ヘタリア大帝国
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TURN43 インドカレーへその六
「東南アジアとオセアニアの植民地を全て失っているのですが」
「そっちの経営的にもだよな」
「その分火の車なんですが」
焦った顔で言うクリオネだった。
「これでインドを失えば」
「アラブだけでやっていけるか?」
「破産決定です」
インドを失えばそうなるというのだ。
「東インド会社は終わりです」
「終わりたくないよな」
「私に首をくくれっていうんですか?」
「それか別の会社を立ち上げるかな」
「馬鹿言わないで下さい」
クリオネも必死だった。彼女にとって自分がけいえいする東インド会社を失うことは即ち死を意味することだからだ。
「東インド会社を今の状況にするまでに私がどれだけ」
「心血を注いだかっていうんだよな」
「ここまでの流通システムをするにもですね」
「大変だったよな」
「折角東南アジアとオセアニアにも確立したのに!」
クリオネの言うことは徐々にヒステリックな感じになってきた。
「日本のせいで!ガメリカと中帝国は独立を早速承認して!」
「お、おい」
イギリスは騒ぎだすクリオネを止めようとする。
「ちょっと落ち着けよ」
「すいません、つい」
「気持ちはわかるがな。まあ飲んでくれ」
イギリスはクリオネに自分が淹れた紅茶を差し出した。それをクリオネに飲ませる。
「とりあえずな」
「ミルクティーですね」
「コーヒーや烏龍茶は出さないから安心しろ」
「そんなものは出されても飲みませんから」
無論緑茶もである。
「何があろうとも」
「安心しろ、俺もだ」
「ですね。流石は祖国さんです」
「それで紅茶飲むか?」
「有り難うございます、頂きます」
クリオネはイギリスの差し出す紅茶を受け取った。そのうえでだ。
紅茶を飲む。それからこう言うのだった。
「とにかく。インドを失うことはエイリスにとって大変な損失です」
「東インド会社も破産確定だからな」
「そんなことは絶対に許してはなりません」
「だからか」
「ネルソン提督の申し出有り難く受けさせて頂きます」
こうイギリスとネルソンに対して言う。
「祖国さんと東インド会社の為に」
「悪いな、それじゃあな」
「はい。ではすぐにこちらに艦隊を送ります」
「これでこの星域での戦いに勝利を収めた後で」
どうなるかとだ。ネルソンが言う。
「インドの諸星域に進出できますね」
「ああ、インドは死守できるな」
エイリスの世界帝国の座もだった。
「何とかな」
「はい、それではです」
「全軍このまま布陣だよな」
「この上下に砂嵐が吹き荒れている中で」
エイリス軍はその砂嵐にサンドイッチになっている状況なのだ。
「太平洋軍と戦います」
「上下から来られないからな」
これが大きかった。東郷の指摘通り。
「奇襲は仕掛けられない」
「正面から来るならば数と装備で優位に立つ我々が有利です」
「勝つか、今度こそ」
「はい、絶対に」
「とにかくですね」
ここでまた言うクリオネだった。
「インドを失う訳にはいかないですから」
「何か必死だな」
「当然です。私はカレッジを卒業してすぐにこの会社に就職して」
そしてだというのだ。
「ずっと仕事一筋でやってきたんですよ」
「だからか」
「東インド会社は私の子供みたいなものです」
尚クリオネは三十歳だ。当然未婚で男女交際の経験もない。
「その東インド会社を失えば」
「だから頼むって言ってんだけれどな」
いい加減イギリスも引いてきた。
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