| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二百六十九話 暴力を使わずにその四

「そう言う奴に限って責任取らないんだよ」
「それが世の中だね」
「ああ、だからな」
「逃げないといけない時はだね」
「逃げるべきなんだよ」
「それは恥じゃないね」
「暴力を避けるにしても知恵だよ」
 親父は暴力が嫌いだ、それで今例えにして話してくれているのだ。
「そこには逃げるって選択肢もあるんだ」
「今回の人もだね」
「残ったままだったらどうなる」
「今回のことを手引きしたから」
「相手はヤクザ屋さんの元締めでもあるんだぞ」
「普通に殺されるね」
「ああ、だから逃げてな」
 お袋を助けた時に僕達と一緒にというのだ。
「暫くな」
「オーストラリアに隠れるんだ」
「あっちで仕事してな」
「そうするんだね」
「そうなってるさ」
「そこまでしてるんだね」
「そうさ、じゃあな」
 親父は僕にあらためて言ってきた。
「これから行くな」
「それじゃあね」
「一応言うけれど靴は脱がなくていいからな」
「ああ、土足で入ってもだね」
「まさか玄関で脱いで入らないだろ」
「こうした時はしないよね」
「もう屋敷の中に一気に入ってな」
 そしてというのだ。
「母さんを見付けてな」
「それで助け出して」
「もう一気に逃げるぞ、母さん見付けたらメールで連絡する手筈になってる」
「それでお袋を助けて」
「こんなところからはすぐにだよ」
 それこそというのだ。
「逃げるからな」
「わかったよ、じゃあね」
「それでな」
 親父は僕にさらに言ってきた。
「お前は俺についてこい」
「親父にだね」
「何があっても離れるなよ」
「わかったよ、じゃあね」
「何度も言うが俺は暴力は振るわない」
「他のやり方でいくんだね」
「ああ、こうした時でもな」
 暴力的な相手が出て来るだろうにしてもというのだ。
「やり方ってのがあるんだよ」
「暴力を使わないで進む方法が」
「そうさ、それを見せられるかもな」
「見せない方が嬉しいよね」
「本当に屋敷の中の人達が飲んでな」
 酒、それをだ。
「酔い潰れているのならな」
「有り難いよね」
「折角ここまで上手くいってるんだ」
「それなら最後の最後までだね」
「上手くいって欲しいからな」
「そうだよね」
「ああ、酔い潰れていてくれよ」 
 親父は切実に言ってだった、僕を連れて畑中さん達と一緒に屋敷に庭の縁側から入った、そしてそこから二手に分かれてだった。
 僕達は屋敷の中を進んでいった、僕達のところには畑中さんがいてくれて廊下を先頭に立って進みながらお話してくれた。
「気配がしません」
「それならですね」
「はい、どうやらです」
「内応してくれてる人がですね」
「屋敷の中の人達に飲ませて」
 お酒、それをというのだ。
「酔い潰してくれたみたいです」
「そうなんですね」
「ならです」
 畑中さんの声が強くなった、ここで。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧