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戦国異伝供書

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第八十四話 安芸家との戦その一

               第八十四話  安芸家との戦
 一条家が仲介した長曾我部家と安芸家の和睦の時が終わった、元親はその日になるとすぐに弟達と主な家臣達を集めた。
 そしてだ、彼等に高らかに告げた。
「よいな、これよりじゃ」
「はい、安芸家との和睦の時が終わりました」
「それ故にですな」
「これよりですな」
「戦をはじめますな」
「安芸家とのそれを」
「これよりな、この時が来るのを待っておった」
 まさにというのだ。
「それならな」
「はい、これよりですな」
「一領具足の者達に声をかけ」
「そして、ですな」
「あの者達を集め」
「そのうえで」
「そうじゃ、出陣じゃ」 
 そうするというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「では領内の一領具足の者達にです」
「すぐに兵を集めましょう」
「そしてです」
「戦をしましょう」
「そうする、五千の兵を以てな」
 長曾我部家の全軍と言っていい。
「そしてな」
「安芸家の領地に兵を進める」
「土佐の東に」
「そうしますな」
「わしも出陣する」
 元親はこのことは何でもない様に述べた。
「よいな」
「殿もですな」
「殿も出陣され」
「ご自身が采配を執られる」
「そうされますな」
「そうする、既に安芸家の領地の地図は手に入れてな」
 そしてというのだ。
「その隅から隅まで調べさせてな」
「殿もわかっておられますな」
「安芸家の領地のことも」
「既に」
「そして安芸家の兵のことも主な家臣達のことも」
 こうしたこともというのだ。
「わかっておる、それぞのれ城や砦のこともな」
「全てですな」
「わかっているので」
「それで、ですな」
「これよりですな」
「戦じゃ、この日が来るのを待っておった」
 まさにともだ、元親は話した。
「ならばな」
「はい、これよりですな」
「兵を集め」
「そして殿自ら出陣され」
「安芸家との戦に入りますな」
「そうする、もう兵糧も用意してある」
 こちらも既にそうしていたのだ。
「何も問題はないわ」
「さて、安芸家ですが」 
 ここで本山親辰が言ってきた。
「こちらは既に万全の用意をしていますが」
「それでもじゃな」
「あちらはどうか」
「おそらくしておらぬ、我等が動いてからじゃ」
「そのことを聞いてですか」
「それからじゃ」
 元親は本山に落ち着いた顔で話した。 
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