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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第二十九話 研究所の防衛

 
前書き
武装にツッコミたいフォルスロイド。

何で単機に核ミサイル装備させてるんだ… 

 
ヴァンはプレリーの指示を受けてインナーの近くに現れたイレギュラーの掃討をしていた。

「…………」

アルティメットセイバーを振るうだけでイレギュラーはあっさりと沈んでいく。

モデルOに取り憑かれたばかりの時は使われていると言う感覚が抜けなかったが、今では自分とモデルOの動きが完全に一つになっている錯覚さえ覚えた。

そしてイレギュラーを斬る度にどうしようもない快感を覚える自分もいる。

「ここらのイレギュラーは全て…倒したな……今までよりイレギュラーの数が多い気がするな」

トランスサーバーに戻り、司令室のブリッジに行き、プレリーの部屋に入る。

「お疲れ様、今日は良い茶葉が手に入ったの」

プレリーが淹れてくれたのは紅茶だった。

一口啜ると砂糖が入っていて少し動いた体に心地良い気がして、何らかのハーブが使われているのか香りを嗅ぐと心が落ち着くような気がした。

「美味い…」

「良かった…」

安堵したプレリーの表情にイレギュラー掃討完了の報告をして、感じたことを伝える。

「何というか…今までよりもイレギュラーの数が増えているような気がするんだ。」

「やっぱりそうなのね…エールに向かってもらった場所にいたイレギュラーもかなりの数なの…セルパンがモデルVの本体に近付いていると言うことなのかしら」

「エールは?」

「ヴァンより少し前に終わらせて戻ってきているわ」

「そうか…あいつも強くなったよな」

「ええ、ライブメタルの力を…ダブルロックオンの力を完全に使いこなして来ているわ」

最初はライブメタルの力に振り回されていたエールも今では完璧に力を使いこなしている。

しかもまだモデルPの完全修復が終わっていないのだから、まだまだエールには強くなる余地がある。

「一体どこまで強くなるんだろうな」

強くなっていくエールに対して頼もしいと思うが、楽しみにしている自分がいる。

正直、彼女の力の矛先が自分に向けられる可能性がある以上、もっと強くなければ楽しめない…そこまで考えて何を考えているのかと頭を横に振る。

「(何で俺がエールと戦わないといけないんだよ)」

正直時々、自分とモデルOの思考の境界が分からなくなることがある。

今もまるで最高に強くなったエールと戦うことが自分の本心であるかのように。

「どうしたの?」

「いや、何でもない。サルディーヌは?最近相手してやれてないなって…」

「あの子は大丈夫よ。全てが終わったらたっぷりとあの子の相手をしてあげましょう」

そう言って微笑むプレリーに、全てが終わった時に自分がいるのかと考えながら頷き、部屋を後にしてプレリーがブリッジにエールを呼ぶとミッションを言い渡す。

「エリアLで古い研究所らしき施設を発見したの、施設の構造はモデルXが発見された初代司令官の研究所と似ていて、ライブメタルに関する手掛かりが残されているかもしれないの。二人共、エリアLに向かって研究所にあるデータを回収してもらえないかしら」

「エリアLってどうやって行くの?」

「そうね…エリアHの紫の扉を通れば短時間で辿り着けるはずよ…以前大型メカニロイドを倒した場所になかったかしら?」

「あったな、そう言えば」

エールの問いにプレリーがエリアLまでの最短ルートを教えると、ヴァンも頷いてエールと共にブリッジを出ようとした。

「あ、待って、エリアLには特殊な電波兵器があるの。スコンブレソスが気付け薬を持っていたから彼から譲ってもらってね」

「「了解」」

因みにスコンブレソスは男女差別を地で行く人物であり、エールの倍のEクリスタルを譲ることになった。

後でこのことは必ずプレリーに報告しようと心に誓うヴァンであった。

まずはエリアAに向かい、そこから遊園地のあるエリアHに向かって遊園地に入る。

そして復活した巨大メットールを破壊して紫の扉を発見した。

「多分この扉だな」

「何で遊園地の近くに作ったんだろ?」

「さあな」

いや、遊園地の近くだからこそ気付かれないと思ったのかもしれない。

二人は扉を潜って先に進むと研究所らしい場所に出た。

しかしここでは大規模な爆撃が行われており、絶え間なく爆音と地響きが起きている。

『大変よ!敵がそのエリアに攻撃を始めたわ!このままじゃ研究所に残っているデータや施設を破壊されてしまう!データが残されている部屋はその先にあるはずよ!急いで!』

「全く、セルパン・カンパニーの連中は働き者が多いことで」

「何でその労働力をもっとマシなことに使わないのかな?」

プレリーからの通信にヴァンとエールは辟易したような表情を浮かべながら研究所内を駆け抜ける。

道を塞ぐコンテナなどの障害物を壁蹴りで突破し、ヴァンがバスターショットを引き抜き、ドラム缶をショットで壊していく。

そしてエールはモデルHXに変身し、上空のリフターに乗ったメカニロイドをエアダッシュとホバーを駆使してダブルセイバーで両断しながら進んでいく。

二人が上と下の敵を請け負うことでスムーズに進んでシャッターを抉じ開けて更に奥へと進んでいく。

「あれが、プレリーの言っていた電波兵器か?」

この通路にはいくつかのアンテナがあり、青い電波と赤い電波を発していた。

『そうだ。俺も昔あれで痛い目に遭ったからな…あの電波を受けると体の感覚がおかしくなって思うように進めなくなる。スコンブレソスから気付け薬を貰ってるだろ?あれを飲めば一回電波を受けてもすぐに回復出来る…後はアンテナに攻撃を当てれば少しの間だけ機能停止するぞ』

「なるほど、ありがとうジルウェ」

早速モデルZXに変身してZXバスターを構えながらヴァンと共に駆け抜けるエール。

メカニロイドを破壊しながら電波を浴びないようにアンテナに攻撃を当てながら進んでいくが、途中でエールが青い電波を浴びて正反対の方角へ進んでしまう。

「エール、気付け薬だ!」

「あ、ありがとう……に、苦~っ!!」

渡された薬を早速飲んだが、あまりの苦さにエールのおかしくなっていた方向感覚が一発で治った。

そのあまりの苦そうな表情を見たヴァンは絶対に電波を浴びないと心に誓った。

電波を浴びないように気を付けながらメカニロイドを迎撃し、エールがこのエリアの最後の一体をZXセイバーで破壊する。

そして奥のシャッターを潜ると、空からミサイルが降り注いでいる。

上を見上げるといくつかの飛行艇があり、バスターで撃ち墜とそうとしても完全に射程外なのでこのまま進むしかない。

「あいつら本気でここを壊すつもりなんだね」

「ここにいるフォルスロイドを倒せば静かになるだろ…行くぞ」

「………ねえ、ヴァン。何かどんどん口数が少なくなってない?」

「は?」

「何て言うか…時々…ヴァンの雰囲気がガラリと変わることがあるからさ…」

不安そうに言うエールにヴァンは動揺を隠しながら笑った。

「悪い、そろそろセルパンとの戦いが近付いているから緊張してたのかもな。心配させたなら悪かったよ」

「そっか、ならいいの」

そう言ってミサイルをかわしながら進む二人。

しかし、量が量なのでアイスチップを起動して空中での単発回転斬りを繰り出すと氷属性の衝撃波を広範囲に放った。

「アークブレードの攻撃範囲ならミサイルを破壊出来るし、属性を持たせれば空中の敵も氷付けにして叩き落とせる。」

「後はアタシが!!」

氷付けになったメカニロイドをエールがセイバーとバスターで破壊しながら途中のアンテナの電波に当たらないように気を付けながら攻撃を当てつつ進んでいく。

障害物もアークブレードの衝撃波で破壊されていき、エールはヴァンが氷付けにしたメカニロイドを破壊しながら追いかけていくと、シャッターの前に出た。

「大丈夫かエール、まだ走れるか?」

「平気よ!それよりも急がないと!!」

シャッターを抉じ開けて奥に進むと、先程と同じような光景が広がり、ヴァンがアークブレードでミサイルとメカニロイドを蹴散らし、途中のトゲ地帯は敵のリフターを利用して進んでいく。

「……強い力を二つ感じるな」

「うむ、片方は拙者の力のようだ」

ヴァンが奥のシャッターから感じる強い力はどうやらモデルPのフォルスロイドのようだ。

そしてもう片方は復活したイレギュラーなのだろう。

「よし、だったらモデルPの力を取り戻しちゃおうか」

フォルスロイドがいるなら寧ろ好都合だ。

倒してモデルPのデータも回収してしまおう。

シャッターを潜り抜けると、サイ型のフォルスロイドと蟷螂型のレプリロイドが争っていた。

フォルスロイドの発射する爆弾やミサイルをレプリロイドは軽々とかわしながら両手の鎌で傷をつけていく。

「ふん、この程度では俺を倒せんぞ」

「ハッ!その威勢がどれだけ保つか楽しみだな…!」

「おい」

「「ん?」」

ヴァンの声に戦闘を中断して振り返る二体。

「あんた達がモデルPのフォルスロイドと復活したイレギュラーだね?」

「ギチギチギチ…!破壊神の器か…騒がしい野郎の相手が終わったら探そうと思っていたがツイてるぜ…俺はあの方に仕えていたデスタンツ・マンティスク!そこの女を細かく刻んでからお前を回収してやる…!」

「来たな…ガーディアンに与する愚かなロックマン共…ここのデータは俺様の体内データディスクに全て記録した。後はお前達とこの目障りな奴ごとこの部屋を踏み潰してしまえば全て終わりだ。俺様の名はモデルPのフォルスロイド、プロテクタス!我らの理想を阻む者はこの俺様が全て踏み潰してやる!」

「……このでかいのは俺がやるからエールはもう一人を頼む」

「分かった、任せて」

プロテクタスと名乗ったフォルスロイドと戦って無傷と言うことは、機動力が高いと言うことなのだろう。

セイバーを構えながら何時でもチャージバスターを撃てるようにしておきながら突撃する。

「………随分とでかいな…頑丈そうだし……………試し斬りがいがありそうだ…」

目の色が紅く染まり、凶悪な笑みを浮かべるヴァンにプロテクタスは思わず冷たい物を感じた。

「(な、何だこの殺気は…!?俺様がこんな小僧に怯んだというのか…!?)ええい!舐めるな小僧!!」

感じた恐怖を振り払うようにプロテクタスは爆弾とミサイルを発射した。

「そらよ!」

鎌を高速回転させながら放ってくるマンティスク。

それをかわしてバスターを構えてチャージバスターを発射するが、片方の鎌で両断されてしまう。

「こいつっ!」

バスターが駄目ならチャージセイバーで攻撃するが、それをジャンプでかわして壁に張り付くとこちらに急降下してくる。

エールはそれをモデルHXのエアダッシュでかわしてプラズマサイクロンで着地したマンティスクを攻撃する。

「ギチギチ…やるじゃねえか人間の癖にな…っ!」

「もう聞き飽きたよそれ…人間だからって馬鹿にしないでくれる?確かにレプリロイドと比べれば出来ないことが多いかもしれないけどさ…!」

両手の鎌で斬り掛かるマンティスクをダブルセイバーで受け止め、受け流しながら反撃に転じる。

「セルパンやあんたみたいな奴からみんなを守りたいと思う気持ちは誰にも負けない!」

「ほざくなよ小娘!」

距離を取って鎌を発射したマンティスクに対してエールはモデルPに呼び掛ける。

「モデルP、行くよ!」

「うむ」

モデルPXに変身するのと同時にオーバードライブを発動してシャドウダッシュを駆使してマンティスクの背後を取り、クナイ投擲からの十字手裏剣が炸裂する。

「ぐおっ!?」

「畳み掛ける!!」

モデルZXへと変身するとバスターを構え、チャージバスターからのセイバーでの三連擊をお見舞いした。

「調子に乗るなよっ!!」

マンティスクは近くのスクラップを鎌で両断しながらエールに飛ばす。

「モデルF!」

「任せな!!」

ナックルバスターを構えてショットを連射してスクラップの破片を破壊する。

「ちぃっ!!」

マンティスクは鎌でエールを両断しようと直接攻撃を仕掛けるが、即座にモデルLXに変身してハルバードで受け止める。

「モデルL!!」

「分かっているわ」

オーバードライブを発動し、ハルバードから放たれる冷気がマンティスクの体を凍らせていく。

「か、体が…っ!?」

「モデルX!!」

エールの基本モデルとなるモデルXに変身し、チャージをしながらXバスターを構える。

「チャージ完了!」

「ダブルチャージバスター!!」

必殺のダブルチャージバスターがマンティスクの胸を貫いた。

「お、俺が…人間如きに負けるのか…!?あり得ない…嫌…だ…死にたくない‥死にたくないぃぃ‥!ギチッ‥ギギギギギギーーーーッ!!!」

エールはマンティスクの爆発に巻き込まれないようにダッシュで離れた。

そして一方、プロテクタスと戦っているヴァンは後一歩と言うところまで追い詰めていた。

頭部をセイバーでズタズタにされてよろめきながらもプロテクタスはヴァンを睨み付けていた。

「ぐ…ぬうううう…こんな小僧に俺様が…っ!」

「…………弱いな、お前」

紅い瞳でプロテクタスを見据えながら無機質な声で呟くヴァン。

「調子に乗るな小僧!こいつを喰らってもその減らず口が叩けるか!?」

ミサイルの発射体勢に入ったプロテクタスだが、ヴァンはオーバードライブを発動し、拳を握り締めてオメガナックルのエネルギーを極限まで集中させる。

「裂光霸」

地面を殴り付けた瞬間に無数の光が降り注いでプロテクタスを貫き、そして発射寸前のミサイルが破壊されたことで大爆発を起こした。

煙が晴れると無傷のヴァンが無表情で佇んでいたが、エールが近付いたことで瞳の色が紅から翡翠に戻る。

「ヴァン…大丈夫!?」

「エール…あ、ああ…大丈夫だ。」

「大丈夫なわけないでしょ!?爆発をまともに受けたじゃないの!後で医務室に行きなよ!!」

「分かった分かった…それより…」

プロテクタスがいた場所にデータの塊が浮かび、それはモデルPへと吸い込まれていく。

「どう?」

「うむ…失われた力を取り戻すことが出来た。しかし、取り返したパスコードは修復にしばしの時を必要とする。来るべき時がきた時、パスコードをお主達に託そう」

モデルPも力を取り戻したことで全てのライブメタルが完全体となったので、後はパスコードの修復を待つのみだ。

ヴァンは近くに落ちている二枚のデータディスクを回収して、小型端末に挿し込むが、まるで読めない。

「……駄目だ。破損が酷すぎて読めない…少しやり過ぎたからな」

頑丈なディスクだから原型は保てているが、内部データが破損してしまっており、内容がさっぱり分からない。

『ガーディアンベースでなら修復出来るかもしれない。ミッションレポートと一緒に、こっちに送ってもらえるかしら?』

「分かった。近くにトランスサーバーがあればいいんだけどな」

奥のシャッターを抉じ開けて進むと、トランスサーバーがあり、早速ミッションレポートと共にデータディスクを送った。

そして二人もガーディアンベースへと帰還した。 
 

 
後書き
もうほとんどヴァンとモデルOの意識の境界線がないです 
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