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デブ猫の過去

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第二章

 阪井は素早くトラの首の後ろに注射をした、一瞬で終わったがトラはまだ警戒している。そのトラを見てだった。
 藤井は笑ってトラに言った。
「終わったからな」
「ニャ?」
「もう大丈夫だぞ」
「何が起こったかわかってないですね」
「そうみたいですね」
 今度は阪井に応えた。
「いつもですが」
「注射を怖がるんですが、どの子も」
「終わってもですね」
「気付かないんですよね」
「そうですよね」
「ですから」
 それでというのだ。
「怖がることないのに」
「トラも怖がって」
「どの子もです。ですがお家で普段はですね」
「僕に凄く懐いてくれてます」
 藤井は阪井にトラの普段のことは笑顔で話した。
「家に帰ると玄関に迎えに来ていつも喉をゴロゴロ鳴らして」
「それで、ですね」
「寝る時も一緒です」
「本当に懐いてますね」
「はい、じゃあこれから」
「お家にですね」
「帰ります」
 こう阪井に話した。
「そうします」
「それじゃあ」
「あと去勢してから」
 藤井はこうした話もした。
「すっかりです」
「大人しくなりましたか」
「その前は今よりずっと凶暴でしたけど」
 それがというのだ。
「本当にすっかりです」
「大人しくなって」
「それで、です」
 そのうえでというのだ。
「それまで以上に懐く様になりました」
「それは何よりですね」
「はい、じゃあまた」
「何かあれば来て下さいね」
「そうさせてもらいます、帰ろかトラ」
「ニャン」
 帰る時はだった。
 トラはバスケットに素直に入った、そしてだった。
 藤井は会計を済ませて阪井と笑顔で別れてトラを連れて家に帰った、トラは家に帰るとバスケットを出てだった。
 皿の上のご飯を貪る様に食べはじめた、藤井はその彼を見て笑顔でいた。


デブ猫の過去   完


                2020・5・22 
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