八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百七十三話 秋田への思い入れその十一
「それは」
「不平不満ばかり言う人が好かれないことは」
「だって聞いていて嫌じゃない」
不平不満はというのだ。
「それに言う時のお顔もね」
「嫌なものだから」
「しかもいい環境にいたり色々な人に助けてもらってそれだと」
「恩知らずって思われて」
「それで何が不満だって思うから」
聞く人達がだ。
「好かれないわよ」
「そういうことだね」
「そうよ、まあ不平不満ばかり言う人は」
詩織さんは眉を顰めさせて話した。
「結局ね」
「結局?」
「心がさもしいのよ」
「貧しいんだね」
「そうだと思うわ」
「そうかもね、心が貧しいから」
さもしいという言葉を僕はこう解釈した。
「だからね」
「不平不満ばかり言って」
「感謝もしないんだね」
「誰にも感謝しないで満足することもないから」
それでというのだ。
「そうなるのよ、けれど」
「けれどっていうと」
「それって餓鬼みたいよね」
「ああ、仏教のね」
「どんな環境でも人や周りに感謝しないで満足もしないって」
「そうだね、言われてみれば」
僕も思った、そうした人はまさにだ。
「餓鬼みたいだね」
「それでお母さんは大変なことも多かったと思うけれど」
「幸せだったんだね」
「だから不平不満も言わないで」
それでというのだ。
「幸せなお顔で死ねたのよ」
「餓鬼とは違って」
「よかったと思うわ、お母さん死んだ時は悲しかったけれど」
「死んだ時人に悲しんでもらえるって」
個々で僕は思った、その思ったことをそのまま詩織さんに話した。
「それだけでも幸せだよ」
「そういえば」
「そうだよね」
「嫌われて憎まれているなら」
そうした人はだ。
「死んでもね」
「喜ばれるわね」
「実際自分の親戚が大嫌いで死んでね」
「喜んでいる人いるの」
「その人には恨みや憎しみしかないって言って」
さっきのお孫さんだ、ある親戚の人が大嫌いでその人についてこう言っている。この人は不平不満は言わないけれど業が深い人だと思う。
「そう言ってるから」
「それでお亡くなりになって」
「凄く嬉しかったし今でもね」
「嬉しいっていうのね」
「随分酷い人だったらしいから」
そのお孫さんが言うにはだ。
「自分以外の人も生きものも全部嫌いで」
「そうした人だったの」
「自己中心的で家で飼っている犬をご飯あげるのが邪魔だから保健所に送れとか」
「そんなこと言ったの」
「そうしたらその人が激怒して」
その人が言うにはだ。
「家からその人のもの全部売ってお金も全部取り上げて」
「凄いわね」
「家から叩き出して絶縁したらしいよ」
「それでどうなったの?」
「追い出された人はご兄弟のところに入ってそこで死ぬまでいたらしいけれど」
「お亡くなりになってから」
「大喜びして」
それでだったという。
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