ドラえもん のび太の転生ロックマンX(若干修正版)
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ランチャー・オクトパルド
前書き
マーティって岩本先生の漫画にしか出てこないけど自分の中ではエックスのメインヒロインは彼女だと思っている(エイリアも嫌いじゃないけどあっちはヒロインというよりはお姉さんキャラのイメージの方が強い)。
海 水中基地
シグマの反乱によって引き起こされたイレギュラーの暴動は空中、地上だけではない。
この海の中にも及んでいるのだ。
このエリアを指揮する第6艦隊所属ランチャー・オクトパルドは、エックスが次にこのエリアに来ると予測したシグマの通信を受けていた。
『オクトパルドよ、エックスは次にそちらのエリアに行くようだ。』
「はい、シグマ隊長。こちらの対策は万全です。」
シグマの通信に対してオクトパルドは余裕のありそうな顔で答える。
『既にエックスは、元特A級ハンターを三人も倒している。お前も油断していると後れを取るぞ?』
「ご心配なく。ここは水中、私のテリトリーです。陸上戦向けに作られたエックスには、正に不適応な環境。それにもう一つ作戦を考えております。」
『ほう?では、楽しみにしているぞ。』
シグマは、不敵な笑みを浮かべながら通信を切る。
「私は、水中戦闘のアーティスト・・・・・・無粋な破壊よりも美しさを追求します。故に敵とは言えエックス君には素晴らしい演技で散っていただかなくては。さて、私が用意した舞台は予定通り・・・・・・・?」
水中
「フットパーツがなかったら泳げなかっただろうな・・・・・・」
ナウマンダーの工場地帯からエックスは、フットパーツのダッシュを推進力にして水中を移動していた。
のび太として生きていた頃は、浮き輪なしでは泳げなかったこともあって水中にいるのは若干感動もあればトラウマも蘇る。
「そう言えばドラえもんの『ソウナルじょう』とかいう道具で架空の海で泳ぐ練習したんだっけな・・・・・あの時は、日光浴しすぎてひどい日焼けを・・・・・・・」
「きゃあぁぁぁぁ!!」
「!?」
遠くからの悲鳴にエックスは、声がした方角へと向かう。そこではウツボ型メカニロイド ウツボロスが誰かを襲っているところだった。
「危ない!!」
エックスは、バスターを展開してウツボロスの頭部を狙う。
「スパイラルチャージショット!!」
エックスは、ウツボロスの頭部に向かって放つ。バスターの光弾はを頭部を貫き、ウツボロスは勢いよく爆発する。
「うわぁぁ!?」
エックスは、爆発の勢いで吹き飛ばされるもののフットパーツの推進力を活かして体勢を整える。そんな彼に襲われたと思われる者が同じように吹き飛ばされて当たった。
「あっ、大丈夫?怪我は・・・・・・・」
エックスは、声を掛けようとしたところで言葉を失う。
「に、人魚?」
エックスの目の前にいるのは、長い金髪に下半身は魚のような尾びれを持った人魚型レプリロイドだった。人魚というのは22世紀のテーマパークで人工的に作られたもの、夏休みにドラえもんが見せてくれたバーチャル映像で見せてもらったことがあったがここまで近くで見る事はなかった。一方の彼女の方も少し驚いていたようだった。
「あ、ありがとう・・・・・・」
彼女は、そう言うとエックスから離れる。
「ここはイレギュラーが占拠しているエリアだぞ?こんなところにいたら危ないじゃないか。」
少し彼女は、困った顔をして言う。
「ここはアタシが活動しているエリアなの。それがオクトパルドに襲われて・・・・・」
「オクトパルド?やっぱり奴の仕業だったのか!」
「えっ?アンタ、オクトパルドと戦いに来たの?」
人魚型は意外そうな顔をしてエックスをジロジロと見る。
「本当にアンタが戦うの?」
「何か文句あるのか。」
「・・・・・・・・ちょっと頼りなさそう。」
「何だよその言い方!俺だってれっきとしたイレギュラーハンターなんだぞ。君だって戦闘型じゃないんだから早くここから離れるんだ!」
「なっ!?女だからってアタシのことをバカにしているわけ!?」
「何が悪いんだよ!さっきだって危ないところだったじゃないか!!」
「フーンだぁ!危なくなかったですぅ!自力で逃げられましたぁ!助けなんて必要なかったですよぉ―――――だっ!」
「そんな言い方しなくたっていいじゃないか!」
とんだところから二人は、喧嘩を始めてしまう。
そんな二人を他所に大量の魚類型メカニロイドが一斉に迫ってくる。
「大体アンタだって、うまく泳げていないじゃない!そんなんでよくオクトパルドと戦うなんて言えるわよね!」
「泳ぎの問題で戦いは決まるもんじゃない!少なくとも丸腰の君よりは戦えるさ!」
「言ったわね!」
「あぁ!」
「・・・・・って、いつの間にか包囲されちゃったじゃないの!?」
人魚型の方は、いつの間にか取り囲まれていたことに驚く。
「君があんな言い方したからだろ?」
「アタシのせいだって言いたいわけ!?」
「そもそも敵のところへ向かう途中で君を助けたことから始まったんだぞ!?」
「別にアンタに助けてなんて一言も言っていないわよ!!」
「言ったな!」
「言って何が悪いのよ!女に文句を言うほどの男にはお似合いの言葉よ!」
喧嘩はさらにエスカレートし、メカニロイドの大群のことを忘れた。
「なっ、なんと無粋な!!せっかく用意した舞台であんな喧嘩をしてしまうとは・・・・・・これでは芸術的ではありません!こうなれば少しテンポが崩れてしまいますが・・・・・・・・・序盤のラブロマンスからピンチを志半ばにしてラスボスに敗れる正義というシチュエーションに変更いたしましょう!!」
「大体助けたのはこっちの方なのにどうして君に怒鳴らなければいけないんだ!」
「アンタの顔が頼りなさそうだからでしょ!」
「なんて言い方だ!容姿差別だ!だったら君は見た目はきれいなだけのじゃじゃ馬娘だ!!」
「じゃじゃ馬ですって!?だったらもっとビシッとしなさいよ!」
「おやめなさい!」
「「!?」」
二人は声のした方を見る。その先にはオクトパルドがいた。
「「オクトパルド!!」」
「全く・・・・・・せっかくロマンチックな作戦にしようとしたのに・・・・・・」
「アンタの作戦なんてどうでもいいわよ!!邪魔だからあっちに行ってて!!」
「お黙りなさいマーティ!!あなたはいつもそうだからその美しさに釣り合わないんですよ!!」
人魚型ことマーティに向かってオクトパルドは、怒鳴る。
「貴方もですよエックス!!一応相手はレディーなのですからもっと柔らかく対処しなさい!!あなたの対処では、むしろ火にオイルを注いでるも同然です!!」
「イレギュラーのお前に言われたくはない!!大体どうしてここにいるんだ!?」
「それはですね・・・・・私は水中戦のアーティスト、戦闘面においても芸術的にするのがポリシーです。ですから・・・・・・」
「君なんかどこかの知り合いのタヌキみたいなネコ型ロボットと同じだ!!」
「タヌキみたいなネコ型ですって!?何訳の分からないことを言ってんのよこの青ブルマ!!」
「なっ!?だったら君は・・・・・・」
「いい加減に私の話を聞きな・・・・・・」
「「うるさいから黙ってろぉ!!」」
「はっ!?はい・・・・・」
二人の威圧に押されてオクトパルドは、黙るしかなかった。
「・・・・・・・・くぅ、こうなったら私のやり方に傷がつくことになりますが止むを得ません!!こうなったら2人揃って地獄に堕ちなさい!!」
オクトパルドは、自分の体を高速で回転させて、渦巻きを作り上げる。
「「えっ?」」
喧嘩をしていた二人は急に発生した渦に呑まれる。
「うわあぁ!?」
「きゃっ!?」
「ホッホホホホ!さあ、2人仲良くこの渦の中でスクラップになってしまいなさい!!」
オクトパルドは、渦の中心から小型魚雷を多数発射する。
「うっ!?」
数弾が命中し、マーティは渦の外へと放り出される。一方のエックスは、バスターで魚雷を破壊するが間に合わずどんどん被弾していく。
「あっ・・・・・・」
マーティは、渦の中で必死にもがいているエックスを見る。水中戦に慣れていない上に、うまく身動きのできない環境での防戦。やられるのは時間の問題だった。
「あ、アタシのせいで・・・・・・・・・・」
自分があんなことを言って足止めになるようなことをしなければ。
もっと素直に礼を言っていれば・・・・。
素直じゃない自分の性格を思わず呪いたくなった。
それでもエックスは、必死に防戦し続けていた。
「ホッホホホホホホッ!!エックス、抵抗するだけ苦しむ時間が長くなるだけですよ?潔く諦めたらどうです?今ならその功績に免じてこのエリアにブロンズ像を建てて差し上げても構いませんよ?」
「断る!俺は絶対にあきらめない!!昔からそうだった!そして、今も!!」
「ならばひと思いにとどめを刺して差し上げます!!」
オクトパルドは、触手からピラニア型魚雷を発射する。
「くっ!」
エックスはバスターで撃ち落とすが渦の中であることもあって数体が逃れてエックスに直行する。
「ダメだ!やられる!?」
魚雷が爆発する。
「・・・・・終わりましたか。美しく終わらせるのならパーツもある程度残さないといけませんでしたね。さて、どのくらい残って・・・・・なにっ!?」
その時オクトパルドは自分の目を疑った。
目の前に落ちてくるはずのエックスのパーツが一かけらもないのだ。
「そんな馬鹿な!?私の魚雷は確かに命中したはず・・・・・・」
「オクトパルド!!」
「ぬっ!?その声は・・・・・もしや!?」
オクトパルドは後ろを振り向く。そこにはマーティに掴まりながらバスターをチャージするエックスの姿があった。
「そ、そんなはずは・・・・・あのマーティが・・・・・あのじゃじゃ馬娘が人に手を貸すなんて・・・・・・」
「はあぁぁぁぁぁぁぁああ!!」
「芸術は・・・・・・」
「スパイラルチャージショットッ!!」
エックスのチャージショットがオクトパルドの脳天を貫いた。
「爆発なのでぇえ~す!!!」
オクトパルドは水中で勢いよく爆発する。エックスとマーティは、バラバラになったオクトパルドの残骸から彼のDNAデータを取る。
「これで何者かに襲われたナウマンダーも含めて五人のイレギュラーを倒したことになるのか。」
エックスは、バスターの端末に組み込むとマーティの方に向き直る。
「・・・・・」
「・・・・助けてくれてありがとう。君の助けがなかったら今頃おれは海の藻屑になっていたよ。」
「べっ、別に!あたしがちょっと言い過ぎたと思ったからその・・・・・お詫びって言う意味でやっただけよ!べっ、別にお礼されたくてやったわけじゃないからね!!」
マーティは、照れくさそうに顔を赤くして言う。
「あぁ・・・そ、そうなんだ。あっ、そう言えばさっき喧嘩して自己紹介していなかったな。俺は、エックス。イレギュラーハンター第十七精鋭部隊所属のB級ハンターだ。き、君は?」
「あ、アタシはマーティ。レスキュー用・・・・痛!」
「マーティ?」
エックスはマーティに近づく。よく見ると彼女の脇腹に先ほどの爆発で突き刺さったと思われる破片があった。
「大丈夫かい!?」
「へ、平気よ!別に大したことなんて・・・・・」
「戦闘用じゃない君がそれで平気なわけがないだろ!!」
エックスは、マーティを抱きかかえると海上へと向かっていく。
「ちょっと!どこへ連れて行くのよ!?アタシだったら平気だって!」
海岸部
地上に出たエックスは、マーティを横にすると破片を抜き取って簡易ながらも修理を行う。受けているマーティの方は少し恥ずかしそうだった。
「別に修理なんてしなくてもよかったのに・・・・・・・」
「助けてくれたお礼さ。まあ、これなら普通に泳ぐ分には破損個所に浸水してくる心配はないよ。」
エックスは、抱き上げてマーティを海に帰す。
「・・・・ま、また、アンタに助けられたわね・・・・」
彼女の方は、顔が既に真っ赤だった。
「じゃあ、俺は次の仕事があるから!」
エックスは、そう言うと街の方へと走って戻って行く。
「・・・・・・・何なのかしら。」
エックスがいなくなった後もマーティの顔は赤いままだった。そして、さっきから何なのか動力炉が妙に脈打っていた。
「・・・・・・・・これって・・・・・・まさか初恋ってやつなの?」
どんどん小さくなっていくエックスの後姿を見ながらマーティはさりげなく言う。
「もう一度会いたいな・・・・・・・・・」
ページ上へ戻る