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おぢばにおかえり

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第五十八話 入学前のその十一

「よくないの、もっと遊ぶことをね」
「しないと駄目なのね」
「そうなのよ、大学に入ったなら」
 遊ぶこともというのです。
「覚えていきなさい、ただね」
「ただ?」
「遊ぶのは泳ぐことと同じだから」
「水泳となの」
 実は泳ぐことはあまり得意ではありません、テニスはしていましたけれどそちらのスポーツはどうにもです。
「同じなの」
「何でもそうだけれど溺れたら駄目よ」
「遊びに溺れたら」
「そう、ギャンブルでもね」
 これでもというのです。
「溺れたら大変でしょ」
「ああ、ギャンブルはね」
「そう、のめり込んだらね」
「それはわかるわ」
 私が聞いてもです。
「お家が大変なことにもなるから」
「お酒もそうでしょ」
「そればかりになったら駄目ってことね」
「あくまで割り切って」
 それでというのです。
「しなさいね」
「遊ぶこともいいし」
「その遊び方は考えることよ」
「遊び人にならない、いえ」
 私は自分で言って気付きました。
「遊び人っていう人は溺れてないわね」
「遊び自体を楽しんでいる人が本当の遊び人よ」
「そうよね」
「だから遊んでもね」
「溺れないことね」
「むしろ遊びもしないと」
 そうしないと、というのです。 
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