八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十三話 秋田への思い入れその十三
「僕の面倒も見てくれていて」
「親として」
「人として大事なことはね」
「持っている人よね」
「うん、本当に滅茶苦茶な親父だけれど」
それでもだ。
「酷いかっていうと」
「違うのね」
「そこはね」
「ちゃんとした人なのね」
「そうだよ、そういえば」
ここで僕は気付いた、そのとんでもないことに。
「親父秋田にもいたね」
「八条病院に」
「詩織さんのお母さんもいた」
「それでそこでも」
「相変わらずだったみたいだよ」
僕が生まれるかお袋のお腹の中にいた頃だ、親父は少し八条病院の秋田の総合病院に助っ人に行っていたのだ。
そしてそこでもだ、親父は親父だったのだ。
「もうね」
「お酒を飲んで」
「女の人もね」
「そうだったのね、じゃあ」
「じゃあっていうと」
「私のお父さんって」
詩織さんは僕に強張った顔で言った。
「まさか」
「僕の親父かって」
「そうじゃないかしら」
「いや、それは」
僕は自分の顔が青くなるのがわかった、そのうえで言った。
「幾ら何でも」
「ないのね」
「そうじゃないかな」
「けれど義和のお父さんは」
「うん、もうね」
それこそだ。
「無茶苦茶な」
「遊び人で」
「お酒飲んで」
そしてだ。
「女の人ともね」
「好きよね」
「大好きだよ」
親父曰くお酒も女の人もだ。
「それでね」
「人妻さんや彼氏持ちの人じゃないと」
「誰でもだよ」
親父曰く俺は博愛主義で人種差別の職業差別もしないとのことだ、実際に親父は差別はしない人間だ。
けれどだ、この場合はだ。
「もうね」
「それじゃあ」
「詩織さんのお母さんも」
「そうじゃないの?」
「それでなんだ」
「その時にね」
「詩織さんが」
僕は青い顔のまま言った。
「そう言うんだ」
「違うかしら」
「いや、それは」
「けれど根拠は」
「今はすぐにわかるけれど」
DNA鑑定でだ。
「それする?」
「そうしようかしら、ただ」
「ただ?」
「若しそうだったら」
詩織さんのお父さんがうちの親父だったらだ。
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