夢幻水滸伝
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第百三十話 琉球に入りその五
「肉林の方を」
「どっちのお肉もやな」
「楽しまれてそして」
そのうえでというのだ。
「学んでいくんだよ」
「まあ確かに遊びも人生の学問になるわ」
若山は織田の話をここまで聞いて述べた、三人で首里城への階段を一段一段上りながらそうしていった。
「確かに」
「ちょっと拙僧にはわからないことだけれど」
「遊びのことは」
「この世界でも起きた世界でもお寺だから」
「ああ、真面目に修行してか」
「遊びはどうも」
こちらはというのだ。
「疎くて」
「それでかいな」
「どうも」
「それはよくないね」
尾崎はそんな織田にこう言った。
「どうも」
「遊びも知らないと」
「そうそう、息抜きも出来ないし」
それにとだ、尾崎はさらに話した。
「遊びから学ぶこともないし」
「人生の学問を」
「そうだよ、だからね」
それ故にというのだ。
「月君も遊ばないと」
「駄目だね」
「宗教家なら余計に」
「宗教家は真面目一辺倒ではない」
「ほら、花和尚」
尾崎は今度は水滸伝の登場人物の中でも特に有名でかつ人気のある彼の名前を出した。
「魯智深にして」
「飲む暴れるの」
「とんでもない破戒僧だよね」
「元々そうした人だったし」
義侠心から人を殺し逃れる為に出家している、間違っても遊びで人を殺したりはしないのが魯智深のいいところである。
「そうだったね、けれど」
「それでもだよね」
「あの人は徳があるし」
「しかも最後は解脱するし」
「そうしたことを考えたら」
「遊びもだね」
「いいと思うよ」
こう織田に話すのだった。
「それもね」
「そういうものだね」
「まあこの人は極端だけれどね」
「あまり経典読んだり座禅組むイメージないしね」
「むしろお酒もお肉も楽しんで」
作中でもそうしている、この辺りも豪傑らしい。
「悪人がいたら成敗する」
「そうした人だね」
「そうだけれど」
それでもというのだ。
「最後は解脱するから」
「この人みたいに遊ぶのもよし」
「そうだと思うけどね、おいらは」
「そうしたものだね」
「そう、だからね」
「拙僧もまた」
「遊びもね」
これもというのだ。
「学んでいてもね」
「いいんだね」
「そう思うよ」
「修行や学問だけでなく」
「そうしたものは確かに大事だけれど」
「遊びもまた然り」
「本当に世の中、人を知ることになるからね」
それ故にというのだ。
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