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ヘタリア大帝国

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TURN38 獅子団その二

「私の方で成敗しておく」
「あの、長官もです」
 秋山は少し困った顔でその山下に述べた。
「もう少しご自重を」
「私は常に己を律しているつもりだ」
「ですから。確かにエイリス貴族達は不埒ですが」
「成敗するのも道理だ」
「いきなり後ろから報復テロを受けることも考えられます」
「その様なものに私は屈しない」
 山下は平良以上に正義感が強く潔癖だった。それ故の言葉である。
「容赦なくだ。我が陸軍は下賎な輩は成敗する」
「ですから。そうした貴族達はその場で成敗するのではなくです」
「どうしろというのだ」
「裁判所に任せて下さい」
 これが秋山の言うことだった。
「司法にです。各国の裁判所にです」
「そうしろというのか」
「はい、皆さん独立されているのですから」
「ううむ。しかしだ」
「しかしでも何でもです。くれぐれもご自重下さい」
 秋山は中々納得しようとしない山下にさらに言う。ここで退けば平良もまたいらぬ成敗にかかることは必定だから必死だった。
「各国にお任せしてです」
「うん、それは任せてよ」
「私達も独立したんだから」
 インドネシアとマレーシアが秋山に助け舟を出した。これまではそれを出すタイミングを見計らっていたのである。
「とにかくね。日本さん達には迷惑をかけないから」
「安心してくれていいわ」
「とりあえず陸軍さんの憲兵さん達の助けは受けさせて貰うから」
「協力お願いね」
「そうか。貴方達がそう言われるのなら」
 いいとだ。山下も折れた。
「私はいい。陸軍もな」
「うん、それじゃあね」
「そういうことでね」
 とりあえずこのことはこれで終わった。だが、だった。
 山下jはここで東郷を見てだ。こう言ったのである。
「東郷、貴様に言いたいことがある」
「デートの申し出か?やっと利古理ちゃんもその気になってくれたか」
「馬鹿を言え。マレーでも遊んでいたそうだな」
「ああ、この前のことか」
「マレーシア殿が設立された軍の女性少尉だったそうだな」
「マレーに帰ったらまたデートをしようと思っている」
「全く。何時になったらその女癖はなおるのだ」
 東郷を睨んでだ。山下はさらに言う。
「貴様の様な者が海軍長官では我が国の示しがつかん」
「おやおや、いつもながら手厳しいな」
「貴様のそうした軽薄さが我が国の威信を損なうのだ」
「別に損なってはいないと思うがね」
「貴様が気付いていないだけだ。そもそも貴様はだ」
 山下は一方的に言っていくが東郷は軽くあしらっている感じだ。平良と福原の復帰は山下の小言で幕を下ろした。
 その山下を見た後でだ。インドネシア達はこっそりと日本に尋ねた。彼等はまだ長門の艦内に残っていて休憩室で話をしていた。
 その中でだ。マレーシアは日本が煎れたお茶を飲みながら彼に言うのだった。
「山下さんって東郷さん嫌いよね」
「はい、その通りです」
 日本も隠さなかった。このことを。
「それも大嫌いです」
「やっぱり東郷さんが女好きの遊び人だから?」
「それが第一ですがそれと共にです」
「まだあるのね」
「陸軍と海軍自体がそもそも」
「あっ、それはわかるたい」
 ニュージーランドが応えた。彼も茶を飲んでいる。
「日本さんのところの海軍さんと陸軍さんは仲が悪いたい」
「昔からなのです」 
 日本は困った顔で述べる、
「我が国は二軍編成ですが」
「陸軍と海軍の」
「普通の国では陸戦隊なり海兵隊になるのですが」
 つまり海軍の一部隊になるのだ。惑星占領や憲兵等の任務を請け負う部隊はだ。
「我が国は陸軍でして」
「同格的な?」
「はい、同格です」
 日本は香港にも答える。
「そうなっています」
「何故陸軍になったのですか?」
「かなり前の帝が定められました」
 日本はマカオにも話す。
 
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