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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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SS:シエルとエックス達

 
前書き
ゼロ4終了後のお話。

シエルとエックス達はシエルが幼い頃から会っている設定です 

 
エリア・ゼロの集落では慣れない生活によって多少のいざこざはあれど、シエル達は集落を豊かにし、人間とレプリロイドの共存のために充実した日々を送っていた。

「うーん、やっぱり人間とレプリロイドの決定的な違いは体の頑丈さや寿命の差ね」

「そうだな、他にも色々あるだろうが、イレギュラー化を除けば基本的にそれが占めるだろう。」

人間とレプリロイドの共存のために日々努力しているシエルと、サイバーエルフとなってシエルの様子を見に来たゼロがどうすればもっと人間とレプリロイドが歩み寄れるのかを話し合っていた。

「何とかこの二つを解消する方法はないかしら?」

「人間に武器を持たせたところで限界があるだろう。バイルのような例外を除けばな」

機械に改造されたバイルは自身の頭脳もあってゼロ達三人と渡り合えるくらいの戦闘能力を得ることに成功したが、流石にそこまでの力を与えるには設備も足りないし、どんな影響があるか分からない。

「………シエルお姉ちゃんとゼロ…大切なお話をしてるみたい…。邪魔しちゃいけないからあっちに行こう」

アルエットは空気を読んで向こう側に行く。

するとそこには同じく集落の様子を見に来たサイバーエルフのエックスとルインの姿があった。

「あっ!ルインお姉ちゃーん!エックスー!」

「「シィー」」

人差し指を口の前で添えながら静かにするように合図する。

「???」

疑問符を浮かべながら近付くと、人間の赤ん坊が眠っていた。

「アルエット、少し静かにしてね。今この子達は寝てるから」

「可愛いー」

「でしょ?シエルも昔はこの子達みたいだったんだよアルエットちゃん」

「シエルお姉ちゃんも?」

ルインの言葉にアルエットは首を傾げながら尋ねると、二人は頷いた。

「人間の子供は最初はこんな感じなんだよ。思い出すな…昔のシエルを…」

「え?エックス、小さい頃のシエルに会ったことあるの?」

確かにシエルはエックスに会ったことがあると言っていたが、まさか赤ん坊時代からの知り合いだったというのか?

「うん、僕がまだネオ・アルカディアの統治者だった頃だったかな……胎児の段階から遺伝子操作を施して、人為的に天才児を産み出す極秘プロジェクトを行っている研究所があってね…シエルはその研究所出身のデザイナーベビーだったんだ」

「デザイナーベビー?」

「えっと…思った通りの子供になるように予め手を加えられた人間の子供かな?分かる?」

「う、うん…」

まだ幼いアルエットにも分かりやすいようにルインが説明すると、アルエットは頷いた。

取り敢えず子供達から離れてから話の続きをする。

「当然、僕はそれを知って視察に行ったんだけど…もう既に多くの子供達が生まれていて…止められる状態じゃなかった。だからせめて生まれてきた子供達が何とか生きていけるようにアカデミーのような養育機関を設立させてあげることしか出来なかった…そして一度四天王のみんなを連れて視察に行ってね」

「「どうなったの?」」

二人のわくわくしたような表情と当時のことを思い出してか、クスクスと笑いながら語り始めた。

「子供達が僕達を見た瞬間に寄ってきてね。あまりの勢いにハルピュイア達は最初は困惑してたよ」

子供は良くも悪くも遠慮がない。

ネオ・アルカディア四天王であるハルピュイア達に無警戒に近付く者などいなかっただろう。

だからこそ初めての経験に戸惑う四天王達の表情がルインとアルエットの頭の中に浮かんだ。

「ねえ、ハルピュイア達は子供達に好かれた?」

「うん、中でも一番好かれたのはファントムだったかな?やっぱり一番最初に造られてハルピュイア達を見守ってきたからか、お兄さんの雰囲気を感じ取ったのかもね」

「「へー」」

「ハルピュイアとレヴィアタンもファーブニルも好かれていたよ…ただ、その後にとんでもないことが起きたけど…」

その“とんでもないこと”を思い出したからか表情が少しだけ引き攣っているエックスにルインとアルエットは互いの顔を見合った。

「何が起きたの?」

「…少しの間だけだけど、子供達と遊んでたんだ。人間の子供をあやす時にする高い高いがあるだろ?」

「高い高い?」

「人間の子供を持ち上げて目一杯上に上げることを言うんだよ」

首を傾げるアルエットにルインが説明すると、エックスが話を続ける。

「ファーブニルが…当時幼かったシエルを高い高いしたんだけど」

「「けど?」」

「勢い余ってシエルがファーブニルの手からすっぽ抜けてね…物凄い高さまで上に飛んでいったよ」

「「ええーっ!?」」

その話が本当だとしたらシエルは幼い頃に命の危険に曝されていたことになる。

“行くぜーっ、オリャアッ!!………あ?”

“うわああああああっ!?”

“きゃあああああっ!?何やってんのよ戦闘馬鹿ーっ!!”

“何をしているんだ馬鹿者っ!!”

“いかん、このままではあの者が地面に激突してしまう!!”

即座にアルティメットアーマーを纏ったエックスと四天王総出で幼いシエルは救助された。

その後、高い高いで幼いシエルを他界させかけたファーブニルはエックス、ハルピュイア、ファントムの三人に説教された。

因みにレヴィアタンはファーブニルの高い高いではしゃぐ幼いシエルを抱きながら呟いていた。

“死にかけたのに笑ってるなんて肝の据わった子ね…将来大物になりそうだわ…”

後にレジスタンスを率いてネオ・アルカディアに対抗し、新エネルギーを開発したのだからレヴィアタンの呟きは間違っていなかったようだ。

「「…………」」

ルインとアルエットは幼い頃から波乱万丈な人生だったシエルに唖然となった。

「あら、エックスとルイン、アルエットもどうしたの?」

「何を話している?」

やって来たのはシエルとゼロだが、アルエットはシエルの姿を認識してシエルに飛び付いた。

「シエルお姉ちゃん!死んじゃ嫌ーっ!!」

「え?ええ?どうしたのアルエット?」

泣きそうな表情で叫ぶアルエットにシエルは疑問符を浮かべるしかなかった。

「どうしたんだあいつは?」

「ゼロ、シエルはネオ・アルカディアにいた頃…幼い頃から波乱万丈な人生だったってことだよ」

「シエルを大切にしてあげなよゼロ」

「…?」

遠い目をしている親友と後輩にゼロは疑問符を浮かべるしかなかった。 
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