DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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飛ばされてから…
<ダーマ神殿>
「さて…みんな自己紹介も終わったし、まだティミーには聞きたい事があるのだが…」
「何ですか?」
自己紹介も終わり和気藹々と雑談を始めた所で、リュカがハツキを引き寄せティミーに質問をする。
「これ!『星降る腕輪』は、僕の机にあった物だよね!?ティミー達が本に吸い込まれた時に、一緒に吸い込まれたんだよね?」
ハツキの腕に装備された『星降る腕輪』を指差しながら、リュカがティミー達に腕輪の経緯を訪ねる。
「はい。穴が空いた瞬間、一番最初に吸い込まれましたから…それがどうかしましたか?」
「…と言う事は、ティミー達はこの世界へ数日前には来ていたんだよね?今まで何してたの?………は!まさか…僕の愛しの奥さんに手を出しちゃったりした?」
「………命が惜しいのでそう言う事は致しません!父さんと一緒にしないで下さい!」
ティミーはリュカの言葉に疲れ切った表情で返答する。
「じゃぁまさか、妹フェチだか「怒りますよ!」
自分の事をからかう父に激怒するティミー。
「今まで怒って無かったのかよ………じゃぁ何してたのさ!?嫁さん捜しか?」
「父さんを探してたんですよ…何処にいるのか分からないし、此処が何処なのかも分からなかったですからね!」
こんな状況で嫁さんを捜せるのはリュカぐらいであろう…
「何だ!?モンスター蔓延る危険地帯を、3人で当てもなく彷徨ってたのか!?」
「いえ…さすがにそれは……母さんだけならともかく、マリーを連れて危険な場所へは赴けませんから…母さんとマリーは此処で待機してもらってました。父さんが現れるかもしれませんでしたから…」
ティミーはこの世界に来てからの数日間を語り出す。
吸い込まれる際に足掻いた為か、星降る腕輪とはかなりズレた場所に…つまり此処ダーマ神殿の裏手に落ちた事…
この場所がダーマ神殿であるのは理解したが、リュカ達が何処に居るのか…どちらの方角に居るのかさえ分からなかったので、此処ダーマ神殿を拠点にした事…
戦闘の出来ないマリーを連れ回す訳にはいかない為、ビアンカを残しティミーだけで付近を探索した事…
ダーマ神殿より少し北に行った所にある『ガルナの塔』を探索した事…
ティミーはそれらをゆっくり丁寧に、リュカの横やりに突っ込みを入れながら、みんなに説明していった。
「はい、質問です!」
「何でしょうかアルル」
「ティミーさんは何故『ガルナの塔』へ行ったのですか?」
「それはですね…父さんが居るかも…と思ったからです」
「ぷふー!!相変わらず無駄が多いなぁ…」
リュカが小馬鹿にした様に笑い、ティミーを指差す。
《ムカつく!1発殴ってやりたいが、絶対当たらないから尚ムカつく!》
「た、大変でしたね…でも凄いです!お一人で探索するなんて!」
「何か収穫はあったのか?可愛い嫁さん見つけたとか…」
「ぐっ…ざ、残念ながら嫁さんは見つけられませんでした!…その代わり『悟りの書』なる物を手に入れました」
「ほう!すげーなぁ、にいちゃん!そりゃ、かなりの価値があるアイテムだぜ!」
リュカファミリーから醸し出される強者のオーラに当てられて、大人しくしていたカンダタだったが、珍しいアイテムを見せられた為、思わず身を乗り出しリュカ達の会話に割り込んでしまった。
「カンダタ、お前これが何なのか知ってるのか?悟りを開く為の書物だから…エロ本か?」
「何でだ!!何で悟りを開くのにエロ本なんだ!」
「ふわぁ…さすがティミーさん…長年リュカさんの突っ込みをしてきただけはある…俺なんか足下にも及ばない…」
「ウ、ウルフ君…そう言う感心の仕方は止めてくれ…」
半泣きのティミー、憧れの眼差しのウルフ。
「だ、旦那…エロ本で悟りを開けるのは、旦那くらいなもんですぜ………その本を読み、理解し、悟りを開いた者は、このダーマ神殿で『賢者』に転職出来るんですぜ!」
「何だ『賢者』って!?」
「リュカさん…『賢者』ってのは、『僧侶』と『魔法使い』の両方の魔法を憶える事が出来る、魔法のスペシャリストの事なんだ!…な、なぁ…是非、俺に使わせてくれないか…」
ウルフがリュカ達に『悟りの書』を説明し、そして媚びる様に懇願する。
「…僕に言うなよ…僕はそんな事どうでもいいんだから…アルル達に聞いてよ!」
何時もの様に無責任に丸投げするリュカ。
それを見て呆れるティミー。
「私はウルフが賢者になる事に反対はしないわ」
パーティーリーダーのアルルが賛成すると、
「ウチは魔法に興味ないから勝手にしぃや」
とエコナも賛成。
「新参者の俺には反対する理由は何もないぜ、魔法のスペシャリストになんなボウズ!」
カンダタも賛成。
「私も賛成よ。ウルフは賢者になって、このパーティーの強さの底上げに尽力してね」
ハツキも賛成を示す…
「本当にいいのか…ハツキだって賢者には憧れてた事があったろ…」
「ふふふ…気にしないで良いのよウルフ。私ね『武闘家』に転職しようと思ってるの!」
「な、何言ってるんだハツキ!武闘家ぁ…よりによって?魔法使いなら分かるけど…」
「聞いてみんな…私はこの冒険を通じて一つ気付いた事があるの…私の魔法力は大したこと無いって!私のバギじゃ敵は倒せないし、ベホイミで命を救えないの!」
「ハツキさん、それは違うよ!君はこの男と比較して、自分の魔法力が弱いと感じて居るだけだ!この男は能力は人外なんだ!この男と比較してはいけない…もっと自分に自身を持って!」
ティミーはリュカを指差し力説する。
「わぁ…息子に酷い事言われてる気がするぅ…」
「そうじゃないんですティミーさん。リュカさんと比較したからではなく、自分の道を見つけたからなんです!」
「自分の…道…」
「はい。自分の身体能力を生かし、敵の懐に潜り込んで打撃を与える…これが私の進むべき道なんです!!」
皆、唖然としている…かける言葉が思いつかない…
「へー…まぁ、ハツキが良いって言うなら、それで良いんじゃね?」
相変わらずの無責任発言リュカ。
「じゃぁエコナ!黄金の爪をハツキにあげれば!?」
「な、何であげなきゃならんねん!これはウチの物やで!」
「だってエコナ使えないじゃん!それ武闘家用の武器でしょ!?」
「せ、せやけど…」
リュカは渋るエコナを抱き寄せて、徐にキスをする!
「…………お願いエコナ…それ頂戴」
そして耳にキスをしながら囁くリュカ!
「あっ…ふっ…ん………わ、分かった…しゃあないから…エ、エコナにあげりゅウン…」
エコナはリュカの愛撫を受け、吐息混じりで譲渡を約束する。
「リュ、リュカさん!お、奥さんの前で、そう言う事は謹んで下さい!」
アルルの激怒に不思議そうな顔をするリュカ。
「アルルちゃん、ありがとうね…でも、これがリュカなのよ…毎日こんな感じなの…」
そうは言いながらも、リュカを引き寄せ濃厚なキスをするビアンカ!
私が妻であるとの主張だ!
「………んぷはっ!それと、星降る腕輪は正式にあげるね!」
何とかビアンカから口を離してハツキに話しかけるリュカ。
「え!?良いんですか貰っちゃって!?」
「うん。僕には不要な物だから…ハツキが役立ててよ」
ハツキは嬉しそうに腕輪を撫でリュカを見つめる。
「ありがとうございます!じゃぁ…婚約腕輪として貰いますね♡」
「何でやねん!」
凄まじい勢いで突っ込むエコナ!
先程のリュカの愛撫の余韻が吹っ飛んでしまった様だ!
「良い突っ込みだなぁ………ティミーもウルフも頑張らなきゃ!」
「「何でだ!!」」
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