おぢばにおかえり
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第五十八話 入学前のその二十八
「お母さんが教えてあげるわね」
「そうしてくれるの」
「ええ、だからね」
「まずは私がやってみるのね」
「軽くでいいのよ」
お化粧はというのです。
「あくまでね」
「ルージュ塗ってファンデーションして?」
「それ位でいいのよ」
「軽くなのね」
「別に眉を描いたり睫毛付けなくていいから」
そうすることはないというのです。
「別にね」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「ここはね」
「お母さんが言う通りになのね」
「やってみてね」
「わかったわ、それじゃあね」
「その日は朝早くに起きて」
先輩と一緒に遊びに行く時はというのです。
「そしてね」
「そのうえでなのね」
「お化粧して」
「それから外出ね」
「朝早く起きるのはうちが卿かいだからだし」
四時半に起きています、教会の朝はとにかく早いです。起きてすぐに神様に手を合わせてお祈りをします。
「それでね」
「外出するまでによね」
「ちゃんとね」
「お化粧してよね」
「そのお化粧は」
その時のこともです、お母さんは私に言いました。
「お母さんが教えてあげるからね」
「じゃあお願いするわね」
「それじゃあね」
「ええ、ただ何かね」
お母さんは今度は微妙なお顔になって私にこうも言ってきました。
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