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ロックマンZXO~破壊神のロックマン~

作者:setuna
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第六話 発電所の調査

 
前書き
幼なじみだからこそ遠慮のない連携が取れそうですよね。

ZXの隠し要素もメインに入れていきたいです。 

 
ガーディアンベースが今後の方針を決めている中、話題の一つとなっている少年…ヴァンはエリアDでの事件以来、絶え間ないイレギュラーからの攻撃を受けていた。

エリアEに強力なイレギュラーの気配を察知して向かおうとしたが、エリアEへの近道となる場所はインナーにあるため、ヴァンは遠回りをしながらエリアEに存在する発電所に向かうことになったのだ。

しかし流石にイレギュラーからの攻撃をかわしながら進むのは無理であり、モデルOのアーマーには小さくない損傷が入っている。

「くそ…しつこい奴らだ…!」

振り返ったヴァンの表情には疲労の色が濃く出ており、まともに休んでいないことが分かる。

しかし、ホルスターからモデルOの装備であるアルティメットセイバーを抜き、背中に取り付けていたバスターショットを引き抜く。

「そこを退けぇっ!」

即座にチャージバスターを放つ。

巨大な光弾は複数のメカニロイドを破壊し、残りが怯んだ隙にセイバーで斬り込んだ。

戦闘によって徐々にモデルOのエネルギーが高まっていき、それをガーディアンベースのエネルギー感知器は捉えた。

「これは…!?」

「どうしたの?」

オペレーター達の様子に気付いたプレリーが尋ねる。

「エリアEの発電所付近に巨大なエネルギー反応…これは、例のライブメタル・モデルOの反応です!そして周囲にイレギュラーの反応も多数!」

それを聞いた全員の表情は喜びから緊張へと変わった。

「エリアE…好都合だわ。エール、エリアEの発電所にはモデルO以外のライブメタルの反応があるの…だから…」

「分かってる、ヴァンを助けてそこにいるイレギュラーからライブメタルを取り返せばいいんでしょ?」

「ええ、その通りなんだけど…」

「無理をするなよエール。もし逃げられそうなら逃げろ、生きていれば必ずチャンスはある…でも死んだらそれすらないんだからな」

「分かってる…もうあんな無茶はしないから」

ジルウェの言葉に苦笑しながらエールはモデルEに向かうためにトランスサーバーへと向かう。

まずはエリアCの居住区の地下にあるトランスサーバーへ転送し、噴水近くにある黄色い扉を潜ればすぐだったはずだ。

「こういう時にトランスサーバーって不便だよね…」

トランスサーバーの悪用を防ぐためとは言え、トランスサーバー間での移動しか出来ないのは辛い。

外に出るためにはロックマン状態でなければ出られないため、警備のメカニロイドに気付かれないように地下から抜け出し、エリアEに繋がる扉を潜り抜けた。

目的地である発電所に辿り着いた時には無数のイレギュラーの残骸が転がっていた。

「これ…全部、ヴァンがやったのかな…」

『恐らくは…そして、この施設…まだエネルギーを作り出しているみたい。記録によるとここはイレギュラーの襲撃を受けて、放置されたはず…気をつけて、エール。この施設…何か秘密があるはずよ。』

「分かってる」

ヴァンがイレギュラーの大半を倒してくれたのか残っている数はそれほどでもない。

遠距離ならばZXバスターで、近距離ならZXセイバーで攻撃し、生き残ったイレギュラーを倒しながら施設内部に潜入する。

内部はかなり荒らされており、足の踏み場もないくらいにメカニロイドの残骸が転がっていた。

『この施設内部ではほとんどの機能が停止しているわ…多分、彼が電源装置を破壊したのかもしれない…今なら侵入者用の罠も作動しないわ。』

「よし、急いでヴァンに追い付こう」

エールもダッシュ移動で施設内を駆け回る。

移動を妨げる罠も電源が入っていないので飾り同然。

生き残りのイレギュラーが迎撃するものの、新しいロックマンの力の前では足止めにもならない。

『エール、新しい力はどう?』

複数のライブメタルのロックオンは誰も試したことがない。

何らかの副作用があるかもしれないので、プレリーが不安になるのも無理はない。

「大丈夫だってば、寧ろ体に力がみなぎってきて怖いくらいだよ」

モデルXでは不利だった近接戦闘もこれなら迅速に対応出来るし、ダブルロックオンは二つのライブメタルと一つになっているためか、どこか不思議な安心感を覚える。

停止したベルトコンベアの床をダッシュで駆け抜け、奥にある梯子を駆け上がると、扉の向こうから爆発音と衝撃が響き渡った。

「い、今のは…!?」

『ライブメタル・モデルOの反応…恐らく彼だわ…』

「分かった…」

扉を潜ると、大型のメカニロイドの残骸が転がっており、その周囲に真紅のロックマン・モデルOが立っていた。

「ヴァン…?」

エールの声に反応した彼は振り返るが、すぐに前を向いた。

ほんの少しだったが、少年の顔を見間違えたりはしない。

「ヴァン…だよね…?」

「…………久しぶりだなエール。エリアBやエリアDで会ったけどな」

「やっぱりヴァンなんだ!生きていてくれたんだ…」

「…怪我、大丈夫か?先輩は?」

「この通り大丈夫!ジルウェも元気よ、ここの調査が終わったらアタシと一緒にガーディアンベースに行こう?ヴァン、酷い怪我してるし…」

良く見ればヴァンの状態は酷いものだった。

初めて見た時と比べてアーマーは傷だらけでヘルメットも内部のパーツが露出している。

あの日から、ヴァンへのイレギュラーの攻撃の激しさを物語っていた。

「ごめん、俺はエール達と一緒には行けない。俺がいるとみんなに迷惑がかかる」

「そんな、何で!?イレギュラーのこと?それならアタシも一緒に戦うし、ガーディアンだってアタシ達を助けてくれる。遠慮なんて…」

まさかの拒否にエールは動揺するが、何とか落ち着きを取り戻してヴァンを説得しようとする。

「そうじゃない…そうじゃ…うう…っ」

突如、苦しそうに頭を押さえて膝をつくヴァンにエールが駆け寄ろうとする。

「ヴァン!?どうし…」

「来るなっ!」

ヴァンの怒声にエールの足が止まる。

「ヴァン…」

「頼む…来るな…来ないでくれ…俺は…お前を攻撃したくないんだ…っ…くうっ!」

苦しそうに呻きながらヴァンはこの部屋から飛び出す。

その姿をエールは呆然となりながら見送るしかなかった。

「一体…ヴァンに何が起きてるの…?」

「エール、あの時、ヴァンのライブメタルから異様な力を感じた。恐らくあいつに取り憑いたライブメタルがあいつを乗っ取ろうとしているのもかもしれん」

「乗っ取るって…ライブメタルがヴァンをイレギュラーにしようってこと!?」

「モデルVと同じくらい危険な力だ…彼をガーディアンベースに連れていこう。助けられるかは分からないけれど、あのままでいいはずがない」

モデルZの言葉にエールは目を見開き、モデルXはガーディアンベースに連れていくべきだと判断する。

「そうだよね、今度はアタシがヴァンを助けるんだから!」

エールも部屋を飛び出し、ヴァンを追い掛ける。

次の扉を潜ると、幾つもの光球が施設内を巡っていた。

「何これ…光の球が施設内を巡ってる…?」

不思議そうにエールが足を止めて光球を見つめていると、プレリーからの通信が入った。

『この反応は…まさかサイバーエルフ?』

「サイバーエルフ?何なのそれ?」

聞いたこともない単語にエールは疑問符を浮かべる。

『プログラム生命体と呼ばれる電子で出来た妖精よ。でも、どうやってこんな大量に…?もしかして、ここの施設は…このサイバーエルフ達からエネルギーを作り出しているのかもしれない…!』

「それがこの施設の秘密ってわけね」

『酷い…!サイバーエルフだって命を持った生き物なのに…!エール…お願い!この施設を止めて…!」

命を道具のように扱うセルパンにプレリーは怒りを覚え、エールに施設を止めるように頼む。

「勿論、これ以上セルパンの好きにはさせないんだから!」

奥にある穴に飛び込み、下に降りていくと砲台がこちらに砲弾を撃ってくる。

バスターで砲台の砲門の位置をずらしてこちらに当たらないようにする。

梯子を登るエリアでは時にはそれを利用してメカニロイドを破壊し、上へと登っていく。

「あれは…」

「どうやらこの施設の動力炉のようだな」

エールの視界に入ったのは人間の心臓のような形状をした動力炉だ。

「なら、あれを壊せば!」

チャージを終えたバスターを動力炉に向けて、チャージバスターを発射するエールだが、光弾はバリアに阻まれて掻き消されてしまう。

「効かない!?」

「やはり対策はされているようだね。仕方ない、動力炉は後回しにしよう。」

モデルXの言葉にエールは渋々ながら動力炉の破壊は諦め、足場を利用して向こう側へ移動する。

そして、奥にあるシャッターを目指す。

一方で、エールから逃走したヴァンは発電所の外に出ており、周囲を見渡していた。

「ここにいるんだろイレギュラー?早く出てこい。モデルOが騒いで仕方ないんだ」

融合しているモデルOが騒いでいるのをヴァンは表情を顰めながら言うと、上空から一体のレプリロイドが舞い降りた。

「ふん、威勢のいい小僧だ。流石はセルパン様が多少は気にかけているだけのことはある…そしてこの施設のサイバーエルフ達を見た以上、生かして帰すわけにはいかないな」

「お前もセルパンの部下だな?イレギュラーにしてはお喋りな奴じゃないか」

「なるほど…そこまで知っているのなら話は早い。だが、俺をイレギュラーのような操り人形とは一緒にしないでもらおう。俺はライブメタルの力を引き出すために作られた、謂わば疑似ロックマン…モデルHのフォルスロイド、ハイボルト。何、怯えることはない…今からお前が感じるものは…一瞬の閃光と…永遠の死だけなのだからな!」

バーニアを噴かしてヴァンに襲い掛かるハイボルト。

「怯える?寧ろ逆だよ。モデルOがお前の力を感じて騒いでる…お前を叩き潰せってなっ!」

突進をダッシュでかわしながらバスターを構えると、ハイボルトにチャージバスターを当てる。

「チィ!そのボロボロの体で良くそこまで動ける!」

「モデルOは底無しなんでね。特に強い相手にはな!」

ヴァンはセイバーを抜いて怯んだハイボルトに斬りかかり、ハイボルトも翼のセイバーで受け止める。

「てやあっ!」

即座にセイバーによる連続攻撃を仕掛けるが、ハイボルトもセイバーで捌く。

「ハアッ!」

そしてヴァンを弾き飛ばすと、追撃でセイバーによる衝撃波を連続で放つ。

バスターをチャージしながらダッシュとジャンプを駆使して衝撃波を回避しながら距離を詰める。

「喰らえ!」

「ヌウッ!」

至近距離でのチャージバスターを喰らったハイボルトはたまらず空中へ逃げる。

「叩き落としてやる!」

即座にチャージセイバーで叩き落とそうと、ダッシュジャンプで距離を詰めようとするが、ハイボルトも簡単にはやられてはくれず、バーニアを噴かしてヴァンに体当たりする。

「ぐっ!?」

不意を突かれたヴァンは弾き飛ばされるが、何とか着地して反撃の機会を狙う。

しかし次の瞬間、ハイボルトとは別の方向から攻撃を受ける。

振り返ると、ハイボルトの脚部が独立して動いており、ヴァンを狙撃していた。

「本体を潰してやる!」

「甘いな!」

即座に脚部を戻し、ヴァンの動きを阻害する。

「なら、撃ち落とす…ガッ!?」

「むっ!?」

バスターを向けた瞬間に背後から雷撃がヴァンに突き刺さる。

「ヴァン!」

外に出てきたエールが、目を見開きながらヴァンを受け止めて上空を見上げる。

「貴様…何者だ?」

ハイボルトが警戒しながらヴァンを不意討ちした敵に構える。

そこには神話に出てくる天馬を模したレプリロイドが自分達を見下ろしていた。

「おやおや、数百年の時が経っているとはいえ…私の美しい名を知らぬ者がいるとは…私の名はペガソルタ・エクレール!小娘、その破壊神の器を渡してもらおう」

エールを見下ろしながらペガソルタはヴァンを自分に渡すように言い放つ。

「破壊神の…器!?何を言ってるの!?数百年の時がどうのこうの…」

「貴様がそれを知る必要はない。さあ、早くその器をよこせ。そうすれば見逃してやらなくはないがね?」

「嫌っ!器だか何だか知らないけど、ヴァンはアタシの大事な幼なじみよっ!ヴァンを狙うって言うならアタシが相手になってやる!!」

セイバーを構えてペガソルタを睨むエールに対して、ペガソルタは呆れたように溜め息を吐く。

「ふう、愚か者はこれだから醜い。それで君はどうするかね?潔く退くか…それともここで死に、私の美しさの引き立て役となるか…」

「その小僧などどうでもいいが、この施設に現れた以上は貴様を生かしておくわけにはいかない。セルパン様のためにその命を捧げるがいい」

「セルパンか…ククク…」

「何がおかしい…!?」

「いやいや、あのような小物に忠義を誓う君の姿が滑稽でね。あの方の魂の破片をこの身に受け、私達は世界の全てを知っている…無論、セルパンとか言う小物もね…あのような臆病者があの方の魂の破片を手にしているなど、嘆かわしいよ」

ペガソルタの言葉の終わりと同時にハイボルトが突撃する。

「セルパン様の侮辱は許さん!!」

「フフフ、愚か者には愚か者が集まるようだ。」

ハイボルトが翼のセイバーで斬りかかるが、ペガソルタも両腕の電撃槍で迎え撃つ。

「っ…エール…」

「ヴァン、大丈夫?」

「ああ、あいつは…俺がモデルOに取り憑かれた場所にいた奴らの一人なんだ。何でかは分からないけど、モデルOに取り憑かれた俺はあいつらに必要らしい」

ゆっくりと立ち上がるヴァンはエールの方を向く。

顔色も明らかに悪く、限界が近いのが分かる。

「エール、俺があいつらを何とかするから、ガーディアンベースってところに帰るんだ。今のうちに早く」

「ヴァンが残るのなら絶対に嫌」

「は?」

振り返ると目に涙を溜めながらヴァンを睨むエール。

「ヴァンがいなくなってジルウェやみんながどれだけ寂しい思いをしたか分かる?アタシも辛かったんだから…!」

「エール…」

「ガーディアンはライブメタルの研究もしてるらしいから、ヴァンの体も何とか出来るかもしれない。だからヴァン、アタシと一緒にガーディアンベースに行こう。あいつらを倒して!」

エールの顔を見て、ヴァンは自分が何を言っても聞かないことを悟る。

「(…相変わらずだな、エールの奴。一度決めたら絶対に曲げないところとか)」

この胸中の言葉をジルウェやエールが聞いていたら絶対にヴァンが言えることじゃないと言われただろう。

「………あいつらが動きを止めた時にチャージバスターを撃ち込むぞ」

「ええ!」

タイミングを見計らう二人に気付かずにハイボルトとペガソルタはセイバーと槍を、そして互いの雷撃をぶつけ合う。

「ふん、多少はやるようだが…その程度では私は倒せん。まあ、特別な存在である私と貴様のような愚か者とでは隔絶とした力の差があるのだよ」

「ぐっ!貴様…」

同じ属性であるにも関わらず、ハイボルトの機動力も攻撃力もペガソルタは上回っており、徐々にハイボルトが防戦一方となる。

「足掻きたまえ、貴様のような醜い愚か者が足掻けば足掻くほど私の美しさは際立つのだから」

「ほざくなっ!」

両翼のセイバーをペガソルタを振るうが、ペガソルタも両腕の槍で受け止めた。

次の瞬間。

「今だ!」

「当たれーっ!」

ヴァンとエールのバスターから放たれたチャージバスターがハイボルトとペガソルタに迫る。

「「む!?」」

二人は咄嗟に回避行動を取るが、完全に不意を突かれたこともあり、ハイボルトは顔面に、ペガソルタは左肩に直撃を受けた。

「っ、貴様ら…」

「流石は破壊神の器、回復が早いな…だが、よくも私のボディに傷を付けてくれた…死なない程度に痛め付けてやろう」

ハイボルトとペガソルタがエールとヴァンを見下ろす。

「エール、行くぞ」

「OK、ヴァンは無理しないでね」

互いにターゲットを決め、セイバーを構えて突撃する。

「ハアッ!!」

ヴァンはチャージセイバーを叩き込もうとするが、ペガソルタは槍を交差させて受け止める。

「破壊神の器とはいえ、人間風情が私に寄るな!穢らわしい!」

弾き飛ばして槍で串刺しにしようとするが、エールが死角からペガソルタにセミチャージバスターを放って牽制する。

「小娘め…」

「余所見してたら危ないよ?」

「貴様がな!」

背後からハイボルトがセイバーでエールを斬り裂こうとするが、真上を取っていたヴァンが回転斬りを繰り出してハイボルトの背に大きな傷を付けた。

「エール!」

「OK!!」

エールが予めセイバーのチャージをしており、ヴァンの合図に合わせてチャージセイバーをハイボルトに叩き込んで地面に落とす。

「合わせてくれエール!」

「任せて!」

両者はダッシュでペガソルタを撹乱し、攻撃の狙いを定めないようにさせる。

「小賢しい真似を!」

槍の電撃を飛ばしてくるも、二人には掠りもしない。

「やあっ!」

エールがダッシュで距離を詰め、チャージバスターを直撃させると間髪入れずにヴァンがセイバーによる連続斬りを叩き込む。

「舐めるなぁっ!」

発電所の電気エネルギーを吸収し、そのエネルギーを纏って突進してくる。

「かわせっ!」

二人は瓦礫を利用して突進を回避すると、近くの貯水タンクに目を遣る。

「ヴァン!あれ!」

「使えそうだな…」

ペガソルタは電気属性なので、当然使っている部品は他のレプリロイドよりも精密な物が多い。

ショットを貯水タンクに放って破壊し、ペガソルタを水濡れにすると傷口から水が入り、ペガソルタの体がショートする。

「ぬっ!私の体が…!」

「「終わりだ!」」

二人のチャージセイバーがペガソルタを叩き斬った。

「馬鹿な…!?こんな…私が人間風情に…!ヌオオオオッ!?」

「やった!後はあいつを…」

残るはハイボルトのみのために、エールがとどめを刺そうとハイボルトの方を向いた時には…。

「いない!?」

ハイボルトの姿はどこにもなかった。

「…上だっ!」

ヴァンが上空を見上げると、エネルギーを最大まで溜めているハイボルトの姿があった。

「消えろっ!!」

二人目掛けて発射される高出力レーザー。

地面に着弾するのと同時に大爆発を起こす。

「ふー、ふー…跡形もなく消し飛んだか…予想よりもダメージを受けたが…ガーディアンとは別の勢力がいることも分かった…早くこの事をセルパン様に伝えなくては……!?」

自分の真上に影がかかり、上を見上げるとヴァンとエールがそれぞれの武器を構えていた。

「終わりだハイボルト!」

「痛っ!?」

そしてヴァンはエールの頭を踏み台にして接近し、チャージセイバーの一撃を振り下ろしてハイボルトを真っ二つにする。

「ば、馬鹿な…翼を…飛行能力を持たない貴様らが何故、俺の真上を…!?」

「痛たた…答えはこれよ」

頭を擦りながらバスターを見せるエール。

ハイボルトのレーザーが着弾する直前にチャージバスターを真下に撃って、その勢いを利用してレーザーをかわしつつ、ハイボルトの真上を取ったのだ。

「ぐっ…だが…ここのエネルギーのほとんどは…既にセルパン様の元へ送られた…後は…セルパン様が…モデルV本体を発掘するだけだ…哀れなロックマン達よ…新たな世界で…裁きの雷に打たれるがいい…!セルパン様…新たなる…新世界を…っ!」

両断されたハイボルトはセルパンの理想の実現を願いながら大爆発を起こす。

「勝った…痛たた…ちょっとヴァン!女の子の頭を踏み台にするなんて酷いじゃない!」

「…………」

「ちょっと聞いてるのヴァン!?……ヴァン!?」

反応がないことにエールは怒って近寄るが、力なく倒れてしまったヴァンに慌てて駆け寄る。

「大丈夫だ。どうやら気絶しているだけのようだ…」

「でも随分弱っているようだね、早くガーディアンベースに連れていかないと」

モデルZとモデルXの言葉に安堵すると、早くガーディアンベースへと連れていかねばとヴァンを支えながら立ち上がると、ハイボルトの残骸から一つの金属が姿を現した。

それはモデルXとモデルZに良く似た物だ。

「もしかして、あれ…ライブメタル?」

「…俺の名は風のライブメタル…モデルH。ようやく自由になれた…英雄の力を受け継ぐ者よ…礼を言おう。」

モデルHが名乗った瞬間に、モデルZとモデルXが変身を解除してモデルHの元へ向かう。

「モデルH、エールにお前の力を貸して欲しい」

「モデルVを持つセルパンの力に対抗するには、僕達も力を合わせて戦う必要があるんだ…モデルH、君も手伝ってくれないかい?」

「モデルX様のご命令ならば喜んで…しかし、その者に俺の力を貸し与えるのに相応しいのかどうか…エール…だったな?お前は何のために戦う?」

「え?」

モデルHの問いにエールはきょとんとするものの、自分が戦う理由を言う。

「それは、セルパンを倒してモデルVの復活を止めたい…そしてヴァンを狙う奴らからも助けてあげたい…」

気絶しているヴァンを見遣りながら言うエールに対して、モデルHはヴァンに僅かだけ視線を遣ると、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

「それで…争いは終わるのか?全てはモデルVの力に魅入られた、一人の男が始めたことだ。モデルVを破壊し、セルパンを止められたとして…人々が再び過ちを繰り返さないと言い切れるのか?」

「…………先のことは分からないよ。でも、アタシはセルパン達からジルウェやヴァンやプレリー達、運び屋の仲間、そしてアタシが会ってきたみんなを守りたい!今、みんなを守れるのはアタシ達しかいないんだ!何もしないで後悔なんてしたくないから!!」

その問いにエールは少しだけ言葉を詰まらせるものの、自分の気持ちをモデルHにぶつける。

「………今…か、フッ…数百年前…俺達のオリジナルが守ろうとした人間達は、偽りの平和に飼い慣らされた抜け殻のような存在だった。だが、お前とその仲間達のような者がいるのなら、俺達のオリジナルの戦いは無駄ではなかったらしい…勇気ある者よ、お前に力を貸そう。セルパンは本体である俺と力の大半とパスコードを含めたデータを二つに分けて、もう一体のフォルスロイドを作り上げた。そいつを倒せば、俺のパスコードをお前に託すことが出来るだろう」

そう言うとモデルHはエールの手に収まる。

「エール、モデルHは高い機動力を誇るライブメタルだよ。彼と僕がダブルロックオンをすれば今まで行けなかった場所にも空中(エア)ダッシュで行けるようになる。ベースに戻ったら要練習だよ」

「うん、分かった。さあ、ガーディアンベースへ戻ろっか…アタシも疲れたし…」

奥にあるトランスサーバーに向かうエールに気付かれないようにモデルHはモデルXに尋ねる。

「モデルX様…あの者は…」

モデルHの視線はヴァンに注がれていた。

「君も気付いたかい?モデルH?」

「ええ、俺に刻まれているオリジナルの過去のデータが確かならば…あの者は危険です。」

「………でも、彼自身は善人だよ。エールやジルウェを助けてくれた…僕は彼の優しさを信じたい。彼なら必ず過去の呪いを乗り越えてくれることを…僕の適合者でもあるようだから僕も彼に力を貸すつもりだよ」

「………分かりました。モデルX様がそう仰るのならば、俺も出来る限りのことはします」

「ありがとうモデルH」

「どうしたのー?早く来なよー」

モデルXとモデルHが遅いことに気付いたエールが呼ぶ。

二つのライブメタルもエールの元へ行くと、トランスサーバーでガーディアンベースに一時帰還した。 
 

 
後書き
ゼロ2のオープニングステージ要素ありです。

あれは本当に格好良いですよね 
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