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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六十五話 冬の嵐の前その五

「オリーブオイルと大蒜があれば」
「そうそう、その二つはね」
「欠かせないよね」
「なくて作れるけれど」
 それでもだ。
「あるとね」
「味が全く変わってくるのよね」
「この二つでね」
「パスタって味が段違いによくなるわね」
「ナポリタンでも」
 普通の洋食屋さんでは入れないけれどだ。
「そうなんだよね」
「そうよね」
「まあ大蒜はね」
「日本だとね」
「嫌いな人いるから、ただ」
 僕はハヤシライスを食べながら話した。
「ここであえてね」
「あえて?」
「大蒜嫌いな人にね」
「大蒜使ったお料理出すの」
「それもその人が好きな食材使ったお料理ね」
「それは底意地悪いわね」
「そうしたことを考えて」
 そうしてだ。
「する人いるんだ」
「物凄い底意地の悪さね」
「例えば鯖が大好きなのに」
「大蒜が嫌いだと」
「大蒜を使った鯖料理をね」
 まさにそれをだ。
「作ってね」
「出したりするのね」
「そんな人いるから」
「徹底した底意地の悪さね」
「嫌いな相手にはね」
「そこまでする人いるのね」
「そして家から追い出すとか」
 そこまで狙ってだ。
「やる人がいるから」
「そうした人いるの」
「同時に親戚中にあることないこと、ないことふんだんに盛り込んで」
 そのうえでだ。
「言い回ってね」
「評判落とすのね」
「それで親戚の何処にもいられなくするとか」
「食べものだけじゃなくて」
「そんな人いるから」
「陰湿ね」
「そうだよね」
 僕も思うことだ。
「世の中陰湿な人もいるけれど」
「そこまで陰湿な人もなのね」
「いるんだ」
「そうなのね」
「こうした人と何かあったら」
 その場合はだ。
「嫌だよ」
「何するかわからないから」
「こうした人は顔に出るタイプならいいけれど」
 嫌悪のその感情がだ、幾ら陰湿でも表情に出るタイプはまだいい。こっちも警戒して対応も可能だからだ。
 けれどだ、それでもだ。
「それでもね」
「お顔に出ないなら」
「もうね」
 それこそだ。
「こんな嫌なことはないよ」
「裏で色々されるから」
「うん、こうしたタイプには気をつけないとね」
「本当にそうね、ただね」
「ただ?」
「今お話に鯖出たわね」
 詩織さんは海老フライの尻尾の部分をお皿の端にやりつつ話した、流石にそれまでは食べないらしい。 
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