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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第十三話 乙女達の心理

 
前書き
乙女のタブーに触れたヴァン達の未来は如何に… 

 
ルナエッジとルアールを倒した二人は安堵の息を吐いた後、エールは乙女のタブーを口にしたヴァンの頭を叩いた。

「何すんだよ?」

何故叩かれたのか分からないヴァンが疑問符を浮かべながら顔を顰めた。

「モデルX、何故エールはヴァンを叩いたんだ?」

「あの野郎も変だったけどエールもおかしな奴だな」

「君達…」

「無駄ですモデルX様、説明したところでこの二人に理解など出来るわけがありません」

モデルZとモデルFの疑問にモデルXはどう説明すればいいのかと頭を悩ませるが、モデルHは溜め息を吐いてモデルXに進言した。

「まさか、キザ坊やと意見が合うとはね」

ルアールの残骸から姿を現したライブメタルはどことなくモデルXに近い姿をしているが、モデルXとは違ってどうやら女性の人格のようだ。

モデルHがモデルLに気付き、彼女に尋ねる。

「…久しぶりだな、モデルL。あいつらの代わりに尋ねるが、ガーディアンの初代司令官の調査隊に関するデータディスクのことについて何か知らないのか?」

「ああ、あのデータね…。あれならもうここにはないわ。どこかに運ばれてしまったもの…全く…あの戦争から数百年も経ったっていうのに…また騒がしくなってるのね」

モデルHの問いにモデルLはルアールに組み込まれていた時のことを思い出し、データはここにはないことを告げる。

そして自分達のオリジナル達が戦っていた戦争から大分時が過ぎたと言うのにまた騒がしくなっていることに呆れる。

「そうなんだ、セルパンという男がモデルVを目覚めさせようとしている…それを止めるために、彼女達に力を貸してくれないか?」

エールから聞こえてくるモデルXの声にモデルLは断る理由もないので快諾した。

「…分かりましたわモデルX様、ところでセルパン達の会話を聞きましたけど…借り物の体とは言え、モデルX様とモデルZがセルパン達に敗北したと聞きましたわ」

「…うん、僕達の力が足りなかったせいでエールは酷い怪我を負って、モデルZの適合者だったジルウェという人は戦えない体になってしまった。今は…彼女と…彼が残された希望なんだ」

「………あの、モデルZのオリジナルに酷似した子が…ですか…あの子から感じるのは…」

「モデルL、力に善も悪もないんだ。一番大事なのは力を使う者の“心”だよ…僕は信じてる…ヴァンならきっと、僕とモデルZのオリジナルの宿命を乗り越えてくれる」

「分かりましたわ、モデルX様。あの女の子に力を貸せば良いのですね?」

「ありがとうモデルL」

こうして喧嘩している…一方的にエールがヴァンを怒鳴っているだけだが、二人にモデルXが声をかける。

「エール、モデルLが僕達に力を貸してくれるそうだよ」

「え?いつの間に?」

「あなた達がじゃれあってる間によ。私は氷のライブメタル・モデルL。私の力の使い方は後で教えてあげるからまずはここを出ましょう。あ、因みにパスコードは私の力を持ったフォルスロイドを倒さないと教えてあげられないから…覚えておいてね」

奥のトランスサーバーを使ってガーディアンベースに帰還し、そして司令室のブリッジに戻ったヴァン達を待っていたのはプレリー達からの非難の視線であった。

直後にヴァン、モデルZ、モデルFがブリッジの床に正座させられ、“デリカシーがない”、“敵とは言え女の子に言っていい言葉ではない"などの説教を受けた。

モデルZとモデルFは浮いたままだが、全く微動だにしないので、恐らくこれがライブメタルの正座なのだろう。

「何で敵を倒してライブメタルも取り戻したのに俺達が怒られるんだ?」

「全くだ。先程のミッションにデータ以外の致命的なミスはなかったはずだ。」

「そうだぜ!敵をぶっ潰したのに帰っていきなり正座と説教とか理不尽じゃねえか!!」

ヴァンは帰還早々いきなり怒られ、正座をさせられていることに渋面を浮かべている。

隣のモデルZは普段通りだが、もし表情があれば“解せぬ”という表情を浮かべているのは間違いない。

モデルZの隣のモデルFも帰還早々のいきなりの説教と正座に文句を言う。

「怒られて当たり前でしょ!あんた達はあまりにもデリカシーがなさすぎ!!」

「どうして、こうもデリカシーがないところも似てるのかしら…」

モデルZは“お兄ちゃん”が基になったのでまだ分かるのだが、まさかヴァンまで失言を言うとは思わなかった。

昔のサイバーエルフの名付けの件を思い出しながら怒鳴っているエールの隣でプレリーは額に手を置いた。

「あなた達って本当に女心が分かってないわね。モデルZも戦闘馬鹿も相変わらずで呆れるわ」

モデルLが心底呆れ果てたように言うと、ムッとなったモデルFがあることを思い出してモデルLに向かって言い放った。

「そういや、お前のオリジナルのパワーアップした姿も下っ腹が出てたよな。もしかしてあいつに親近感…いでえっ!?」

乙女のタブーに触れた大馬鹿者のモデルFにモデルLの体当たりが炸裂した。

「あれは水の抵抗を少なくするために設計されてるのよ!あんたのオリジナルの火力だけの欠陥馬鹿と一緒にしないで!!」

「んだとぉっ!?上等だモデルL!表に出ろ!!」

「良いわよ!馬鹿のあんたにきっちりと教育してやるわ!!」

二つのライブメタルはブリッジを飛び出していき、それを見たプレリーが溜め息を吐いた。

「とにかくヴァン、モデルZ…女の子はそういうのを気にするの…だからそういうことは言わないであげて」

「「?…分かった」」

理解したようでしてないヴァンとモデルZにプレリーは溜め息を吐いた。

「でもヴァン、お前エールにはそういうことは一切言わないよな?」

「ジルウェ?」

ギロリとジルウェを睨むエール。

「落ち着け落ち着け、お前は時々失言するけどエールには言わないじゃないか」

「ああ、太るとか?エールが太るわけないだろ?ミッションとか運び屋の仕事とか毎日してるのに太る暇なんかあるのかよ」

「あ、なるほど…そういうことか」

確かにミッションやら運び屋の仕事で毎日動き回っているエールが太るのは想像出来ない。

「確かに、太るのは基本的に動かない者だからな」

モデルZの言葉が基本的に持ち場から動けないプレリーとオペレーター達に深々と突き刺さった。

「ふ、ふうん…まあ、今回は許してあげるけど次はないからねヴァン!!」

「分かったよ」

「取り敢えず飯にするか?二人共、腹が減ってるだろ」

「「はーい」」

ジルウェと共にヴァンとエールがブリッジを出ていき、残されたプレリーは密かに怯えていた。

「(わ、私も言われないように気をつけなきゃ…!座ってばっかりだし…!!)」

特にヴァンとモデルZに“プレリー、太ったな”と言われた日には立ち直れない気がするガーディアン司令官であった。 
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