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GATE ショッカー 彼の地にて、斯く戦えり

作者:日本男児
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第7話 オ・ンドゥルゴ基地

 
前書き
オリジナル怪人募集します!!
ショッカー怪人に限らず、ドーパントでも、ヤミーでも、ゾディアーツでも、マギアでも何でもあり!!

能力や姿などを記載の上、感想欄またはメッセージでお書きください!  

 
ある街の酒場では命からがら炎龍から生還したコダ村避難民の話で持ちきりだった。


「炎龍が撃退された!?」

「嘘だろ!?」

「魔道士やエルフだってそんなの不可能だ。本当に炎龍だったのか?新生龍や翼龍の間違いだったんじゃないのか?」

「しかし現にコダ村避難民は5分の1の犠牲で済んだんだぜ!?」


その噂話をひっそりと聞いていた四人組…ピニャ率いる隠密偵察隊も炎龍から生き延びた避難民のことを話題にした。

「黒色の服と緑色の服を着たヒト種の兵士…ピニャ殿下、どう思われますか?」

ピニャの側近の女騎士、ハミルトンがピニャに尋ねる。

「分からん、だがこうして炎龍に遭遇してコダ村の避難民が無事なのがなによりの証拠だ」

口々にコダ村避難民の話をする4人に噂を流している張本人である避難民の1人、メリザが話しかけた。


「おっ、騎士さん達、あんたらも興味あるのかい?私は目の前で見たんだ。あれは只者じゃなかったね」


「その緑の人と黒の人の話、詳しく教えてくれるか?」


ピニャは金貨を取り出して、メリザに渡す。

「ありがとうよ騎士さん。それじゃあとっときのやつを1つ」


メリザはコホンと咳払いをして話し始めた。


「コダ村から逃げる私らを助けてくれた緑の人は12人、黒の人は24人いたよ」


「ふむ、黒の人の方が多いな」


「黒の人達は途中から骸骨みたいな格好をした兵士を連れてきてね。これがまたすごい力持ちの連中で、うちの荷車がぬかるみにはまった時なんか、たった3人で助けてくれたんだよ」


「炎龍が来た時はどうだったんだ?」


肝心の炎龍が襲いかかってきた時のことをピニャが質問する。


「炎龍が現れた時もものすごい速さの荷車で助けに来てくれたよ。緑の人らは魔法の杖で攻撃を始めたんだけど炎龍には効きぁしない。そんな中、緑の人の荷車に乗ってた黒の人の頭目が荷車から飛び出してね。ついに"アレ"が出たんだよ」


「アレって?」


「長いくちばしを持った龍さ……。
炎龍と同じくらいの大きさで組み付いたり、光の玉を放ったりして炎龍と戦ってたよ。最終的には黒の人の荷車が特大の魔法の杖を向けて雷を放って炎龍の左腕を吹き飛ばしたんだ」


話は終わりメリザは酒場の女給の仕事に仕事に戻った。


「とにかくすごい人達のようです。いかがでしょう、ピニャ殿下?」


「そうだな、そんな者達が帝国内にいたとはな……驚きだ」


ピニャは杯の中の酒を飲み干して考えにふけった。




千堂のショッカー防衛軍第1小隊と伊丹達、自衛隊第3小隊は身寄りのない避難民を乗せてオ・ンドゥルゴ基地にやってきていた。基地の機密保持の為、第3小隊には避難民を基地の前に降ろしてもらい、それぞれ帰還するという形をとった。



「ようこそ、我がショッカー防衛軍オ・ンドゥルゴ基地へ」

千堂らショッカーの兵士が並んで温かく出迎える中、基地についた避難民は驚愕しっぱなしであった。

超強化素材で出来た基地、AI搭載戦車や攻撃ヘリ、電気・水道などの生活インフラなど、異世界では考えられないようなものばかりで戸惑っていた。

コダ村の避難民の中で1番の年長者であるカトー老師とその弟子の少女レレイ・ラ・レレーナも避難民達の家屋の建設工事の様子に目を奪われていた。


しかしカトー老師は見飽きたのか家屋が完成するまでの仮設テントに戻って寝てしまった。
一方、レレイはジッと工事の様子を見ていた。


そこではモグラを赤くしてそのまま大きくしたような姿の怪異が建設工事の指揮を執っていた。
ゴブリンやオークとも違う今まで見たこともないその怪異が気になり好奇心でレレイは近づく。

ある程度、その怪異に近づくと向こうの方もレレイに気づいて声をかけた。


「避難民の1人か?危ないから離れてろ、チチューン」


その怪異……モグラ獣人に注意され、仕方なくレレイはその場から離れた。そして次に注目したのは屋外にあった調理場だった。


そこでは奇妙な腕輪をした兵士の1人がミンチを捏ねてハンバーグのタネを作っていた。レレイが調理場を除き込みあれこれ質問する。


「これは何?」


「あ?ああ、獣人・アマゾン用のハンバーグだよ。ハンバーグ。」


レレイら目の前の男がハンバーグという異世界の肉料理を作っていることは分かったが『獣人』や『アマゾン』という言葉が引っかかった。


「獣人?ヴォーリアバニーやキャットピープルと違う?それにアマゾンとは?」


不思議そうな顔をするレレイに小太りの男は工事の監督を行っているモグラ獣人の方を指さす。


「アイツらみたいに動物がそのまま大きくなったのが獣人、アマゾンっていうのはいわば人工の獣人だよ


……俺みたいにね」


レレイは驚き、後ずさりする。
それを見た男はフッと微笑む。


「お嬢ちゃん、驚いてるのかい?」


「ヒトと同じ姿をしてるから……」


「俺らアマゾンは獣人と違って人間と同じ姿になることもできるからね。アマゾンとしての姿に戻ることもできるけどね……」


そう説明すると男は再びミンチを捏ね初めた。


獣人やアマゾンは例外なく人肉を常食とする。しかしショッカーとしてもさすがに人間を襲わせる訳にもいかないため、財団X傘下の企業である野座間製薬が獣人・アマゾン用に開発した人工肉が提供されている。


「アマゾンとしての姿……見てみたい」


今度は男が驚き目を見開いてレレイの方を向く。てっきりアマゾンと聞いて恐れおののいて逃げていくものと思っていたからだ。オルフェノクやロイミュードなどの他の異種族と違い、アマゾンは比較的最近になって市民権を得た存在のためショッカー世界でも未だ差別する者は少なくなく、アマゾンレジスターというアマゾンがつけている腕輪を隠すようにして着用している者も多い。

男はレレイをまじまじと見つめた。


(この子になら見せてもいいかもな…)


「……分かったよ、少し離れてな」


すると男は調理を中断し、一呼吸置いて強烈な熱風と蒸気が放つ。そしてアマゾン態、カニアマゾンに変身する。


「これがアマゾン………」


レレイはカニアマゾンをまじまじと見つめる。


「怖くないのか?」


「未知との遭遇を恐怖しては先には進めない。だから貴方のことも怖がらない」


「お嬢ちゃん、変わってるな」


そう言うとカニアマゾンは人間態に戻って調理に戻る。その時、レレイには男の口元は明らかに微笑んでいるように見えた。


(獣人、アマゾン、戦闘員、ショッカー……彼らを知るには彼らの文化や風習、種族構成を学ぶのが先決)


レレイはショッカー世界について知ろうと決意するのであった。



数時間後、レレイらは加頭に避難民達の住民登録をしてもらっていた。


「儂はカトー・エル・アルテスタン。こっちは弟子の……」

「レレイ・ラ・レレーナ」


「はい、カトー・エル・アルステンさんに……レレイ・ラ・レレーナさんね。年齢と性別、前の住所をこの紙に書いてください」


そして千堂らが救助したエルフの少女の番になった。


「私はコアンの森、ホドリューの娘、テュカ・ルナ・マルソー 165歳」


「コアンの森の……テュカ…ルナ…マルソーさんね……年齢は165……165!?」


加頭はテュカの年齢に驚く。どう見てもテュカは10代ぐらいにしか見えなかった。しかし改造人間に成ればかなり長寿になるケースは多数報告されるし、グロンギ族やオルフェノクのように不死身な種族もいるのでこの世界のエルフもその類だと思い、加頭は自分の脳を無理矢理納得させようとする。


そして加頭は年齢や性別などをカタカタとコンピュータに名前や年齢等の個人情報を打ち込む。



「それでは1人ずつ並んでこちらを覗いてください」


加頭に言われてレレイらは訝しげにコンピュータのカメラを覗きこむ。そして加頭は1人1人の顔や虹彩を撮っていった。


そしてコンピュータの側の印刷機から先程の写真付きの住民票を印刷して住民に渡す。


「すごい!精巧な絵!?」


住民達は住民票の自分の写真に驚愕する。写真を知らないのでそっくりに描かれた絵が出てきたと思っているのだ。しかしその説明はない。




「ではこの装置に手を当ててください。」


タブレット状の装置に手を当てると装置が自動的に指紋と静脈をスキャンした。しかしレレイらはさっきのカメラと同じで何をされているのか分からないまま進められることが不思議でならなかった。

そして加頭は住民にカードを配る。日本人が見たらICカードと間違えそうであるが実際にはそれより遥かに高性能である。

「これはこちらの世界で言うところの財布のような物です。このカードの中にはポイントという通貨が入っています。このポイントを使って基地内で食材などを購入できます。そして―」


加頭は基地で生活する上でのルールなどの説明をした。

そんな時、レレイは避難民の人数が1人足りないことに気づいた。


(ロウリィはどこ?)







一方、千堂は基地施設内で机の上の書類の山を1枚ずつ目を通していた。身寄りのない避難民を受け入れたことで彼らの生活に必要な物資の調達や住民登録など多くのモノが必要となったからだ。

そんな千堂の元に戦闘員がやって来る。


「千堂大尉、あの御方から司令室へ来いとの御命令です」


「あの御方?…!分かった、すぐ行く」


千堂は書類を放り出して長い廊下を急ぎ足で向かった。そして重厚感のある赤い扉を開けて司令室に入る。

司令室は薄暗く所々に設置された燭台のおかげでようやく足元のレッドカーペットが見えるくらいである。
しかし千堂は司令室の中央に移動すると壁にある地球儀を掴む鷲を象ったレリーフに向かって膝まづく。そしてレリーフの鷲の目が赤く光ってそこから威圧的で低い声が発せられる。


「よく来たな、千堂印一」


「この私めに何の御用でしょうか?親愛なる"大首領様"」


「うむ、貴様を呼んだのは他でもない。日本国に交流の為に我々の使節団を派遣することになっているのは知っているな。」



日本国派遣団。
これはショッカーと日本国が外交交渉を行っていた時に割と早い段階で決まったことである。1ヶ月後、ショッカーは日本国へ、日本国はショッカーへとそれぞれ、使節団を派遣し交流を行うこととなっていた。


「貴様には護衛武官として日本国使節団に随伴してもらいたい」


「えっ!?」


千堂は驚いた。まさか大首領様直々に指令が下るとは思っても見なかったからである。


「何か不満か?嫌と言うなら他の者に……」


「いえ、大首領様!この千堂印一、大首領様直々の御命令、確かに承りました!使節団は私の命に換えてもお守り致します!!!」


大首領は少しの沈黙をあけて言葉を続ける。


「さらに…大幹部を1人、オ・ンドゥルゴ基地に送った。今後は彼の指揮の元、行動してくれ」


すると千堂の背後からコツコツという足音と共にその大幹部は現れた。


「久しぶりだな千堂。2ヶ月前の勲章授与式以来だな」


右手に短鞭を携え、ドイツ国防軍の軍服に軍帽。威厳を感じさせる眼帯と口ひげをした男が後ろに立っていた。


「ゾル大佐!!いつこの基地に!?」


「つい昨日だ。今後は俺がこの基地の指揮を執ることとなった」


「はい、こちらこそよろしくお願いしま……」

そんな時、突然司令室のドアが乱暴に開かれて1人の少女が入ってきた。


「千堂ゥ、迷っちゃったァ。ここ広くって広くって。どう戻ったらいいのォ?」


「ロウリィ!?どうやってここに!?」


「分かんないわぁ、適当に歩いてたらここに来ちゃったぁ」


ロウリィは悪びれる様子もなく司令室内を見回しながら言う。


「その女は誰だ?千堂大尉」


「ハッ、避難民の1人です。現地の神官らしいのですが……」


「ほう貴様、名はなんという」


ゾル大佐が短鞭でロウリィを指して尋ねる。ロウリィは臆することなく答えた。


「ロウリィ・マーキュリー。戦の神エムロイの使徒。
そういうおじ様は誰かしらぁ?」


「俺の名は"バカラシン・イイノデビッチ・ゾル"。ゾル大佐で結構だ」


「ふーん、貴方といい、千堂といい、何だかヒトの魂の他に『獣』の魂も混じっているように感じるのだけれど何故かしらぁ?」


(ロウリィ!?お前…改造人間を見分けられるのか!?)


「フッ、面白い。よく分かったな。
貴様には特別に俺の正体を見せてやろう………フンッ!!!」


ゾル大佐が鞭を振り上げると辺りに白い煙が少量、立ち込め、狼の遠吠えが司令室に響き渡った。そこにいたのはゾル大佐ではなく
黄金に輝く狼の改造人間…黄金狼男の姿があった。


「これが俺の正体、ショッカーで1番の改造人間、黄金狼男だ。」


「改造……ふーん、なるほどぉ、ヒトの手で姿を変えているのねぇ」


ロウリィはくるりと千堂の方を向いて聞いた。


「千堂もおじ様みたいにもう1つの姿に変身できるのぉ?」


「ああ、できるさ」


即答した。ショッカー世界において改造人間であることはショッカーから世界中の人的資源(人民)の中でも「エリート」であると選ばれた証であり、誇るべきことだからだ。

千堂は立ち上がり両腕を交差させ怪人態に変身しようとする……その時。


「もうよい、千堂」


ショッカーレリーフが妖しく光って大首領が千堂を静止する。千堂はそれを聞いてもう1度膝まづく。


「分かりました。大首領様」


「ロウリィ・マーキュリー、貴様は我がショッカーに何を望む?何を求める?」


「別に何かを求めたりなんかしないわぁ。エムロイの神官として貴方達が何をするのか、何を成すのかを見たいだけなの」


「つまり我々が何をしようと邪魔しないということか?」


「んー、それは少し違うわねぇ。この世界のバランス、とりわけ命の尊厳や世界の理を急速に乱すようなことをしたら我が主神エムロイの名において正し、摘み取るわぁ」


ロウリィは異世界の神の一柱として特地を急速に変えてしまうような因子を排除する使命も負っている。異世界からこの世界のバランスを著しく破壊するような勢力は潰すのが彼女ら使徒の役割であった。それを聞いて大首領は少しだけ間をあけて尋ねた。


「では我々がこの世界の理に干渉しない程度なら君は関知しないのか?」


「どういうことぉ?」


「我々、ショッカーが技術・価値観を危険なレベルで持ち込まなければ我々の行動を邪魔しないのかと聞いているのだ」


「そうねぇ、それなら邪魔しないわぁ。貴方達、帝国と戦争中みたいだし…」


このやり取りを聞いてゾル大佐は内心、安心した。ロウリィの発言を聞く限り、今のところの防衛軍の戦力は改造人間なども含めて彼女の中の『危険なレベル』に当てはまらないようであったからだ。
これなら世界統治委員会で決定した特地の征服も容易に行える。
最悪、ショッカーが帝国を併呑することにロウリィが反対したとしても帝国を属国化して異世界征服を肩代りさせるなど方法はいくらでもある。
こうしてロウリィとショッカーの間である程度の不干渉が約束された。



一方、夜も更け避難民達は完成したコンテナハウスの中で今後の生活について話し合っていた。


「彼らには何から何まで世話になってしまっておるな……じゃがせめて生活費ぐらいは自立したい。しかし、年寄りと子供と怪我人ばかりではなぁ……」


「彼らに仕事があるか聞くのは?」


ため息をつくカトー師匠にレレイが提案する。


「そうじゃな。見たところ丘の周りには翼竜の死骸が転がっておる。翼竜の鱗は高値がつくからあれをどうにか……」


翌日、カトー老師とレレイは千堂に翼竜の鱗を貰えないかと聞いた。


「いいですよ、皆さんの自立に役立つのなら幾らでも……」


正直にいってショッカーは竜の死骸に頭を悩ませていた。鱗や肉片を2,3枚程、研究用に採った後は射撃訓練ぐらいにしか使っていなかったので避難民がそれをどうしようと構わなかった。

早速、避難民達は多数の竜の死骸から鱗を剥がし、血や泥を洗い流してきれいに磨く。

翼竜の鱗は1枚につき銀貨30枚〜70枚で取引される。銀貨5枚で1日暮らせるこの世界でコダ村避難民達はものの数日で大金持ちになったわけである。


「鱗200枚、爪が300本、換金するならちゃんとした大店に任せたい」


「まだ鱗は山程あるからのぅ、おおそうじゃ!テッサリナ街道の先にあるイタリカに旧い友人の店がある。ショッカーの兵に運んでもらおう」






ショッカー世界 ゲドン州 アマゾン川流域


「なっ…何なんだよ!?アイツら!?」


男は密林の木々をかき分け全力で走っていた。男はアンチショッカー同盟アマゾン支部のメンバーだった。今日もいつものように密林の中の小屋を装った武器製造工場の監督をしていた……はずだった。
正午過ぎに突然、黒いジャケットを着た奴らが入ってきて次々と部下を殺していった。恐らくショッカーの刺客だろう。
男は刺客達が工場に入って来たのとほぼ同時に外に逃げることが出来たのでなんとか難を逃れた。


(どうしよう!?どこに逃げれば……)




そんな彼の後ろ姿を工場側の崖から見下ろす者が1人いた。その人物はM24のスコープで男の後頭部に照準を合わせる。


「ゲーム・オーバー」


男はそう言い放つとスコープに映る男めがけて引き金を引く。
彼は7.62ミリ弾に頭を撃ち抜かれて永遠に意識を失った。




「任務終了だ。全員集まれ」


リーダー格の青年……大道克己が連絡すると他のメンバーに連絡すると赤いパイピングの入った黒いジャケットを着た5人の男女が1箇所に集まる。


彼らは「NEVER」
大道克己をリーダーとしたショッカー防衛軍の特殊部隊である。
メンバーの殆どが犯罪者である上に忠誠心の欠片もない者ばかりなので普段は地図にも載っていない極秘収容所に閉じ込められている。
しかし、戦力としては申し分ないどころか怪物レベルであり、彼らの戦力は防衛陸軍の機甲師団20個と量産型キングダーク3体に相当すると言われている。

今回の任務は不穏分子の銃器製造工場を襲撃し、工場の人間を殲滅することである。


大道克己は飛電ライズフォンを取り出して"とある男"に電話をかける。ジョン・ドゥと克己が呼んでいるその男はいつもNEVERに電話を通じて指令を送ってくる。そしてNEVERはその指令通りに任務をこなすという形を取っていた。これにより防衛軍所属の特殊部隊でありながら独自の指揮系統を保っていた。


「ジョン・ドゥか……任務は完了したぞ。今から帰還する」


『そうかぁ、そんな中悪いけど君らにはこのまま新たな戦場に向かってもらうよ。戦争好きの君らにはピッタリな仕事だ』



「全く人使いが荒いな。で?次は誰だ?また不穏分子か?それともミラーモンスターか?」



電話の向こうで男はヤレヤレと言った口調で否定する。


『死体の君らの人使いなんか気にしても無駄だろ?それに次の敵は不穏分子でも野良ミラーモンスターでもないぞ。勿論、野良ワームでもない』


「ん?じゃあどこに行けと?」


いつの間にか仲間の視線が克己に集まる。どうやらミラーモンスターでもワームでもない敵と戦えというので皆、電話の内容に聞き耳を立てているようだった。


『君の行き先は大首領様に仇なす蛮族共のいる世界。つまり"異世界"だ』


「異世界?あぁ『門』の向こうか…」

幾ら大道克己といえどもショッカーと帝国が戦争状態にあることくらいは知っていた。


「でも何で俺達なんだ?聞いた話では快進撃だそうじゃないか」
 

『"想定外"のことが起きてね。NEVERには念の為に異世界に行ってもらいたい』


ショッカーにとって想定外のこと……それは炎龍である。タングステン並みの強度を誇る鱗に超高温の火炎を吐くドラゴン。
遭遇した部隊はケツァルコアトルスのメモリとレールガンで迎撃したがそれでも逃げられている。

そんな怪物を倒すには怪物をぶつけるしかない。そこでショッカーは2つの怪物を異世界に派遣することにした。
その内、1つがNEVERなのである。



「ねぇ異世界にもイケメンいるかしら?克己ちゃん似のエルフとかもう最高よネェ♡」


ヤ〇ザのような風貌でオネエ口調を話す男が隣にいるロッドを持った筋肉隆々の肉体の男に擦り付きながら自身の妄想を語り続ける。


「異世界の清らかな森の木漏れ日の人知れず湧き出る聖なる泉♡そこに克己ちゃんとワタシ♡スッゴク楽しみィ」


ニヤつきながら妄想を語りバシバシと男の腕を叩く。それにとうとう男がキレた。


「アーー!!暑苦しいし、うるせぇよ!キョォォォスイ!!頼むから黙れ!!」


「そうよ、あんた暑苦しすぎ」


傍から見ていたロングヘアーの女性も同調する。


「イイじゃないの!!じゃあアンタらは楽しみじゃないの!?」


「オメェとは違えんだよ!オカマ!」


「誰がオカマよ!レディに失礼ね!!この脳筋!!」


「何ィ!!!」


それを見かねた克己が止めに入る。

「まぁお前ら、喧嘩はそこまでにしてもう行くぞ。異世界の戦場が俺達を待ってるんだ」


「克己ちゃんがそう言うなら……」
「そうだな……ここで暴れてもな…」


克己をよそにジョン・ドゥは電話を続ける。


『後、君の母親から荷物を預かってる』


「お袋から荷物?分かった。どこで受け取ればいい?」


『武器と一緒に異世界の基地内で渡すよ。じゃあ、異世界を楽しんでね』


それだけ言うとジョン・ドゥは通話を切ってしまった。


NEVER全員はこのまま最寄りの飛行場へと移動して輸送機に乗り込んだ。



新たな戦場……もとい"地獄"を目指して。
 
 

 
後書き
オリジナル怪人のアイディアを応募してくださったユーザーの皆さん、ありがとうございます。
まだまだ募集しておりますのでお待ちしております。


次回予告

レレイらと共にイタリカに向かった千堂達。
イタリカを占領したいショッカーとさせたくない日本。両者の目的が複雑に絡み合う。
しかしイタリカは盗賊の襲撃にあっており………

次回、乞うご期待!!!
 
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