八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百六十四話 予感その十三
「そうですね」
「止様にはですか」
「はい、こうです」
「言われますか」
「親父は本当に力がありますから」
権力でも財力でもない、八条家はどちらも凄いけれど親父は八条家のそうした力は自分には合わないと言って使わない。ただ僕には力はあるなら正しいことなら全力で使うのもいいことだと言っている。そうでもして人を救ったり世の中の悪いところを変えたりすることもいいことだと言ってである。
「馬力と、それに頭のキレも」
「兼ね備えておられるからですか」
「ですから」
僕もこのことを知っているからだ。
「そうです」
「止様にはですね」
「言っておきます」
「そうですか」
「そして」
そのうえでだ。
「今度一緒に飲もうと」
「そうもですね」
「言います」
「わかりました、では止様にお伝えします」
「それはいいです」
畑中さんの今のお言葉には苦笑いで返した、どうして苦笑いになったのかは僕は自分の口から話した。
「恥ずかしいですから」
「だからですか」
「このことは」
「宜しいですね」
「はい、それに親父は地獄耳でもあるので」
自分で悪魔とかデビルとかのイヤーとか言っている、どの漫画からの言葉かはわかっているけれどあの漫画は面白いけれど正直僕のトラウマになっている。ヒロインのあの場面は二度と目にしたくない。
「聞こえますし」
「だからですね」
「もうです」
「お伝えしなくてもですね」
「いいです」
「わかりました、それでは」
畑中さんも頷いて応えてくれた。
「その様に」
「お願いします」
「ではです」
「これからですね」
「起こることをご覧になって下さい」
僕に静かに言ってくれた、そうしたことを話してだった。
僕は秋の終わりから冬のはじまりを迎えた、そしてその冬が僕にとっても親父にとっても大変なものになることを実感していた。
第二百六十四話 完
2019・12・15
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