おっちょこちょいのかよちゃん
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58 敵勢力の出現
前書き
《前回》
かよ子は石松の死後の話を聞く。石松は遠江にて騙し討ちに遭った後、平和を司る世界に辿り着き、フローレンスとイマヌエルに出会う。そして己を鍛え直し、大政に小政などの同志達と再会した石松は、第二次世界大戦にて敗戦し、荒廃した日本の復興の姿をその世界から見守っていたのであった!!
かよ子は石松の話を聞いていると、ある事を思い出した。
(じゃあ、お母さんや隣の家のおばさん、りえちゃんのお母さんがその道具を貰えたのは石松のお陰なのかもしれない・・・!!)
かよ子は以前、母が異世界の杖を手にした経緯を聞いた事がある。それはフローレンスから御穂津姫を通して貰った事は知っていたが、今回の石松の話にてさらにその前の出来事を聞いた為、繋がりを感じる事ができた。
石松は話を続ける。
「だが、必ずしも安泰という訳ではなかった。無差別に尊き命を奪う事を正義とする世界の者とも争わなくてはならなかったのだ」
「それって戦争を正義とする奴らの事かブー?」
「誠に」
平和を司る異世界。石松は己が今いる世界から嘗て自身が住んでいた世界を見守り続けていた。そんな中、同志の一人である関東の綱五郎と共に酒を飲みあっていた時の事である。
「綱五郎。某らは刀をこれといった事に使用していないが、これこそあちらの世では無闇に使用する時代ではないとの事であるし、単なる飾りにしか思えなくなってきた」
「確かにそうであるな。ここでは戦などありえぬ地であるから・・・」
その時、外で爆発音が聞こえた。
「な、何事であるか!!」
「大変だ~!!」
大政が飛び込んできた。
「何があったのだ!?」
「急に何者かがこちらに攻めてきたぞ!」
「ばかな!!この世界ではそのような考えは時代遅れのはずであるぞ!!」
「それがそいつらの思考は我々とは全く異なっているようなのだ。先ほど、この世界の人間が三人ほど抹殺された!!」
「何だと!こんな事があってなるのか・・・!!」
「石松、この刀を使用する必要が出てきたかもしれぬ」
「どうやらそのようであるな」
石松も綱五郎も、戦いに参加しようとした。
(すまぬ、フローレンス、イマヌエル・・・。お主らとの契りに背いてしまって・・・)
石松と綱五郎、さらに大政、小政は仲間を集めた。そして現場に向かう。
「何奴、出会え!!」
その時、怪しげな男が現れた。眼鏡を掛けた西洋人の男性だった。
「何者だ、お主は!?」
石松達は刀を向けながら問答した。
「私はトロツキー。この世界はヘーワとかいうシソーに取りつかれて弛んでいる。その為、ブリョクを持つ事が必要なのだ」
「何だと!?その武力とやらの思想は既に時代遅れのはずだ!!」
「それは貴様らが勘違いしているからなのだ。何がヘーワだ。そんなものは弱き事だ」
「下らぬ事を申すな!尊き命を何だと思っておる!?」
「命はブリョクとボーリョクの為にある!!それが尊さというものなのだ!!」
(何をメチャクチャな事を言う輩であろうか!!)
「貴様らも逆らうのであるならば消すぞ!!嫌なら私に寝返るのだ!!」
トロツキーは要求した。
「石松、どうする!?」
綱五郎が確認をとる。
「簡単に要求を呑める筈がなかろう。フローレンスやイマヌエルとの約束を破棄するなど以ての外である!!」
「悪いが我々は断る!!」
石松は主張した。
「何だと!?ならば約束通り抹殺しよう!」
「約束なんかしておらぬ!そっちが一方的に決めたのであろう!!」
「やかましい!トーヨーのサルどもめが!」
トロツキーは怒りの形相で石松達を消そうとした。その時・・・。
「おやめなさい!!」
「侵略者め、何しに来た!?」
フローレンスとイマヌエルが現れた。
「私の邪魔をするな!!私の攻撃で貴様ら皆殺しだ!!」
トロツキーは一挙に抹殺しようとした。しかし、何も起こらなかった。
「何故だ、なぜ、何も起こらない!?」
「君の能力は我々が張った見えないバリアで無効化した。これ以上我々の世界で好き勝手するのなら、これだけでは済まさんぞ」
「この野郎ども!覚えてろよ!」
トロツキーの集団は退散した。
「貴方方、お怪我は?」
「ああ、某は無傷である」
「だが、ここの住人三人があのトロツキーとか言う奴の集団に殺されてしまった!」
小政は報告した。
「何と言います事でしょうか・・・」
「フローレンス、イマヌエル。某達もお主らの約束に背いて奴らに刀を向けてしまった事はお詫び致す。だが、彼らは一体何者なのだ?」
「あの者は争いを正義とします世界の人間です。現世におきまして恨みを抱いたきました者、虐殺や暴力主義者として生きておりました者はその世界へと住み着きます」
「まさか奴らが我々の世界にまで干渉するとは思いもしなかった。だが、これは急な事態だったし、君達の行為はやむを得ん事だから責めるつもりはないよ」
「だが、我々にはその争いを司る者達に対抗できるのであろうか?」
「勿論ございます。ですが、その武器は必ずしも敵の勢力に対してのみであり、回復作用および防御を強化します作用のあります能力を除いて、決して味方に対して使用しましてはいけません。たとえ仲違いしました時であってもです」
「分かった。誓おう!」
「分かりました。では貴方達がお持ちであるその刀を強化致しましょう」
フローレンスとイマヌエルは指を差した。その時、二人の指から光線のような物体が発射され、石松達の刀を光らせた。刀は特に変化はなかった。
「一体何をしたのであるか?」
「刀を強化致しました。貴方達が生前の世界におりました時よりも斬る力を強めております。また横に一振りする事で見えない壁を作って相手の攻撃を防ぐ事ができます」
「これなら奴らにも十分太刀打ちできるよ」
「恩に着る。本当にすまぬ・・・」
「いいんだ。君達にもこの世界の一員だからね」
「ありがとう。また奴らが来たら必ず迎え撃つ」
石松達は昇天後の新たな戦いに決して屈しないと誓うのだった。
後書き
次回は・・・
「親分との再会」
平和を司る世界と戦争を司る世界の抗争は続く。そしてその抗争はかよ子達の住む世まで巻き込むという混沌とした状態になった事をかよ子は改めて顧みる。そして石松の過去話が続く中、石松達は己の「親分」と再会する・・・!!
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