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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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戦姫絶唱してないシンフォギアG~装者達の日常~
  大好きな君へ ~前編~ (風鳴翔誕生日回)

 
前書き
今日はなんと……翔くんの誕生日デース!
忙しさで忘れてましたが、フォロワーさんからDMで言われて思い出しましたw
うちの子の誕生日を覚えてくれている読者の存在……なんとありがたい事か……。

ってなわけで、今夜はシンフォギアXV一周年と共に、翔くんの誕生日も祝ってあげてください。
あと、今回はキャスがあるので半分だけの投稿となります。
後編は明日更新ですので、お楽しみに! 

 
「翔くんの誕生日……ですか?」

翼にそれを教えられたのは、ルナアタックの後。政府の管理下で監視されていた頃のある日だった。

「ああ、そうだ。きたる7月5日は翔の誕生日。今年は立花も祝ってくれるのだろう?」
「いいんですか!? わたしなんかがお邪魔しちゃっても……」
「立花は翔の恋人でしょう? 恋人の誕生日を祝うのは、当たり前でしょう?」
「それは……」

何やら気まずそうにしている響を見て、翼は首を傾げる。

「立花さん、もしかして自分に自信がないのかな?」
「爽々波……」
「純くん、クリスちゃん」

そこへ、純とクリスがやって来た。
純は得意の観察眼で、響の言動や表情から導き出した結論を口にする。

「い、いや~、そんな事は~……」
「誤魔化すんじゃねぇ。ジュンくんの目は誤魔化せねぇぞ」
「うッ、クリスちゃんまで……」

図星を突かれたようで、響は一瞬どもる。

「立花、誤魔化さないで正直に言ってくれ」
「……でも……」
「翔の誕生日、立花はどうしたいの?」
「ッ……それは……」

翼にそっと手を握られ、まっすぐ見つめられて、響はしばらく悩んでいた。

やがて、響は絞り出すように呟く。

「わたしも……翔くんの誕生日、祝ってあげたいです。でも……わたしなんかが来たら、迷惑なんじゃないかなって……」
「はぁ? なんだそりゃあ?」
「迷惑って、どういう事かしら?」

響の口から出た、思いもしない言葉。
翼を始め、誰もが首を傾げる。

「わたし、今でも信じられないんです。わたしが翔くんの恋人なんだって……。本当に、わたしなんかでよかったのかなって……」
「立花──」

次の瞬間、翼の平手が響の頬を打っていた。

「──ッ!?」
「翼さんッ!?」
「おいッ! ……ッ!?」

響の頬を叩いた直後、翼は響を抱きしめる。
何が起きたのか分からず、響は困惑した。

「いいか立花。お前は翔に選ばれたんだ。他でもない翔自身がお前を、立花響を欲したのだ。そしてお前自身もまた、翔を求めた。違うか?」
「……」
「翔はお前を愛しているからこそ、二課に入ることを選んだ。翔はお前を愛しているからこそ、戦場に立つための力をその手に掴んだ。立花の為なら翔は、自分の命さえ厭わない……それはあなたが一番よく知っているでしょう?」
「……ッ!」

その言葉で響の脳裏に、これまで翔がしてくれた事が思い出される。

常に真っ直ぐ響を見つめ、常に本気で響に向き合ってくれた翔の姿。
あの日、夕日の下で互いの想いを交わし合った時。響自身も、向かい合った翔も、同じくらいドキドキしていた。

フィーネとの戦いでも、翔は響を守る為に何度も立ち上がった。
暴走した時、暗闇の中から引き上げてくれた。

立花響にとって、いつの間にか心地の良い木陰となっていた彼の存在は、既に響を包み込むように大きくなっていた事を、彼女は自覚した。

「翔はね、立花さんの話をするとき、とっても楽しそうに笑うんだ。それくらい翔にとって、立花さんの存在は大きいんだ」
「あたしはお前らの関係がどうだなんて、大して知ってるわけじゃねぇ。でもな……お前が思っている以上に、お前はあいつの事、大事に想ってるんじゃねぇのか?」
「純くん……クリスちゃん……」
「もう一度聞くわよ。立花、あなたは翔の誕生日、どうしたいの?」

優しい表情で、真っ直ぐに見つめてくる翼の問いかけに、響は今度こそ胸を張って応えた。

「わたし……翔くんの誕生日、祝いたいですッ! 初めてできた好きな人の誕生日、精一杯祝ってあげたいですッ!」
「ああ……それでいいんだ、立花」
「はいッ!」

翔の誕生日を祝うと決めた響と、満足そうに笑う翼。
まるで姉妹のような雰囲気を醸し出している二人を見守りながら、純とクリスは笑った。

「それにしても、あのバカにしては珍しいな」
「友達に対してバカはダメだって……。でも、そうだね……これはあくまで僕の推測だけど、立花さんは“恋心”を正しく理解していないんじゃないかな?」
「なんだそりゃ?」

純の意味深な言葉に、クリスは首を傾げる。

「ほら、立花さんって博愛精神の塊みたいなところあるでしょ?」
「まあ……そうだな」
「多分、恋愛と博愛の違いがよく分かっていないんだよ。そこに彼女自身の自信のなさが加わって、『自分よりも他の誰かの方が翔を幸せにできるのでは?』って不安がどこかにあるんだよ。それこそ、翔への想いを見失ってしまうくらいにね」
「そういうもんなのか?」
「さあ。僕はクリスちゃんへの気持ちを見失ったことなんてないから……」
「ッ! さ、サラっとそういう事言うんじゃねぇよ、バカ……」

顔を真っ赤にしながら、純の服の袖を掴むクリス。
純は微笑みながら、もう一度響と翼の方を見る。

「でも、翔ならきっと、立花さんの不安を吹き飛ばしてくれる」
「……根拠はあんのか?」
「そういう男なんだよ、翔は」
「ふぅん……」



──これが遡る事一か月前のこと。

そして今日は、翔の誕生日当日だ。
響は一生懸命用意したそれをテーブルに置き、翔を呼びに向かって行った。 
 

 
後書き
改めて、翔くん!ハッピーバースデー!! 
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