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GATE ショッカー 彼の地にて、斯く戦えり

作者:日本男児
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第5話 VS炎龍

 
前書き
オリジナル怪人募集します!!
ショッカー怪人に限らず、獣人でも、ドーパントでも、ロイミュードでも、アナザーライダーでも何でもあり!!

能力や姿などを記載の上、感想欄またはメッセージでお書きください! 

 
コダ村に到着した伊丹の第3偵察隊と千堂の第1偵察隊は早速、村長にエルフの村を焼き払った赤いドラゴンのことを知らせた。

「なんじゃと!全滅したのか!?」

「はい、我々が駆けつけた時には既にこの赤いドラゴンに………。」

そう言って千堂は森を焼き払っている炎龍の写真を村長に見せた。

「こっ、これは古代龍!?それも炎龍じゃ!?」

「よく知らせてくれた。感謝するぞ!
おい、村中にふれてまわれ!隣の村にも使いを出すのじゃ!」

ここで千堂は村長を救助したエルフの少女の元へ連れて行き、彼女と出会った経緯を話した。

「痛ましい限りじゃ……この娘1人残して全滅してしまったのじゃな。」

「この村でこの娘の保護を……。」
 
「習慣が違うでな、エルフの村に頼め。それに儂らは逃げねばならん。」

「村を捨てるのですか?」

「そうじゃ、エルフやヒトの味を覚えた炎龍はまた村や町を襲うのじゃよ。」

そう言うと村長は他の村人と一緒に荷車に荷物を載せ始めた。



それを見た千堂と伊丹はコダ村の住民を安全な場所まで護送することを決めたが、今の人員だけでは足りないということに気づき、増援を呼ぶことが提案されたが………。

「増援を要請したいのですが……今、自衛隊基地が増援を許可してくれるかどうか……。」

「やはり、そうですか……我々もダメ元でオ・ンドゥルゴの基地にさらなる増援を頼みます。」



数分後、部下の1人が装甲機動車から降りて報告にやって来た。

「小隊長!本部から少数ではありますが戦闘員の増援を取り付けました。」

「やったな!それも戦闘員か!
頼もしい限りだ!!」

伊丹は戦闘員という言葉が気になり、千堂に尋ねる。


「戦闘員?兵士とは違うのですか?」


伊丹達、自衛隊員にとって戦闘員とは軍人と同義語であり、違いがわからなかったのだ。事実、日本世界の戦時国際条約である「ハーグ陸戦規約」や「ジュネーブ条約」にも『「正規軍の構成員」は無条件に戦闘員とする』とある。
ショッカー世界にこれらの条約があるかは伊丹は知らないが、防衛軍という正規軍がある以上、兵士と戦闘員は同じものを指すはずと考えていた。

「我らがショッカーにおいて戦闘員と兵士は全くの別物です。戦闘員とは簡易型改造人間の兵種の1つで文字通り戦闘のエキスパート集団です。作戦遂行の補佐、威力偵察などその役割は多岐に渡ります。それに対して兵士はその殆どが非改造人間。つまり一般人が大部分です。」

「簡易型…改造人間?」

「はい、戦闘員はその性質上、過酷な任務に着くことが多いです。ショッカー創設期に生み出された戦闘員は強化された兵士達でしたが世界を統一した後の戦闘員達は隊長クラスを除きクローン技術で培養された人造の兵士ですね。」

(クローン技術による人間の創生か。
倫理観が俺達の世界と違うのか。)

(それにしても戦闘のエキスパートでショッカー世界の人造兵士……か。
きっと屈強そうな見た目をしてるんだろうな。)



そして1時間後、1台の装甲機動車に乗ってやって来たのは――。




「「「イッーー!!!」」」

骸骨風の模様が入った黒タイツを着用した10人程の一団が千堂にショッカー式敬礼をしている。

「千堂大尉、失礼ですが彼らがあなたの仰っていた戦闘員なのですか?」

「はい、そうですが……。」

自衛官達は呆気に取られていた、というのも戦闘のエキスパートと聞いてターミ○ーター風のサングラス男やラ○ボー風の巨漢を想像していたからだ。
こんな子供向け番組に出てくる悪の組織の下っ端みたいな格好をした集団が来るとは思わなかったし、それ以前に役に立つとは思えなかった。


「戦闘員第205小隊、到着しました。」

骸骨戦闘員のうち1人が前に出て千堂に報告する。

「よし、貴官の戦闘員番号と名前、
階級を教えてくれ。」

「ハッ!No.842576、イワン。
階級は軍曹であります。」

「イワン軍曹だな。君ら戦闘員第205小隊にはコダ村の避難民の避難支援を頼む。何かあったら我々に報告するように。」

するとイワン軍曹含めた戦闘員達は姿勢を整えてショッカー式敬礼をした。

「「「イッー!!」」」

そして戦闘員達は村人達の馬車への荷物の積み込みや交通整理などを始めた。
 


伊丹ら自衛官達も戦闘員らと共に荷物の積み込みなどを行っているが戦闘員達が散らばり、住民の避難を手伝っているというとてつもなく奇妙な光景のシュールさに正直、引いていた。その空気を察した千堂は戦闘員達の印象を少しでも変えるべく伊丹に話しかける。

「伊丹2等陸尉、ああ見えても彼らは頼りになりますよ。なんたって常人の10倍の力を持った改造人間なのですから。」

「は?常人の10倍?」

「そうです。10倍です。証明してみせましょう……君、ちょっとこっち来て。」


千堂は馬車への荷物の積み込みが一段落ついた戦闘員の1人を呼んだ。
そして目の前にあった大きめの岩を指差して言った。

「あの岩を砕いてくれるかな?」

「イッー!!」

戦闘員は敬礼をして、岩の前に立つ。

「本当にあの岩を割るのですか!?
どう考えても無理でしょう!!」

「まぁ、見ていてください。」


戦闘員は岩の前で深呼吸すると手刀を造って

「イッーーー!!」

奇声を上げて腕を振り落として文字通り、岩を真っ二つに割った。

「そんな…こんなことが……。」

伊丹ら自衛官は目の前で起きたことが信じられずに狼狽する。

「これで分かったでしょう。戦闘員も立派な戦士であり、決して舐めてかかってはいけないということを。」

「そうですね…彼が味方で頼もしい限りです………。」

伊丹達は戦闘員という存在を畏怖し始め、同時に彼らショッカーと共闘していることに安心感を覚えた。もし、敵対していたらと考えるとゾッとした。



コダ村の人々を護送してから既に3日が経過した。その日、エルフの少女が目を覚ました。

「黒川、どうだ?少女の様子は?」

伊丹は医官でもある黒川にエルフの少女の様子を聞いた。

「伊丹2等陸尉…血圧は安定していますし、意識も回復しつつありますわ。今も薄っすらと開眼しています。」

「それにしてもまいりましたね。
遅々として進まない避難民の列、次々と
湧き起こる問題。増えていく一方の傷病者と落伍者、おまけにこの前の雨で道路状況も最悪。
逃避行というものがここまでツラいものだとは………。」

助手席にいた千堂が後方の避難民の馬車の隊列を見て呻くように呟く。
避難民達は皆、極度の暑さと疲労で勢いがなくなっていた。



―とある馬車では荷車の車輪がぬかるみにはまって動けなくなっていた。

「メリザ、行くぞ!それっ!」

ハイヤッと手綱を引くが馬は動かない。

「こんな所で動けなくなったら野垂れ死にしちまうよ。だ、誰か!手を貸しておくれ!!」

しかし皆、自分のことで精一杯であり、誰も助けに行かない。

(神様なんて在るだけで誰も救われない―誰か助けて、誰か。)


「はまっているだけだ!押すぞ!」

イワンが戦闘員を2,3人引き連れて、後ろから荷車を押す。

急なことでその馬車に乗っていた一家は呆気にとられる。


「もっと気合を入れろー!!!」

「「「イッーー!!!」」」

やがて荷車はぬかるんだ道から抜け出した。

「次の馬車のところに行くぞ!」

「あんた達!ありがとう!」

それを聞いた戦闘員の1人はショッカー式敬礼をして行ってしまった。


「…誰だい?あの人らは?」
「さぁ、どこの兵隊だろうね。」  
「ホラ、炎龍が出たって村に伝えに来た妙な黒服の方の仲間さ。異国の人らしいが人が良すぎやせんかね。」




避難民の隊列は先頭に千堂と伊丹が乗った自衛隊の装甲機動車、避難民らの馬車、そして最も後方にイワンら戦闘員の装甲車と続いていた。


先頭車に乗っていた伊丹がチラリとバックミラーを見る。
そこには荷台から不思議そうにバックミラーを覗き込む少年が映っていた。
荷台では負傷者や妊婦、子供といった逃避行の際に足手まといとなるような人を乗せていた。

また、千堂は双眼鏡で前方を見る。

「伊丹2等陸尉、前方にカラスかな?やけに黒い鳥が飛び交ってますね。」

「そうですね、おっ!?何だ?あれ?」

「何だ!?あの少女は!?」

千堂が覗いた先にはフリルのついた黒服を着た少女がいた。格好はどことなく西洋人形を思わせ、外見に似合わず大きな黒光りする斧を持っていた。

「ちょっと何をしているのか聞いて来ますね。」

千堂は車から降りて、その少女に話しかけようと近づいた。

「ねぇ、貴方達は何処からいらして、どちらに行かれるのかしらぁ?」

先に話しかけたのは少女の方だった。

「我々はショッカー 防衛軍と日本国陸上自衛隊の共同偵察隊、炎龍からコダ村の避難民を安全な場所まで護送している途中です。
貴方こそ誰ですか?」

「へぇー、噂の異世界の軍隊ねぇ。
私はロウリィ・マーキュリー。
暗黒の神、エムロイの使徒。」 

「エムロイ?この世界の神か?」

千堂の答えが返ってくる前にロウリィの姿を見た子供達が車を降りてロウリィの方へと群がる。

「神官様だ!」
「エムロイの使徒様だ!」


「ふーん、嫌々連れて行かれるって訳じゃな刺そうねぇ。」

子供達の様子を見て、そう呟くとロウリィはさっきまで千堂の乗っていた自衛隊の装甲機動車に近づく。

「コレどうやって動いてるのかしらぁ?」

「分かんない。僕も知りたいけど黒い服の人達以外、言葉通じないし。でも乗り心地は荷車よりずっといいよ。」

「へぇ〜、乗り心地良いのぉ〜。私も感じていたいわぁ〜。これの乗・り・ご・こ・ち。」

そう言うとロウリィは千堂の座っていた助手席に座ろうとする。

「ちょっと待て。そこは俺の席だ。
それにその車は負傷者や子供を優先に…」

「いいじゃない、1人くらい〜。あなたの座るっていうこの席は開けといてあげるからぁ。」

千堂が注意するも、ロウリィは強引に乗り込んだ。

「おいおい待て待て!小銃に触るな!」

「こんなでっかい斧を持ち込むなー!」

使徒 ロウリィを乗せた装甲機動車はひと悶着ありながらも出発した。



ギラギラと照りつける太陽と雨でぬかるんだ地面が避難民達の体力を少しずつ削り取っていく。

「おかーちゃん、のど乾いたよー。」

(ああ……せめて息子だけでも……あの「緑の人」か「漆黒の人」に………。)


そんな中、避難民達の頭上に大きな影が過ぎ去る。
炎龍の登場だった。
炎龍は避難民に襲いかかる。


「伊丹2等陸尉!千堂大尉!
赤いドラゴン…炎龍出現!!隊列後方が襲われてます!」

「「戦闘用意っ!!」」

伊丹と千堂の下した指示で即座に第3偵察隊と第1偵察隊(戦闘員含む)が瞬時に戦闘態勢に移行した。



先に駆けつけたのは自衛隊の方だった。彼らは炎龍に向けて射撃を開始するが幾ら撃っても炎龍の強靭な鱗に弾丸は弾かれてしまう。
自衛隊は炎龍の火炎攻撃を何とか回避するのが精一杯だった。

(このままじゃ避難民もろとも全滅してしまう!!どうすれば……!!) 

その時、千堂は車窓からとある親子の姿が見えた。倒れて動かなくなった母親を子供が泣き叫びながら、迫る炎龍から逃げる為、懸命に母親の手を引っ張っていたのだ。

それを見た瞬間、千堂の脳裏にとある光景がフラッシュバックした。


―――――――――――――――――――――――――――――――

真っ白の隔離病室のベッドの上で隣り合った2人の男女がもがき苦しんでいた。男女はそれなりに若く、さらに男女の身体のあちこちには植物のツタが絡みついていた。

隔離病室の透明ガラスの向こう側では幼い少年と初老の老夫婦が悲しげに男女を見つめていた。

すると突然、2人は苦しみの余りうめき声を上げ、胸を押さえてシーツの中でもがいた。

「お父さん!お母さん!」

少年は窓ガラスを叩いて叫ぶ。しかし、それも虚しく2人の動きは徐々に弱々しくなっていき、やがて動かなくなった。そしてほぼ同時に2人の心電図モニターが「ピー」という音と共に心停止を告げる。

やがて防護服を着た2人組の男達が男女の脈と瞳孔の反射具合を調べる。

「21時32分……ご臨終です。」

それを聞いた老夫婦は泣き崩れ、少年は窓ガラスをさらに力いっぱい叩き続けて泣き叫んだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――

千堂は頭を押さえてうずくまっていたがすぐに顔を上げる。そして避難民を救う為に"とあること"を決意する。

(彼らを救うにはこれしかない!)

「伊丹2等陸尉!後は頼みます!!」

「あっ……ちょっと待っ…。」

千堂は自衛隊の軽装甲機動車のドアを開け広げると車の外へと勢いよく飛び出した。
そして地面に転がるようにして着地すると体内ナノマシンを通じて加頭の乗っている装甲機動車に無線を送る。

「加頭!!切り札だ!オーちゃんをトカゲ(炎龍)の方に放て!!!」

「え!?マジですか!?
それに切り札ですよ!?もう使ってしまうんですか!?」

「いいから早くしろ!!!!」

「わ、わわ、分かりました!」

加頭は鳥籠の鍵を解錠して扉を開け広げる。

「イッテキマス!イッテキマス!」

オーちゃんは鳥籠を抜け出して翼を広げると装甲車の車窓から炎龍の方へと強く羽ばたいた。


オーちゃんが飛び立ったのを確認した千堂は軍服の内ポケットから、翼のついた金色のガイアメモリを取り出してメモリ側面のスイッチを押して起動する。

「ケツァルコアトルス!」


「よし、いくぞ!!全員、オウムから離れろ!!」

そう叫ぶとメモリを飛び立ったオーちゃんに向けてダーツのように投げた。

するとオーちゃんにメモリが突き刺さって吸収されると光に包まれ急速に巨大化したのだった。

そこにはオーちゃんと名付けられていたあの可愛らしいオウムの姿はなかった。
そこにいたのは3つに分かれるくちばしを持った翼長12メートル程の大きさを誇る禍々しい姿をした巨大な翼竜だった。
 

「キャァァァーーーー!!!!」
「何ですか!?あれは!?」


「落ち着いてください!あれは先程、我々が放ったオーちゃんです!」

パニクる自衛官達を鎮めようと無線機の向こう側から加頭は必死に説明する。


「あれこそがオーちゃんのもう1つの姿!天空の支配者!ケツァルコアトルス・ドーパントです!!」

「ド、ドーパント!?」

「我々、ショッカーが炎龍と戦いますので自衛隊の皆さんは住民の避難誘導をお願いします。」

「りょ、了解しました!!」

自衛隊は避難民の方へと装甲機動車を走らせ避難誘導を開始した。



ケツァルコアトルス・ドーパントは空中で羽ばたきながら静止すると甲高い咆哮を上げて炎龍を威嚇する。

そして全身から高威力のエネルギー弾を放ち、炎龍を翻弄する。


「加頭、イワン軍曹、それぞれの装甲機動車を炎龍を取り囲むようにして走らせろ。そして、イワン軍曹!俺の合図で車両上部のレールガンを撃て!!」

「「了解!!」」

ケツァルコアトルス・ドーパントは自慢の鉤爪で炎龍の翼を鷲掴みにすると力づくで押し倒して引きずりまわす。
炎龍はこれに対し、火炎(ブレス)を吐いて抵抗しようとするが、ケツァルコアトルス・ドーパントはそれを察して、自身のくちばしで炎龍の口を塞ぎ、火炎を吐けなくした。


「イワン軍曹!今だ!レールガン!!」


イワンは装甲車に搭載されていた小型レールガンの照準を炎龍の腹部に合わせた。


「食らえ!トカゲ野郎!!」


レールガンの銃口から出たまばゆい稲光色の砲弾が超高速で炎龍の腹部めがけて進む。

しかし、炎龍がとっさにもがき、ケツァルコアトルス・ドーパントを振り払ったので砲弾は炎龍の腹部ではなく、左腕に直撃し爆発した。 

「グゥゥゥォォォーーーンンン!!!」

炎龍の左腕が胴体から引きちぎれ、あまりの苦痛に咆哮を上げる。

そして左腕を失った傷だらけの炎龍は千堂達とケツァルコアトルス・ドーパントを睨みつけると空高く舞い上がり、飛び去った。


ケツァルコアトルス・ドーパントは追撃しようとするが千堂が静止する。

「終わったんだ…。追撃する必要はないぞ。元の姿に戻るといい。」

ケツァルコアトルス・ドーパントは千堂の方を向くと渋々、変身解除してオーちゃんの姿に戻った。オーちゃんから排出されたメモリは千堂の方に飛んでいき、千堂の手の中に収まった。

「タダイマ!タダイマ!
ドラゴン、ヤッツケタ!ヤッツケタ!」

オーちゃんは千堂の腕にとまって報告をする。

「うん、お帰り。よくやったね。」

千堂はニッコリと微笑んだ。



自衛隊は終始、ショッカーの戦い方に驚きっぱなしだった。

「伊丹隊長、これ…どう報告したらいいんすか?」

「さぁな、俺も分からん。」


炎龍を退治する際に犠牲になった村人が数十名出てしまった。そこで防衛軍と自衛隊は協力して墓地を作り、黙祷を捧げた。


「村長、身寄りを亡くした子供や怪我人、年寄りはどうするんですか?」

「神に委ねる……。」

千堂と伊丹は黙って聞いていた。

「薄情に思うじゃろうが儂らは自分の世話で精一杯なのじゃ。理解しておくれ。そなた達には感謝しておる。もう、護衛は必要ないよ。」

そう言うと村長達、避難民は子供や怪我人、老人を残して行ってしまった。

(さて、どうしたものか………。)

本来ならばコダ村避難民の護衛はこの時点で終了した訳だが、残された者達をどうするかという問題が出てきた。
彼らを助けるために基地で避難民の受け入れをしてあげたいところだが、ショッカーに彼らを助ける義理はない。下手したら自分や部下が「反逆罪」で粛清される危険すらあった。




その時、今後の対応を思案する千堂の側に残された子供の1人が近づいて来た。そしてか細い声で―。

「僕達、置いて行かれたの?これからどうなるの?」

千堂はそれを聞いた途端、かつての自分とその子供が重なって見えた。そして目を見開き、その子供と目線を合わせる為に膝まずいた。

「大丈夫だよ、安心して。
何とかする。あそこのお姉さんの所で待っててくれるかな?」 

そう言うと、防衛軍の女性兵士の所を指差して子供がそこに行ったのを確認すると体内ナノマシンを通じて"とある有力者"に連絡をとる。

「〇〇様ですか?突然で申し訳ございません。炎龍からのコダ村避難民の受け入れを許可していただきたいのです。はい、はい、…………!!!ありがとうございます!!!では、またいつか!!」

そしてもう1人の有力者とも連絡を取る。

「◎◎様、お久しぶりです。単刀直入に頼みます。コダ村避難民をオ・ンドゥルゴ基地で受け入れて挙げられないでしょうか?すでにご友人の〇〇様の許可は頂いております。後は貴方の許可さえあれば…はい………!!ありがとうございます!!」


伊丹は千堂が誰に連絡をとっているのか、何をしようとしているのか分からず困惑する。
そんな伊丹に連絡を終えた千堂が話し始めた。

「伊丹2等陸尉、残された避難民は我々が受け入れます。」

「えっ!?オ・ンドゥルゴの基地が許可したのですか!?」

「いえ、基地の許可はとってません。
伊丹2等陸尉、基地は彼らを決して受け入れようとしないでしょう。しかし、私にはどうしても残された彼らを放っておくことができません。なので基地より上の権限を持つ方々に頼み込んで許可をたった今、とってきました。」


(いち地方基地より上の権限を持つ方ってどんな人だよ!?政治家か?いや国務大臣とかか!?いずれにせよ、千堂大尉はどんなコネクション持ってんだよ!)

伊丹は心の中で千堂に容赦なくツッコむ。

「とりあえずオ・ンドゥルゴの我々の基地に向かいましょう。」

「そ……そうですね。」

伊丹は千堂らショッカーの底知れぬ力と未だ完全に明らかになっていない科学力、そして千堂個人のコネクションなどに若干、引きながら返事をした。


そうして千堂達は装甲機動車に避難民達を乗せて、ゆっくりと帰投した。


 
 

 
後書き
どうでしたでしょうか?
主人公 千堂の過去が少しだけ明らかになりました。
また、千堂が連絡していた御方、誰でしょうねー?
後々、登場させます。 

次回予告
ショッカーとの接触を日本国が公表したことで
米中露などの諸外国は様々な反応を示す。
各国はどんな行動を取るのか!?!?

次回、乞うご期待!!! 
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