リリカルな世界で、それでも生きる罪《アマゾン》を背負う
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俺の義妹/わたしのおにいちゃん
前書き
気づいたら7000字超えてました。嘘だと思うだろ?これ、まだ原作スタートすらしてないんだぜ? 次回から本編に入っていきたいと思いま。
それとも設定資料作った方がいいですかね?
「すぅ...すぅ...」
「はぁー......なのは、起きろ」
「んにゃ...ちひろおにいちゃん?」
養子として迎え入れられた"高町''千翼は現在、1つの悩みを抱えていた。
それが、たった今傍らで寝ていた少女。最近になってできた千翼の妹、高町なのはだ。
この高町家に来てはや3週間が経ったが、千翼は高町家の家族と交流し仲を深める......などということはせず、むしろ改良されたネオアマゾンズレジスターでさえ抑えきれない自身の強い食欲から高町家の人間を守る為に必要以上の干渉を避けていた。
士郎や恭弥の男性陣は意図的に避けているのを知ってか知らずか、気を使って過干渉はしてこない。特に長兄の恭弥は、行動に未だ謎の多い千翼に警戒心を抱いてか、会っても挨拶程度しか交わさない。
しかし、女性陣はそうも行かず、普段何してるのとか、今日は元気だったとか、部屋に行ってもいいか等何かにつけてこちらを気にかけて来る。無論、知らないとはいえ人間として扱ってくれるのは嬉しかったし、桃子には感謝している。が、食人衝動を抑えるのに精一杯な今の千翼に取っては、毒にもなっているのだ。美由希に関しては、千翼をマスコットか何かだとでも思っているのか、ことある事に抱き寄せようとしてくるのだから油断ならない。
特に義妹のなのは、高町家の中でも人一倍千翼に干渉してくる。それはもう、刷り込みされた雛の様に。千翼は、現状をもっと良く知るために時折自分の足で、資料で、マスメディアで情報収集しているのだがなのははそれを真似するかのように、同じことをしようとしたり後について行こうとする。
今日も、いつの間にか千翼の部屋(本人はリビングのソファーで良かったのだが、特に桃子と美由希に大反対された。)に夜這いでもするかのように入り込み、添い寝してくるのだ。最初の頃は、過去のトラウマと発作が起こることに恐れて、強く突き放していたが、なのははそれでもめげず干渉してくるのだから。千翼が根負けしてしまい、今では口だけにとどまっている。
「ったく...何時も言ってるけど、勝手に入るなよ」
「にゃはは...ごめんなさーい」
「分かったら早く出ていってよ」
「え〜」
「え〜、じゃない。いっつもいっつも迷惑なんだよ、あまり関わらないでくれ」
「...おにいちゃんはわたしがきらいなの?」
「い、いや、嫌い嫌いじゃないの話じゃなくて...」
口だけにとどめていると言っても、出来るだけ突き放したい千翼が少し強めに言うと。最近、受け入れられてきたと思っていたなのはが涙目になり悲しそうな顔をするので少しだけ狼狽えると
『なのはー!!千翼くーん!!ご飯だから降りてきなさ〜い!!』
「は、はい!今行きます桃子さん」
「ほら先に行ってろなのは」
「...うん」
桃子が呼んで来たので千翼が、なのはに先を行かせると、未だに引きづっているのか、トボトボトと顔を下げて降りていった。そして、なのはが出ていったのを確認してから、栄養補給用のインジェクターを取り出し、自身に注入する。
最近になって気づいたのだが、自身が倒れていたところに落ちていたらしいこのインジェクターはどうやら高タンパク質と細胞抑制作用が含まれているようで自身に注入することで丸1週間は、レジスターで抑えきれない分を補えるのだ。当然ストックは限られており、後2本しかない。最近、なのはを突き飛ばしたりしていないのはこれによって衝動を抑えられている点が大きい。それでも、長時間干渉してしまうと発作が起きてしまうのだが。
レジスターの内容液を注入し終え、皆が待つ1階の食卓へと向う。
◆◇◆◇◆
なのはには最近、お兄ちゃんがもう一人で来た。名前はチヒロお兄ちゃん。3週間前にお父さんと一緒にお家に帰ってる途中に出会った男の子なの。
最初出会ったときはどこかおおけがしたんじゃないかって言うくらい苦しんでいて、その時の姿が、まるでおとぎ話の怪物みたいでとてもこわかった。そのうちチヒロお兄ちゃんは自分で自分を殴り初めてお父さんが止めようとしてて...それでもお兄ちゃんは止まらなくて 、そのときにお兄ちゃんの顔を見て気づいたの。
ああ、この男の子はただ、こわいだけなんだって。おびえてるだけなんだって。
だから、なのははまだ暴れ回るお兄ちゃんが怖かったけど、それ以上に怖がっているお兄ちゃんを抱きしめたんだ。だいじょうぶだよって。怖くないよって。
そしたら、お兄ちゃんも安心したのか眠っちゃったの。
そうして、すこししてチヒロお兄ちゃんが家族になった。
なのは、としが近いお兄ちゃんができて、そのときとっても嬉しかったなぁ。でも、お兄ちゃんはそうじゃなかったみたいで、お兄ちゃんについて行こうとするたんびに、さけられて、時々どなられるの。
初めはそのことにとっても落ち込んじゃって、私が悲しそうな顔をする度に恭弥お兄ちゃんがチヒロお兄ちゃんのことにらみつけてた。それでも、チヒロお兄ちゃんは、絵本を読み聞かせてくれたりするし、なのはがついて行ったら気にかけてくれてるって事に気づいたの!!
そんなある日、たまたま夜中にお兄ちゃんの部屋に入っちゃった事があるんだ。ふだんお兄ちゃんはどんなことしてるんだろうって。
部屋に入ると、お兄ちゃんはねてたんだけど、その時の顔がとっても苦しそうだった。初めて出会った日みたいに。ずっと苦しそうに小さく声をあげたとおもったら今度は、誰かの名前何回もを呼んでた。その時にね、お兄ちゃん、泣いてたの。
そんなとき思ったんだ。お兄ちゃん、ずっとずっと、寂しかったんだねって。 口ではああだけど、誰かにそばにいて欲しかったんだなって。それで苦しそうに、寂しそうに眠ってるお兄ちゃんになにかしてあげられないかなって考えて、また、あの時みたいにチヒロお兄ちゃんに抱きついて、そして一緒のお布団で寝てみたの。そしたら、あんなにつらそうだったお兄ちゃんの顔が、辛くなくなって行ったっんだ。
だから決めたの。たとえどんなにお兄ちゃんにさけられても、なのはがそばに居るって。お兄ちゃんはもう寂しくなんかないよって言いたいから。私も傷ついちゃうだろうけど、なのはよりもお兄ちゃんのほうが傷だらけだから。
今日もまた、お兄ちゃんと(だまって)一緒に眠ってたら、お兄ちゃんにめいわくってはっきり言われちゃった。最近は口だけだったし少しはうちとけたんじゃないかって思ってたのと、あそこまではっきり言われたのは初めてだったから、凄く落ち込んじゃった。
「そういえばなのは、千翼君は?」
「チヒロお兄ちゃんはあとから来るって」
そんなこと考えてたら美由希お姉ちゃんがチヒロお兄ちゃんについて聞いてきた...そういえば、たまにお兄ちゃん、なのはのこと先に行かせるけど、何してるのかな??
そうこうしてるうちにチヒロお兄ちゃんが降りてきた。
「あ、やっと来た...それで?そろそろ普通のご飯を食べれたりは...」
「......すみません。桃子さん」
「いいのよ!!謝らなくて、家族なんだから...それと」
「みゅぐっ...」
「そろそろ、桃子さんじゃなくて、お母さんって呼んでくれるととっても嬉しいかなぁ〜」
そう、おかあさんはチヒロお兄ちゃんの頬をつまんでいったの。
「......拾ってくれた事には感謝してます。けど、まだ...貴方をおかあさんとは......呼べそうにないです」
「...そっか、じゃあ私も頑張らないとね!!とりあえず、いつもの持ってくるわね」
そう言って重くなりかけた雰囲気を戻して、おかあさんは、チヒロお兄ちゃんのご飯を下げて、代わりにゼリーの飲み物を持ってきた。いちど、おとうさんになんでチヒロお兄ちゃんだけゼリーなの?って聞いたら、
『ああ、千翼君は拒食症。つまりご飯を食べられない病気でね。ああいった噛まないでいいものしか口に出来ないんだ』
って言ってた。なのはにはまだよく分かんないけど、こんなに美味しいご飯を食べられないのは可哀想だな。
「そう言えば千翼君ってさぁ、前々から思ってたんだけど...」
美由希お姉ちゃんはそう言ってチヒロお兄ちゃんの腕に付いている腕輪をフォークで指した。
「それ、家にきた時から肌身離さずずっと着けてるけど、アクセサリーなの?」
そうお姉ちゃんが聞くと、チヒロお兄ちゃんは少し顔を伏せ、ことばを詰まらせた。何を言おうか迷ってるみたい......
「どうした?千翼、答えられないようなものなのか?」
「ちょっと恭弥!!そんな言い方は」
「...親の、形見みたいな物です」
チヒロお兄ちゃんがいったとき、みんなの空気が暗くなったような気がした。お姉ちゃんや恭弥お兄ちゃんはもちろん、ふだんから笑顔のおかあさんでさえ、笑顔が弱くなっていた。
「......すまない、余計な詮索だったな」
「いえ、もう過去の話です」
チヒロお兄ちゃんがそう言うけど、それでも皆まだ暗い
「俺がいいと言ったらいいんですよ。それに...皆さんが、俺の家族になってくれるんでしょう?」
「千翼君...!!.......フッフフ、そうだったな。千翼君はもう、僕達の家族で此処が帰る場所だ」
お父さんが笑うように言うと、みんなの顔も元の明るさになってく。良かった。やっぱりご飯は笑顔が1番だよね!!
「みんなごはんたべよっ!せっかくお母さんが作ってくれたんだから、冷めちゃうよ」
「ははっ、そうだななのは。食べよう」
「もう、恭弥ったら調子がいいんだから」
その日の朝ごはんは、少しのざわざわがあったけど、いつも通りに続いて行った。ずっと、こんな日が続くといいなぁ。
◆◇◆◇◆
耳を澄ますとピッピッっと無機質な音が聴こえる。
僅かな温もりは、ベッドと布団によるものだろうか。状況を確認しようとして、下半身に重みを感じる。目を向けるとなのはが俺の眠っていたベッドに顔を伏せて寝ている。なぜ、こうなったのだろうか。............あぁ、そうだ、確か俺はなのはと一緒に出かけて...それから───────
───────────────────────────────────────────────────
時は遡り、午後1時頃。
「ゆっくりしてると置いてくよー!!」
「お兄ちゃんまって〜!!」
現在、俺は士郎さんたっての願いでなのはと一緒に出かけていた。本当であれば、何時ものように一人で行く予定だったのだが、
『午後に出かけるのかい?丁度いい、なのはも連れて行ってやってくれないか?今日は僕らは翠屋に行かないとだし、恭弥や美由希も学校がある。かといってなのは一人お留守番って言うのも可哀想だろ?』
そう言って、なのはの事を押し付けてきた。今でこそインジェクターとレジスターで押さえ込んでいるが、何時、なのはを襲うか分からない。目を輝かせてるなのはには悪いが断ろうとしたが、その時なのはが、
『やだぁ!!お兄ちゃんといっしょにいくの!!一人はいやなの!!』
『こ〜ら!!千翼君!!女の子を泣かせちゃダメでしょ!!』
と言って涙を目に溜めて懇願してきた上に、美由希さんにもそう責められた。恐らくこれ以上の抵抗は徒労に終わると思い。必要以上に近づかない事を条件にこちらから折れた。
そして今に至る。
溜息をつきながらも歩を進める自分の近くには、とても嬉しそうに後を着いてくるなのはの姿が見える。
...思えば、今まで皆を守る為とはいえ、なのはに対してキツくあたりすぎていたかも知れない。
仕方ない、たまには、こういう日があってもいいじゃないか。そう思います、なのはに向き直る。
「なのは、どこに行きたい?今日はお前の行きたいとこに合わせるよ」
「......いいの?」
「いいんだよ。今日くらいは付き合うさ」
そこまで言うと、なのははより一層目を輝かせて、「まずはあっちにいきたい!!」と言い出してきた。
この時俺は、不覚にもこう思ってしまった。
なんて、平和なのだろう、と。
これから起きることはきっとそう思ってしまった事への罰、なのだろう。
それから暫くは、商店街をねり歩いたり、公園でなのはの遊びに付き合ったりして時間を過ごした。
グゥ〜「あ、えへへ...」
「...いい時間だし、おやつにしよっか」
そう切り出して、近くにあったたい焼き屋の屋台に向かった。
「すいません。たい焼きをこの子に1つ」
「おや、その子のお兄ちゃんかい?しっかりしてるね〜。よし!ここはおばさんがボクの分をサービスで付けといてあげるよ」
「え、いやあの...「礼はいらないから妹ちゃんと一緒にたべな」...分かりました」
たい焼きを買って、なのはと一緒に近くにあった商店街入口の休憩スペースで腰を下ろす。
「お兄ちゃんありがとう!!」
「冷めないうちに食べろよ」
そうして美味しそうにかぶりつくなのはを横に、''つい、たい焼きを口に入れてしまった''。そして、
「ッ!?...う...グ、オェッ」
「お兄ちゃん!?」
強い吐き気に襲われた。やってしまった、そう思うも時すでに遅く、耐え難い吐き気に商店街奥のトイレスペースに駆け込みで行く。
「どこいくのお兄ちゃん!?なのはをおいてかないで!!」
そんななのはの声を聞く余裕はなく、やがて人混みに消えていった。
「はぁ...はぁ...」
やってしまった。いくら雰囲気に流されたとはいえ、なんて間抜け。
なのはも置き去りにしてしまったしはやく行ってやらないと。そんな時、俺の、アマゾンとしての本能が背筋を凍らせる。
...まさか、なのは?
そこからは考えるより先に体が動いていた。
人間離れした速度で、商店街入口へと駆け戻る。そして 、近づいてくるにつれ、鋭敏になった聴覚がなのはと別の女性の嫌がる声、そして男の下卑た声が聴こえる。入口戻ると、そこから離れたところに腕を引っ張られ誘拐されそうになっているなのはと必死に抵抗する女性。そして実行犯であろう男が2人見えた。
「嫌ッ!!貴方たち!!こんなことして許されるとでも」
「やだぁッ!!怖いよぉ...お兄ちゃん助けてぇっ!!」
「おい早くしろよ!!サツが来るぞ」
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!!いいからとっとと乗りやがれ」
そう言って男の子ひとりが、なのはの顔面を殴りつける。
なのはは完全に怯えきって、鼻血を出しながらすすり泣いている
...そのとき、俺の中でもナニカが...はち切れた。
「てええええめえええええぇえええええぇええぇっっーーー!!!!」
一気に駆け寄り、なのはを殴った男のに向かって飛び蹴りを放ちその子供とは思えない蹴りに、男は転倒する。
「君は!?」「おにい...ちゃん...」
「な、なんだこのガキ!?」
「んのクソガキィッ!!ぶっ殺す!!」
仲間を飛ばされキレた男の大振りな攻撃を、千翼は難なくよけ、逆に体制を崩した男にカウンターをお見舞する。そして倒れた所を馬乗りにし顔面を何度も、血が出ても殴り続ける
「俺のッ!!義妹にッ!!手をッ!!あげたなッ!!...お前ぇぇッ!!!」
「ガフッ...ア」
そしてトドメをさそうと拳を振り上げた直後、
パァンッ
そう、乾いた音が鳴り響き方に激痛が走った。
「がアァッ」
背後から起き上がった男の子撃たれていた。
「舐めやがって...無駄に抵抗するからこうなるんだよ!!」
左肩からは鮮血が滴り落ちる。鉛で抉られた痛みが全身を走る。
だから、どうした。それが、どうした。こんなもの、つけが回ってきただけだ。俺なんかよりなのはの方がずっと怖い思いをしたはずだ。こんな痛みなんかよりもッ!!!
男に向き直り、雄叫びをあげて駆け出す。男はそんな千翼の姿に不気味さを感じてか、躊躇わず引き金を引く
「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ッ!!!」
「こんの、バケモノがッ!!」
放たれた弾丸は右肩、下腹部、太ももの順に命中しそのたびに千翼の幼い体が抉られ、血が噴き出す。
そして、遂に男に密接し、飛び上がり顔面を再び、今度は殴り飛ばした。
その後、男は転倒した先の打ちどころが悪かったのか、そのまま気絶した。
「君は、いったい」
「ぜぇー...はァー...ごっ....カフッ...はぁ...はぁ...」
「おに゛い゛ぢゃあん゛...ごわがっだよぉ゛ぉ゛」
「だいじょうぶ...か?」
その問になのはは涙で顔をくしゃくしゃにしながらも頷いて答える。
「なら...よかっ...た。すみま、せん...あとの事は、頼みました」 バタンッ
「お兄ちゃん!?...お兄ちゃん!!お兄ちゃん!!おきてよぉ!!」
「ね、ねぇ君!!...酷い怪我...早く救急車を...!!」
そんな声が聞こえる中、意識を手放した。───────
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──────────────────
そう、だった...確かあの時、誘拐犯に撃たれて...
なのはが無事で本当に良かった。幸か不幸か、このアマゾンの体は治りが早く、どれだけの大怪我でも大抵はどうにかなる。もしいまベッドにいるのがなのはだったら、、、考えるだけでもゾッとする。
とりあえず、このままにするわけも行かず目の前の義妹を起こすことにした。
「ほら、起きてなのは。風邪ひくぞ」
「んにゃあ...」
相当おつかれなのか、目を擦り眠たそうに顔を起こしたなのはは、俺の顔をみた瞬間数秒間フリーズし
「お、おい。どうしたなの...!?」
胸に飛び込み、抱きついてきた。
「よかった...良がっだよぉ。お兄ちゃんがいぎでだ...もししんじゃったらどうじようっで...」
「わあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゴメンなさいッ、ゴメンなざあ゛い゛ーーーッ」
思いっきり泣いていた。これ以上無いくらい。俺の身を案じて、泣いてくれていた。その事実にたまらなく胸を抉られ、そしてたまらなく温かくなった。
「俺方こそゴメンな...心配かけて...怖い思いさせて...」
この後なのはの泣き声を聞きつけた廊下で待機してた高町家全員が、扉を勢いよく開けかけつける。美由希さんは俺の無事になのはと一緒に泣き。恭弥さんは不器用ながらも安堵し、士郎さんは俺となのはを強く抱きしめた。
俺はこの温かな家族を見て誓った。二度と壊させはしないと。未だなお消えない罪があるのなら、その全てを背負ってでも居場所を守ると。
その日を境に、千翼の食人衝動が、高町家の人間に向くことはなくなった。
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