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戦国異伝供書

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第八十七話 元服と初陣その十一

「毛利家の主となるが」
「はい、まだですな」
「幼い、だからな」
 それでというのだ。
「わしの弟、そして幸松丸から見て叔父であるお主がじゃ」
「後見にですか」
「なってもらうか」
 こう言うのだった。
「ここは」
「はい、それでは」
 是非にとだ、元就も答えた。
「その時は」
「頼むぞ」
「はい、ですが」
 ここでも元就は兄に話した。
「やはり。今からでも」
「酒はじゃな」
「控えるべきかと」
「そうすべきであるな」
「そうです、ですから」
 それでというのだ。
「宜しくお願いします」
「そうじゃな、だからな」
「これよりですか」
「酒はな」 
 これはというのだ。
「慎もう」
「そうされて下さると」
「そうであるな、どうもな」
 こうも言うのだった、弱った身体で。
「わしは弱い、しかしな」
「これからはですか」
「控えよう、だが何かあれば」
 その時はというのだ。
「やはりな」
「その時はですな」
「毛利家と幸松丸を頼む」
「では」
「それでだが」
 ここでこうもだ、興元は言った。
「尼子家がな」
「はい、次第にですな」
「力を伸ばしてきておるな」
「そうですな」
「大内家と張り合うまでに」
「それで、ですな」
「大内家といがみ合う様になってな」
 そしてというのだ。
「やがてな」
「戦にもなりますな」
「それもこの安芸でな」
「そうなると思います」
 元就は兄に答えた。
「やはり」
「だからであるな」
「そうじゃ、だからな」
 それでというのだ。
「どうするかじゃ」
「今当家は大内家についていますが」
「これからどうするかじゃな」
「今は生きる為には」
「両家を見てか」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「尼子家につくこともです」
「考えていくべきか」
「そうかと。ただ大内家は現状に満足していてです」
「安芸にも然程関わってこぬな」
「ですが尼子家は違い」
「大きいな、野心が」
「ですからこの安芸にもです」
 こう興元に話した。 
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