討ちにしようとするが、赤い影が割り込んだ。

「たあっ!!」

割り込んだのはエールであり、ZXセイバーで横一文字に両断した。

「エール、ガーディアンベースを離れて大丈夫なのか?」

「ええ、粗方倒してきたから、後はハンターのみんなで充分よ。さあ、さっさとこいつらを倒してあの子達と合流しましょうか!」

頼もしい声にヴァンは笑みを浮かべてフォルスロイドの残りを片付けるために駆け出した。

そして一方、アッシュとグレイはアルバートの元まで後少しと言うところでガーディアンベースの突撃によって警備が手薄になったところをウロボロスに侵入したヘリオス達の妨害を受けていた。

「愚かなる選択…あのまま地上で逃げ回っていれば良かったものを」

ホバーで浮上しながらアッシュとグレイを見下ろすヘリオス。

「まだ僕らとの決着はついてないだろ?勝ち逃げなんかさせないよ!」

ハルバードを構えて冷気を纏うテティス。

「これ以上先へは行かせない!」

背負っていたナックルバスターを装備するアトラス。

「戦力差、四対二…コレヨリ目標ノ完全破壊ヲ開始スル!」

いつでも動けるように構えるシャルナク。

突然現れたロックマン達に動揺しながらも、アッシュとグレイはヘリオス達と戦っている暇はないと、口を開いた。

「あんた達…!この状況でまだそんな事言ってるの!?」

「アルバートは僕達を利用してたんだぞ!あいつは初めから自分が王になるつもりだったんだ!なのに、まだ戦うっていうのか!」

二人の言葉にヘリオスは二人を見下ろしながら言い放つ。

「些細なる問題…ならばこの中の勝者が奴を倒し、新たな王となるまで。最後の勝者が王となる…アルバート自身が決めたルールだ」

「あ~…もうっ!どうしようもない連中ね!」

アッシュの叫び声が響いた瞬間、フォルスロイド達を倒して駆け付けてきたヴァンとエールがヘリオス達に攻撃を仕掛ける。

「アッシュ、グレイ!ここは俺達に任せて先を急ぐんだ!」

「ここはアタシが引き受けるわ!グレイとアッシュは先へ行って!」

ヴァンのチャージセイバーとエールのチャージバスターによってヘリオス達は回避を余儀なくされ、アッシュとグレイを進ませてしまう。

「貴様ら…!」

「アタシはあなた達の方に用があるのよ。あなた達が使っているライブメタル達を返してもらうわ!」

「この戦いで運命のゲームは終わる。お前達がライブメタルを持っていても仕方ないだろう。それは俺達の仲間だ、返してもらうぞ」

ヴァンとエールはそれぞれの武器を構えながらヴァンはヘリオスとシャルナクを、エールはテティスとアトラスへと向かっていくのであった。

そしてアッシュとグレイはアルバートのいる玉座へと辿り着き、そこにいるアルバートを睨む。

「…そろそろ来ると思っていたよ、グレイ君。いや…寧ろ、来てもらわねば困る。これでようやく、私の計画は完璧だったという事が証明されたわけだ。アッシュ君も来てくれて嬉しい、とても嬉しい。そして…とても可哀想だ。モデルAと出会わなければ、何も知らずに死ねたものを…」

「…どういう意味?」

「…何が言いたいんだ?」

二人の言葉にアルバートは意外そうにしながらも、口を開いた。

「…何だ、モデルA。彼女達には話していないのか?君は全てを思い出したはずだ」

「…う、うるさい!アッシュ!グレイ!相手にすんな!さっさとやっつけちまえ!」

「ハハッ、残酷だな、君は…グレイ君、教えてあげよう!君は私の影だ!もしも…私が何者かに敗れた時、この玉座に座るのは君だったのさ!私が作った究極のロックマン、そのスペアボディ…それがグレイ君…君の正体だ。」

「僕が…究極のロックマンの…スペア…!?」

自分の正体に愕然となるグレイを放置して、次はアッシュに向き直る。

「そして、アッシュ…君は私の遠い子孫だったのだよ。まだ私が三賢人となる前に残した血族…その末裔なのだ。私の血を最も濃く受け継いだ人間だからこそ、君はモデルAで変身が出来た」

「でも…それはアタシの体にお前がデータを組みこんだから…!」

「違うよ、私は君に触れてもいない。君の出現は予定外だったのさ、そして君達の持つモデルAも私が作った物さ。適合者…つまりグレイ君にこの計画を伝えるための…ね。私の計画と知識の全てを納めた、バックアップシステム。故にモデル・アルバート…モデルAと名づけた」

アッシュの言葉を否定し、ついでにモデルAの正体も暴露するアルバート。

「…むかつく名前だ…!」

「そう言うな、直にその名も意味がなくなる」

モデルAの忌々しそうな呟きに笑みを浮かべながら、アルバートが玉座と融合し、巨大なメカニロイドへと姿を変える。

「「っ!」」

突如現れた巨体にアッシュとグレイは驚愕で目を見開いた。

「計画が完成した今、君らはいてはならない存在なのさ…よもや自分の子孫と分身を自分の手で消さなければならないとはね…悲しいよ。とても悲しい…けれど…嬉しいよ!私は自らの手で…唯一の存在になれるのだから!究極のロックマンは…私一人でいい!」

メカニロイドの頭部がアッシュとグレイに襲い掛かり、二人はそれをかわしながら突撃した。 
 

 
後書き
何でラスボスなのにあんな中ボスみたいにしたんだろうか 
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