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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第五十八話 第三の封印

 
前書き
四天王モデルが優秀だからどうしてもロックマンの優先度が高い 

 
膝を着いているテティスにレーザーショットを向けながらアッシュは口を開いた。

「終わりよテティス、あんたのライブメタルを渡しなさい」

「…嫌だね…モデルLは僕の適合ライブメタル…つまり僕の物だ……はっきり言って残念だよ。君達なら僕の言う事を分かってもらえると思ったのに…僕は諦めないよ。モデルVを覚醒させて、この世界を変えてみせる!」

それだけを言い残してテティスは転送の光に包まれて、モデルVと共にハイウェイから去っていったのであった。

テティスを倒したことでモデルLのデータが残り、そのデータはアッシュとグレイに吸い込まれていく。

「きゃあああああぁぁっ!」

「うあああああぁぁっ!」

モデルLのデータをコピーした直後に二人を苦痛が襲い、何時ものようにモデルAに封印されたアルバートのレポートデータが脳裏に展開された。

《コードFC61からUC79までを解放、レポートデータ展開。》

《ライブメタル・モデルVに相応しい適合者を探し出すため、私はまず、二人の兄妹レプリロイドを作り上げた。彼らにはモデルVの力の一部を与えると同時に一つの命令を与えた。それは…最強のロックマンを決める事、私が選び出した適合者達にライブメタルを与え、最後の一人となるまで戦い合わせる…という命令である。この戦いに生き残った者がモデルVの力を手にし、究極の進化を遂げる。そう、新たな世界の王…ロックマンの王となるのだ。》

レポートの展開が終わるとアッシュとグレイは大分この苦痛に慣れてきたらしく、息を荒くしながらもすぐに落ち着いた。

「これでまた一つプロテクトが解けたか…ロックマンが戦い合う理由は分かったけどよ、オイラの事はいつ出てくるんだよ。それに…兄妹のレプリロイドってのは一体何の事なんだ?」

「「………」」

モデルAの疑問にアッシュとグレイは何も答えずに俯いたままだ。

「おい、聞いてるか?どうしたんだ難しい顔して」

「「え?いや(ううん)、何でもないよ…」」

何でもないと言ったが、二人の表情は優れない。

そしてハイウェイにいた人々の状況を確認していたミハイルから通信が入った。

『どうやらこのエリアの人々の避難が終わったようじゃ、流石は選ばれし者と言ったところかの。ご苦労じゃったな』

そして、ミハイルの言葉にアッシュとグレイは自分のことに疑問を抱く。

「(…選ばれし者…?けど…テティスの言う通り、アタシは偶然変身しただけ、でも…本当に偶然?アルバートにとってアタシは特別だって言うし…アタシは一体…何者なんだろう…)」

「(テティス達は、世界を変えるために、ロックマンとして戦う理由を持っていた。僕は自分の事を知るために…自分のために戦っている。でも、それでいいんだろうか…ロックマン…選ばれし者だけが使える強大な力…か)」

それぞれが自分の存在、自分の在り方を悩み、それに気付いたモデルAがそれを逸らすように口を開いた。

「あー…そう言えばコピーしたモデルLなんだけどよ。知ってると思うけど水中戦に特化したロックマンなんだ。水中では他のロックマンより動けるし、図体がでかくなるクロノフォスより動きやすくなると思うぜ。氷属性のロックマンだから氷の床でも滑らないし、凍らなくなる。氷属性の攻撃を喰らって動きを止められて集中攻撃ってこともなくなる。後はハルバードで接近戦が出来るぜ、ハルバードは単発の威力が高い上にリーチがあるから充分使えるはずだ。後はチャージ攻撃、アッシュはでかい氷の塊を出してそのままぶつけるか、ハルバードで壊して破片をぶつけるアイススティッカー。グレイは追尾性能を持った高い威力の氷龍を召喚してぶつけるフリージングドラゴン。アイススティッカーは攻撃力がフリージングドラゴンに劣る反面、攻撃範囲と速度が速いのが特徴で、フリージングドラゴンは攻撃力が高い反面、遅いから素早い相手には当たらねえかもしれねえから気を付けろ…あー、後はテティスが使っていたアイススティッカーとは違う氷の刃を飛ばす奴はテティスが独自に編み出したのか発展させた物だからなのか使えねえ、それからあのメカニロイドを出す奴もモデルVの力を利用していたようだからそれも使えないぞ」

「……そう、分かったわ。」

「…ありがとうモデルA」

モデルAの説明にアッシュとグレイは頷いたものの、何時もの覇気がない。

「…アッシュ、お前が何者なのかはオイラが良く知ってるぜ、アッシュは金にがめつくて口うるさくて、ちょっとしたことで暴力振るう鬼女だ。」

「………モデルA…あんた、アタシに喧嘩売ってんの?なら、三倍で買うけど?」

モデルAの言葉にアッシュはこめかみに青筋を浮かべてこぶしを震わせながらモデルAに言うと、モデルAの言葉はまだ続いた。

「話は最後まで聞けよ、それでも何だかんだで困った奴は見過ごせなくて大金が手に入る依頼でも違法性のあるものは受けない良いところもある。自分が何者なのかなんて、自分のことを知っていて欲しい奴にさえ知ってもらえればそれでいいんじゃないか?」

「モデルA………あんたが初めて良い奴に見えたわ。ちょっと前まで我が儘な奴だったのにねぇ…」

初めて会った時と比べてモデルAは本当に変わったと思うアッシュである。

心を持つライブメタルも人と同じように成長、変化すると言うことなのだろうか。

「う、うるせえな!放っとけよ!それからグレイもさ、別に理由なんてどうでもいいと思うぜ。グレイだって戦うには充分な理由があるだろ、自分のためもあるだろうし、何より困ってる奴を助けるために…戦うには充分な理由だと思うけどな」

「モデルA…ありがとう、そうだね…今はイレギュラーを止めることを優先しなくちゃいけない。悩んでる暇なんかないんだ…行こうアッシュ」

「ええ、さっさとイレギュラーを鎮めて、アルバートをとっちめるわよ!!」

話が纏まったところでミハイルから通信が入った。

『話は纏まったようじゃな、このハイウェイから然程離れていない古代遺跡からイレギュラーが更に数を増やして大量発生しておる。今からそちらに向かってもらえんか?』

「分かった、今から行くよ」

「全く、世界規模でのゴミ掃除なんて、あんたらお偉いさん達はアタシ達を過労死させたいわけ?報酬は弾むんでしょうね?」

『分かった、分かった。全てが片付いたら千万ゼニーを報酬としてくれてやるわい。だから頼んだぞ正義のロックマン達』

「千万ゼニー…!?これは頑張るしかないわねー、正義のためにってね」

「アッシュ、顔面崩壊してるぞ」

報酬の金額を聞いて鼻息を荒くし、端正な顔立ちが崩壊しているアッシュにモデルAがツッコんだ。

そして水の中から飛び出し、奥のトランスサーバーでミハイルが既にレギオンズ本部から設定してくれていたのか、二人はトランスサーバーに乗り込むと、すぐに古代遺跡へと転送された。

一方、ある空域ではガーディアンベースと呼ばれる飛行艇がアッシュとグレイの拠点であるハンターキャンプ付近を飛んでいた。

「プレリー、本当にこの辺りにモデルVの反応があるの?」

「ええ、間違いないわエール」

プレリーが振り返ると、そこには成長し、心身共に大きく成長したエールがいた。

「ハンターキャンプかあ、余所者のアタシ達はあまり歓迎されないかな?最近は違法ハンターが増えたせいでハンターライセンスがないと施設が使えないらしいし」

「物資の補給を済ませたかったが、無理かもしれないな」

「うーん、久しぶりに買い物したかったけど無理かあ…ねえ、ジルウェ、何とか交渉出来ないかしら?」

「うーむ、やってはみるけど無理かもしれないぞ?」

エールの問いにジルウェは渋い表情で言う。

それを聞いたエールは深く溜め息を吐きながら、最近連絡頻度が落ちている幼なじみを思い浮かべた。

「ヴァンは今、どうしてるかな?」

「きっと元気にしているわ。」

ヴァンからの連絡や帰りを毎日待っているプレリーに対してエールはむすっとなった。

「プレリーはヴァンを甘やかし過ぎじゃない?もう少し連絡よこせとか言ったら?」

「大丈夫、私はヴァンを信じてるから…あの人は必ず帰ってくるって信じてる」

「う~、そう言われたら何も言えないじゃない…」

大人の余裕を見せられたような形となったエールは近付いているハンターキャンプにあるらしいモデルVのことを考えて拳を握り締めるのであった。 
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