ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
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Dr.ドップラー
ドップラーの研究施設
エックスは、ゼロたちと距離を置いて進んでいた。その後ろ姿を心配そうに見ているゼロたちだが今声をかけても却って逆効果になると思い、一定の距離をとりながらエックスを見守っていた。
(今はドラえもんを助け出すことが優先だ。)
エックスは、それ以外のことをできるだけ考えないようにしていた。考えるとまた自分を見て動揺する仲間たちの顔が浮かんでしまう。
「・・・・・・・」
そんなふうにしていたこともあってエックスは、一機メカニロイドを撃ち漏らす。
「なっ!?しまっ・・・・・・」
自分に攻撃しようとした一瞬、ゼロが後方からバスターで撃ち落としてくれた。
「あっ・・・・・ありがとう、ゼロ・・・・」
エックスは、不安を抱えたまま先へと行く。
奥へと進んで行くと広々とした空間へと辿り着いた。
元々何かのトラップを設置する予定だったようだがもぬけの殻だった。
「・・・・・・どうやら、ここは防衛用のメカニロイドを設置する予定だったらしいな。だが、俺たちが来るのが予想以上に早くて間に合わなかったようだ。」
ゼロは僅かに残っている痕跡を見て推測する。どうやらドップラーの方も焦っているようだ。
「なら、話は早いわ。早く博士を取っちめてじいさんにエックスの体を診てもらいましょう。早くしないと・・・・・・」
マーティは、言いかけた時思わず口を塞ぐ。すぐ後ろではエックスが無言で自分の手を眺めていた。
「・・・・・・・」
「え、エックス!?アタシ、別にそんな意味で言ったんじゃ・・・・・」
「いいんだ。気にしなくても。」
エックスは彼女の顔を見ることなく移動を再開する。そして、ゼロの隣に差し掛かった時、小声で言う。
「・・・・・・・・ゼロ、もし俺がまたあの姿になってみんなを殺そうとしたときは・・・・・・」
その言葉はゼロのメモリーに強く残った。
「俺をイレギュラーとして処分してくれ。手遅れになる前に。」
ドップラーの研究施設 最深部
いくつもの部屋を抜けてエックスたちは最終ブロックへと到着した。
「ここにドラちゃんが・・・・・」
「ドラえもん・・・・」
「よっしゃ!突撃!!」
ジャイアンが言うのを皮切りに全員で扉の方へと入って行く。
部屋は薄暗く視界が悪かったが奥で老人らしき人物が椅子に座っているのが確認できる。
彼こそが今回の事件の犯人ともいえるDr.ドップラーだ。
ドップラーは、エックスたちが来るのを確認すると不敵な笑みを浮かべ椅子から立ち上がった。
「待っていたよ、エックス君。私がドップラーだ。君たちの活躍はじっくり拝見させてもらったよ。我が側近をあそこまで破壊するとは大したものだ。一瞬、イレギュラーに見えるほどにね。」
「くっ!」
エックスは、思わず歯ぎしりをする。そんな彼に対してドップラーは余裕を崩すことなく話を続ける。
「まあ、そう怒らないでくれたまえ。その君の力を見て思ったのだが、我らに手を貸すつもりはないかね?君が我らと手を組み、そして、我らと共にシグマ様の元でレプリロイドが全世界を支配する理想郷を築こうじゃないか?悪い話ではあるまい。」
「断る!貴様の・・・・・シグマの計画はここで終わりだ!さっさとドラえもんを返せ!」
「ドラえもん?・・・・・・・!そうか、あのレプリロイドのことか。中々興味深い素材だったよ。では、彼を返却するのを条件にどうかね?」
「ふざけるな!!早く返すんだ!!」
エックスは、表情を険しくしてドップラーに向けてバスターを構える。
「・・・・・フン!愚かな!では、君には消えてもらうしかないな。そして、我がシグマ様のボディパーツとなるがよい!行け!!」
ドップラーは、白衣を脱ぎ棄てると同時にエックスたちの目の前に巨大な何かが落下してきた。
「コイツは、私の新作の一つでね。生憎時間がなくて護衛用のメカニロイドを解体して組み上げたんだ。制御ユニットとしては十分に役に立つのでね。」
よく見るとメカニロイドは、象型とクラゲ型を組み合わせたような外見だった。だが、その頭部の頂点を見た瞬間、エックスたちは唖然とした。
「あ、あれは・・・・・・」
「「「まさか・・・・」」」
明らかに無理矢理取り付けられた青く丸い頭。
「ドラえもん!?」
そう、メカニロイドの頭部にドラえもんが取り付けられていたのだ。しかし、当のドラえもんは明らかに正気ではなかった。
「ドラ?ドラララ・・・・・・・」
「ドラえもん!・・・・うわあっ!?」
エックスが近寄ろうとしたところ象型の鼻から強酸が飛ばされる。
「エックス!」
「おっと、ゼロ君。悪いが君たちの相手は私がさせてもらおう。」
エックスたちのところへ向かおうとするゼロとマーティの目の前にドップラーは、光弾を放ちながら立ち塞がる。
「そこを退け!!」
ゼロは、バスターでドップラーを攻撃する。しかし、ドップラーは構えを取ると電磁フィールドが発生し、バスターの光弾を吸収してしまった。
「何ッ!?」
「残念だが君たちの戦闘データは配下たちとの戦闘で収集済みなのだよ。」
ドップラーは炎で自分の目の前にシールドを形成し、ゼロに体当たりする。数千度はあるのではないかと思われる炎がゼロの体を焼く。
「グワアアァアア!?」
「君も実に興味深い実験材料だ。どこまで持ちこたえられるか試させてもらうよ。」
「ハアアアアアアア!!」
その背後からマーティがバーニアを吹かしてドップラーに突っ込もうとする。
「愚かな。」
「なっ!?」
ドップラーは、命中する寸前に上空へと飛び上がりマーティの攻撃はゼロに命中してしまう。
「グウゥ!!」
「ごめんなさいゼロ!」
「謝る暇はあるのかね?」
「ハッ!?」
自分の真上に迫るドップラーを見てマーティは身構える。そして、ドップラーの手が彼女のアーマーに触れた瞬間、高圧電流が彼女を襲う。
「ア゛ア゛ァァァァアアア!!!」
「クックククク・・・・・・いくら凄腕のイレギュラーハンターとて研究してしまえば赤子の手を捻るようなものよ。」
『ワオォン!!』
「ぬっ?」
倒れたマーティを助けるかのようにラッシュが噛みつこうとする。
「無駄だ。」
『ワオォォォォォォォオオオ!?』
噛みついた直後、ラッシュの全身から火花が立ちぐったりと倒れてしまう。
「ラッシュ!?」
「今の私の体はナマズロスの三倍以上高い電流が流れている。いくら私を捕らえたところで倒れるのは君たちの方なのだよ。」
「くそ!」
ゼロは、サーベルを引き抜いてドップラーと対峙する。
「近接武器では君の方がダメージを受けてしまうのではないかね?」
「そうだろうな、だがお前に付き合っているほど俺はお人好しじゃないんだ。」
ゼロはダメージ覚悟でドップラーに斬りかかる。
「グッ!」
「フッフフフフ。さて、私と君、どちらが先に倒れるか比べようじゃないか。」
ドップラーは光弾でゼロを攻撃し続ける。
一方のエックスとジャイアンたちは必死にドラえもんに呼びかけていた。
「ドラえもん、目を覚ましてくれ!!」
「ドラララ?」
ドラえもんは、クローアームで攻撃する。エックスはヴァリアブルエアダッシュで頭部まで上りドラえもんの目の前にまでくる。
「ドラえもん。俺だよ、のび太だよ!!」
「ドラ!」
「グッ!」
ドラえもんに掴まそうとした瞬間、複数のミサイルがエックスに命中する。
「ドラちゃんやめて!!」
「ドラえもん、俺たちのことがわからないのかよ!?」
「大好きなどら焼きご馳走してあげるから!元に戻ってよ!?」
「ドララララ!」
「「「うわあぁあ!?」」」
ジャイアン達の声が届くことなくドラえもんは容赦なしに彼らにミサイル攻撃を行う。エックスはクローアームで攻撃されながらも必死にドラえもんに呼びかけ続ける。
「ドラえもん、思い出してくれ!あんなに一緒にいたんじゃないか!僕たち友達だろ!?」
「ドラ?」
「グウ!・・・・・ほら、最初に会った時のこと憶えているだろ?アルバム見て僕のことをバカにして・・・・・」
「ドラ!」
「うぅ・・・・・・一緒に冒険だって言っただろう?ほら、僕のせいで魔界を冒険する羽目になったり、石にされたり・・・・・グフッ!」
何度も殴られながらもエックスは、ドラえもんから離れようとしない。
「学校に遅刻しそうになった時、叩き起こしてくれたり道具で助けてくれただろう!?本当に忘れちゃったのか!?」
「ドラ!」
「・・・・・・・もう、わがまま言わないから、お願いだよ。元のドラえもんに戻ってくれ!」
「ドララララ~!!」
「ガアアアアアアアァアアア!!!」
数十弾のミサイルがエックスを直撃する。
「・・・・・・・、道具出してなんか言わないから・・・・・朝だって一人で起きれるようになったんだ・・・・・勉強だって一人でできるようになったんだよ?頼むよ・・・・・・僕の知っている・・・・あのドラえもんに戻ってよ・・・・・・・」
「ドララララ。」
「ドラえもん・・・・・・」
ドラえもんの頭に抱き着きながらエックスは呼びかけ続ける。
「・・・・・・の・・・・・・の・・・・・・」
「!?」
「のび・・・・・・・」
「ドラえもん!?」
一瞬、自分の名前を呼びかけた。正気に戻り始めたとエックスはドラえもんの顔を見る。
「ドラララ~!!」
「ガアァ!?」
しかし、期待虚しくクローアームが直撃してエックスは壁に激突して床に落ちた。
「ぐう・・・・・・」
「お兄ちゃん!」
玉美は急いでエックスの元へと走って行く。
「玉美ちゃん、危ない!」
「戻って来い!」
玉美に気づいたドラえもんは、あろうことか彼女に向かってミサイルを撃とうとする。
「や、やめろ!ドラえもん!?」
「ドラえもん、お願い!もう、やめてよ~!!」
「ドラララ・・・・・」
不気味な笑みを浮かべてドラえもんは、玉美に向かってミサイルを撃つ。
「やめろおおおおおぉおおおおお!!!」
エックスは、体に鞭を打って玉美の元へと走って行く。しかし、ミサイルは玉美の目の前で地面にぶつかり爆発を起こした。
「きゃああぁあああぁあああああああ!!!」
「玉美!!!」
爆風で玉美は後方へと飛ばされ落下し、そこからピクリとも動かなくなる。
「「「玉美ちゃん!?」」」
「何!?」
「そんな!」
全員がその光景に呆気に取られている中、ジャイアンたち三人は玉美の元へと走り、彼女の小さい体を抱き上げる。
「おい!玉美ちゃん!しっかりしろ!!」
ジャイアンは必死に呼びかける。しかし、玉美は動かなかった。
「・・・・・・心臓が止まっているよ!?早くしないと!?」
「待って、・・・・・あった!お医者さん鞄!」
しずかはお医者さん鞄を取り出して急いで治療にかかる。
「あ・・・・あぁ・・・・・・・・・」
目の前でつい少し前に一緒に暮らしていた玉美を戸惑うことなく撃ったドラえもんを見てエックスは言葉を失う。
同時にエックスの中で何かが切れた。
「ウ、ウ、ウオオオオオォオオオオオオオオオオオ!!!!!」
「「「!?」」」
「あっ!」
「まずい!」
「ほう・・・・」
「ドラ?」
ドラえもんの目の前でエックスは叫び声をあげながら体全体から再び赤黒いオーラを纏った。今回はオーラだけではなくアーマーにも影響が出始め、白の部分が黒へ点滅するように安定していない。
「ウゥウ・・・・・・・・ウウウウウ!!!」
「ま、まさか・・・・・・」
ゼロは嫌な予感がした。
「ドララララ~!!」
ドラえもんは再びクローアームでエックスを攻撃しようとする。しかし、エックスは、残像を残しながらドラえもんへと急接近していく。
「ドラ!?」
エックスは、メカニロイドのクローアームを掴むとグミのように捻じ曲げて破壊する。
「・・・・・」
「ドララララ!?」
ドラえもんは、慌ててミサイルを発射する。そのミサイルも避けることなくエックスはバスターで撃ち落としていく。よく見ると腕がバスターに変形しているのは一瞬でまるで手から光弾を出しているように見えてしまう。
「ドラララ・・・・・」
「・・・・・・」
ミサイルを使い切って焦ったドラえもんは、象型の鼻を切除して床一帯を強酸の海に変えようとする。
「・・・・笑止!!」
「ドラッ!?」
エックスはなんと象型の鼻に右腕を突っ込んで塞ぐ。同時にバスターに変形させ、鼻からバスターを連射していき、強酸はドラえもんの方へと逆流していく。メカニロイドのボディは強酸に耐えきれず所々から亀裂が入り、漏れ始める。
「やめろ、エックス!そんなことをすれば・・・・・・・」
「砕け散れいぃ!!!」
エックスは、とどめとばかりにフルチャージショットを繰り出し、メカニロイドをドラえもん諸共爆発させる。
「あ・・・・・・・」
その光景を見てマーティは絶句した。エックスが正気を失っていたとはいえ、かつての親友をこの手で殺めてしまったのだ。更にそこでは終わらず、エックスは高速移動でドップラーとゼロの間に割って入る。
「「なっ!?」」
驚く間もなく一瞬目の前が暗転し、エックスの無数の拳がドップラーに炸裂。視界が戻るとエックスの足元にほぼ瀕死状態のドップラーが倒れていた。
「ドップラー!?」
「・・・・我はエックス。修羅の鬼なり!!」
「エックス・・・・・・どうしちゃったの?」
エックスの変貌ぶりにマーティは、動揺を隠しきれなかった。
「・・・・我は、鬼を極めし者。うぬらの無力さ、その身に思い知れい!」
「・・・・・とうとう本当にイレギュラーになっちまったのか・・・・・」
ゼロは、信じられず思わず拳を握り締めた。そして、右腕を地面に打ち付ける。
「アースクラッシュ!!」
床を吹き飛ばして、エックスの視界を遮らせるとゼロは、ダッシュをしながらサーベルでエックスに斬りかかる。
「・・・・・残像・・・・・」
斬れたのは残像で既にエックスは背後に回り、ゼロに向かって回転蹴りを披露する。
「グッ!」
「どうした?うぬの力は、その程度か?」
「くっ!」
ゼロはバスターでエックスを攻撃するがこともあろうことかエックスは平手でバスターの光弾を弾き飛ばしてしまった。
「この程度の技で我に挑もうとは笑止!!」
エックスは大ジャンプをし、バスターにドリルファングのチャージ版であるドリルを装填させ、ゼロに飛び掛かる。ゼロは、フルチャージショットでエックスを撃ち落とそうとするがエックスには通用せず、ドリルは、ゼロの右腕を捩じり取って床に激突。地面にひび割れを起こした。
「「「わわわわわ!?」」」
玉美を治療中のジャイアンたちは思わず動揺するが地割れは、先ほど吹き飛ばされたドラえもんをメカニロイドの残骸と共に地の底へと落として行った。
「ドラちゃん!?」
「「ドラえもん!?」」
「グ・・・・・・グウ・・・・・・・・」
右腕を奪われてゼロは傷口を押さえる。そこへエックスがゆっくりと歩いてくる。
「とどめだ。」
「・・・・・エックス・・・・・正気に戻れ・・・・・・このままだとお前は・・・・・本当に・・・・・」
エックスは、バスターのチャージを始めようとする。
「やめろのび太!」
そこへジャイアンたちがエックスを取り押さえる。
「もう、戦いは終わったんだ!いつもののび太に戻れよ!」
「・・・・・・弱者が。邪魔をするな。」
「お前、ドラえもんに続いてゼロさんまで倒すつもりなのか!?」
「これ以上、のび太さんがこんなことをしたら玉美ちゃんやマーティさんが悲しむわ!お願いだからこれ以上暴れるのはよして!」
「マーティ?玉美・・・・・・痛!」
エックスはチャージをやめて額を手で押さえる。すると白黒に点滅していたアーマーが白に戻り、オーラが消えた。そして、目を開けるといつものエックスに戻っていた。
「・・・・・・・俺は・・・・また・・・・・・!?そうだ!?ドラえもんは!?」
エックスはドラえもんを倒した場所を見る。そこは先ほどの攻撃で大きな穴が開いているのみでドラえもんの姿はなかった。
「お、俺がやったのか?俺が・・・・・・・・ドラえもんを殺したのか!?」
「「「・・・・・・」」」
「あ・・・・・・・あぁぁあああああああああああ!!!」
絶叫を上げるエックスに対して、ジャイアンたちは黙ることしかできなかった。
「俺がドラえもんを・・・・・ドラえもん!!」
目から涙を流すエックスは、跪いて穴を見た。そこは果てしなく深く、底は見えなかった。
「ドラえもん・・・・・・ごめんよ・・・・・・ドラえもん・・・・・」
「エックス・・・・・・」
悲しみエックスの姿を見てマーティは何もできなかった自分に悔しがる。
そんな時、先ほどまで動くこともなかったドップラーがゆっくりと起きがった。
「え・・・・・・エックス君・・・・・」
「ドップラー!?正気に戻ったのか!?」
「・・・す、すまないことをした・・・・・シグマに操られていたとはいえ、君の親友に手をかけてしまい・・・・・うぅ。」
「お、おい、じいさん!?」
倒れたドップラーをジャイアンたちは急いで支える。
「・・・・し、シグマの正体・・・・それは悪性のプログラムウィルスだ・・・・・。私は奴の対策として抗体プログラムを製作していたが不覚にも奴に洗脳され・・・・・・世にも恐ろしいボディを作ってしまった。」
「・・・・・ドップラー博士、そのボディはどこにあるんだ?」
ゼロは、傷を押さえながらドップラーに聞く。
「・・・・・ボディは既に奴の本拠点があるドッペルタウンに運ばれてしまった・・・・・だが、まだ起動プログラムの最終調整が終わっていない。」
ドップラーは、エックスの前まで歩いてくる。
「早く奴がボディを使う前に破壊してくれ・・・・・・もう、あまり時間が残されていない。私のことは構わずに・・・・・」
「・・・・・・マーティ、悪いけどゼロとドップラー博士をハンターベースに送っててくれないか?」
エックスは、マーティの顔を見ないで言う。
「えっ?エックスはどうするの!?」
「・・・・・・俺は、シグマを倒しに行く。ここからならドッペルタウンまでそう遠くない。」
「無茶よ!?一旦、ハンターベースに戻ってから・・・・」
「そんな時間はない!こうしている間にもシグマはボディの最終調整を進めているんだ!!急がないと手遅れになる!!」
エックスは、そう言うとラッシュの元へと行く。ラッシュは尻尾を振りながらエックスの前でお座りする。
「ラッシュ、ライト博士から預かっていた強化チップを全部出してくれ。」
『ワン!』
ラッシュは胴体部をスライドさせて強化チップを取り出す。エックスは四枚すべて受け取る。
「どうするのエックス?」
「・・・・・・くっ!」
なんとエックスは強化チップをすべて自分の体に取り込んでしまった。その瞬間、彼の体から電流が漏れ出し、一時放電状態になりかけた。
「グワアアアアア!!」
「エックス!?」
「「のび太!?」」
「のび太さん!?」
しばらくすると先ほどのように赤黒いオーラは発生していないものの、アーマーは黒に変色していた。
「はあ・・・・・はあ・・・・・・これで大丈夫だ。」
エックスは、ドップラーの前にまでくる。
「ドップラー博士、この施設にライドチェイサーはありますか?」
「地下ドックに数機置いてある。」
「ありがとうございます。一機お借りします。」
エックスはそう言うと地下ドックの方へと歩いて行く。
「エックス!」
「心配ないさ、シグマとはこれで四度目なんだ。負けはしないよ。」
「でも・・・・・」
「ボディさえ破壊すれば奴も逃げ場を失う。」
「だけどよ、全員で行った方が・・・・・」
「いい加減にしてくれ!!これ以上足を引っ張られるとこっちが迷惑なんだよ!!」
エックスは、鋭い目つきで全員を見る。
「今まで散々足を引っ張ってきて!これ以上、やられると面倒なんだよ!!」
「何だよその言い方は!!」
「事実だろ!!そもそもドラえもんが捕まらなければこんなことにはならなかったんだ!!」
「エックス!」
「君だっていい加減に受け入れたらどうなんだ!はっきり言って今の君は俺にとって邪魔にしかならないんだ!!」
「!?」
エックスに怒鳴られてマーティはショックを受ける。エックスは、そこまで言うとまた足を進めようとする。
「・・・・・待て、エックス。」
「ゼロ、君まで・・・・」
「止はしないさ。俺もこの状態じゃ何もできないからな。」
ゼロはサーベルをエックスに渡す。
「俺のビームサーベルだ。持っていけ。」
「・・・・・・」
エックスは黙って受け取る。そして、過ぎ去ろうとした瞬間、ゼロは誰にも聞こえない声でエックスに声を掛ける。
「・・・・・・・生きて帰って来いよ。みんな、お前のことを大事に思っているんだからな。」
エックスは地下ドックでチェバルに乗り込むとドッペルタウン目指して走り出した。
「・・・・・・・さようなら、みんな。」
その目から涙を流しながらエックスは一人ドッペルタウンへと向かって行った。
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