ヘタリア大帝国
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
TURN41 雨と盾その四
「フェム提督の艦隊に合流する。身を挺して護ろう」
「はい、それでは」
「今すぐに」
「一刻の猶予もない」
だからだというのだ。
「すぐに向かおう」
「それでは」
こうしてだった。ネルソンはフェムの艦隊との合流に向かった。そうして彼女の艦隊を護ろうとするのだった。
エイリス軍も懸命に攻撃する。だが。
フェムの雨がここでは仇になった。彼等の攻撃は思ったような効果が出ない。イギリスはこの状況に思わず舌打ちした。
「ちっ、こっちがやる筈だったのにな」
「はい、かえって向こうがですね」
「フェム提督の雨を使っていますね」
「そのうえで我々の攻撃を防いでいます」
「あの案山子みたいなのがいる艦隊だってな」
イギリスは攻撃を受けるネクスンの艦隊を見ていた。その艦隊もだった。
「随分頑丈だな」
「本来はあそこまで頑丈ではないのですが」
「それがですね」
「ああしてもっています」
「妙です」
「くそっ、これじゃあこっちの攻撃が終わった時にな」
まさにだ。その時にだというのだ。
「来るぞ。奴等の反撃が」
「敵のビームの残りにですね」
「それに」
「おい、気をつけろよ」
イギリスはこれから予想される太平洋軍の攻撃に対して苦々しい顔で述べた。
「来るぞ、あれが」
「日本の酸素魚雷ですね」
「それが」
「あれを受けたら巡洋艦なんて消し飛ぶからな」
まさにだ。魚雷一発でだ。
「戦艦だって危ないからな」
「それが牙を剥いてきますね」
「奴等の切り札が」
「その頃にはな」
そのだ。酸素魚雷という彼等にとって最凶の鉄鋼弾攻撃がだ。どうかというのだ。
「来るぞ。雨が止んだ状態でな」
「そうですね。来ますね」
「マレーや四国でも猛威を振るったあれが」
「あれだけはどうしようもねえ」
イギリスはここでも忌々しげに言った。
「受けたら終わりだ」
「はい、来ますね」
「その時に」
「やられた。雨があればな」
その雨をどうするかというのだ。
「止めさせればいいんだよ」
「今彼等が考えている様に」
「その様に」
「そういうことだよ。わかっていたつもりだけれどな」
エイリス軍の攻撃は終わろうとしていた。既に太平洋軍は彼等に迫っている。小魚達も前に出て来ていた母魚達に無事収容されている。
そしてエイリス軍の攻撃が終わりだ。それでだった。
東郷がララーにだ。モニターからこう言った。
「じゃあ頼むな」
「うん、あのアオザイの娘をだね」
「頼んだ。君に任せた」
「任せて。確かに敵の艦隊に護られているけれど」
ネルソンの艦隊にだ。フェムの乗艦はガードされていた。
しかしそのフェムの戦艦を見てだ。ララーは明るく言うのだった。
「もう場所はわかったから。後はね」
「君の運だな」
「私今日は運がいいよ」
ララーは明るく言う。
「さっき自動販売機の当たりが来たからね」
「だからか」
「うん、当たるから」
それでだというのだ。
「安心していいよ。任せてね」
「よし、ではな」
東郷は微笑んでララーに命じた。そうしてだった。
ページ上へ戻る