戦国異伝供書
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第八十三話 和睦の間にその六
「朝廷や幕府のな」
「しかしですか」
「そこまでじゃ」
元親が考えていることはというのだ。
「四国探題にしてもらい官位も高ければな」
「それで、ですか」
「よい」
あくまでというのだ。
「そこまでじゃ」
「左様ですか」
「うむ、それで織田殿だが」
今度は彼等のことを話した。
「この土佐でも聞いておる」
「桶狭間で今川家に勝ち」
「そしてじゃな」
「いよいよ伊勢と志摩、美濃にです」
「大きく出られるな」
「左様です」
菜々は元親に微笑んで述べた、気品があり穏やかな感じの顔立ちであり。実に整い麗しさもそこにはある。
「私が土佐に入る直前にです」
「そこまでのことになられたな」
「おそらくですが」
菜々はさらに話した。
「伊勢と志摩、美濃を手に入れられて」
「天下でも屈指の家になられるな」
「そしてそこからです」
「天下人にもか」
「なられます」
「左様じゃな、ではわしはな」
「まずは、ですか」
「土佐を一つにし」
そしてというのだ。
「そこからな」
「四国をですね」
「一つにする」
「そうされますね」
「急ぎたいが」
それでもとだ、元親は話した。
「焦ってもな」
「はい、かえってです」
「ことを仕損じるからな」
「だからですね」
「焦る気持ちを抑えてな」
そのうえでというのだ。
「ことを進めていく」
「そうされますね」
「そしてな」
「土佐を一つにされ」
「そこから四国じゃ」
その様にしていくというのだ。
「そして高知に城を築く」
「あの地に」
「確かな城をな」
「この岡豊城は」
「やはり土佐全体を治めるにも小さい」
どうにもというのだ。
「だからな」
「やがてはですか」
「高知に城を築いてじゃ」
「その城を本城とされますか」
「そこから土佐を治め」
「四国も」
「そう考えておる」
こう妻に話した。
「わしはな」
「わかりました、やはりです」
菜々も元親に述べた。
「この岡豊城ではです」
「お主もそう思うな」
「土佐全体を治めるには」
「手狭であるな」
「どうしても、今でやっとかと」
今の領地でというのだ。
「土佐の半分で」
「だからか」
「領地を治めるにはです」
「やはりそれなりの城が必要であるな」
「あまりに粗末で小さい城ですと」
どうかというと。
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