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八条学園騒動記

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第五百六十八話 働き手その五

「それでは、ただ」
「ただ、ですか」
「私の経営している会社ではコーヒーも扱っています」
「あっ、紅茶の会社ね」
「喫茶店も経営していますが」
 それでもというのだ。
「そちらでもです」
「喫茶店でコーヒーは普通にあるし」
「左様ですね、むしろです」
「コーヒーがない喫茶店は」
「ないですね」
「紅茶がない喫茶店もね」
 こちらもというのだ。
「ないわね」
「ですから」
「そっちも扱ってるのね」
「そうです、それとマウリアですが」
「紅茶の国よね」
「伝統的に。最初は普通のお茶でしたが」
 紅茶ではなくというのだ。
「英吉利の植民地だった頃からです」
「紅茶の国になったのね」
「はい、それで私もです」
「紅茶飲んでるのね」
「そうです、ちなみにミルクティー派です」
 紅茶の中でもというのだ。
「レモンティーもです」
「飲まないのね」
「嫌いではないですが」
 それでもというのだ。
「飲むものはです」
「やっぱりミルクティーなのね」
「はい」
 まさにというのだ。
「これ以外はありません」
「イギリス風ね」
「また三時はです」
「ティーセットよね」
「それは欠かせません」
「完全にイギリスね」
「あの国の影響は確かに強いですね」
 セーラも否定しなかった。
「やはり」
「あの食べものが圧倒的にまずい国ね」
「確かにお料理の味は」
「よくないの」
「イギリスに行ったこともありますが」
 もっと言えばイギリスへの留学経験もあるのだ、そこでも才媛として知られイギリス王家とも交流があった。
「カレーと朝食、そしてティ―セット以外はです」
「まずいのね」
「連合の方が口にされると」
 その時はというと。
「激怒されるかと」
「怒る位まずいの」
「連合の方からしてみれば」
「噂通りなのね」
「はい、私はシェフを連れていましたが」 
 それでもというのだ。
「あるお家でディナーをご馳走になりましたところ」
「まずかったと」
「あえて申しませんが」
「連合だと即刻まずいってなることはわかったわ」
 ルビーはセーラに真面目な顔で答えた。
「このことは」
「フランスは美味しいと思いましたが」
「連合の人のお口には合わないのね」
「連合軍の方々が言っておられましたね」
「ええ、エウロパの味自体がね」
「エウロパのお料理は味が薄いです」
 そうだというのだ。
「素材の味を活かしてです」
「向こうが言うにはね」
「そうです、まあそこはです」
 ここでセーラはこうも言った。 
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