戦国異伝供書
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第八十二話 本山城へその六
「柵は切り倒せ、そしてじゃ」
「敵陣の中に入り」
「そしてですな」
「後は、ですな」
「刀でじゃ」
それでというのだ。
「敵を縦横に切るのじゃ、よいな」
「わかり申した」
「ではこれより」
「攻め入りましょうぞ」
「それではな」
元親はもう命じてだ、そうしてだった。
元親が軍勢が本山家の陣に突き進む。元親の予想通り敵の攻撃は斜めへの守りは弱かった。
咄嗟にそちらに兵を向けようとするが斜めに置ける兵は限られていた。しかも。
親貞が率いる隊が正面に進むとそこに兵を向けざるを得ない、そうして斜めへの対処が遅れているその瞬間に。
元親は堀をすぐに埋めさせその先の柵を切らせた、そして。
陣の中に入った、その後は長曾我部家の軍勢は刀を抜き槍と弓矢で接近戦に弱い彼等に突っ込み切って切って切りまくった。
元親はその彼等を指揮しつつさらに命じた。
「よいか、次はじゃ」
「はい、次はですな」
「どうされますか」
「一体」
「うむ、敵の柵を内から倒し」
そしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「弥五良様の軍勢をですな」
「中に引き入れますな」
「そうしますな」
「弥五良はよい動きをしてくれた」
元親は笑みを浮かべこうも言った。
「あそこでじゃ」
「はい、我等と共に突っ込まず」
「あえて正面から攻める動きをされました」
「それがよい陽動になりました」
「実に」
「そうじゃ、だからじゃ」
それでというのだ。
「本山家の軍勢は余計に動けなくなった」
「そしてですな」
「我等も攻めることが出来た」
「それならばですな」
「我等は」
「弥五良が率いる軍勢も敵陣に入れてじゃ」
その様にしてというのだ。
「敵軍を散々に破るぞ」
「わかり申した」
「それではですな」
「これよりですな」
「弥五良様の軍勢を」
「こちらに入れるとしよう」
こう言ってだった、元親は敵陣の正面の方を攻めてそこの敵を蹴散らしてその場所を確保してだった。
柵を外し親貞が率いる軍勢を入れさせた、するとさらにだった。
長曾我部家の軍勢は攻める数を増してその勢いも増した、こうなってはだった。
「後はじゃ」
「はい、敵軍をですな」
「散々に破りますな」
「そうしますな」
「この度は」
「左様、そしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「敵を瓜生野城まで下がらせるぞ」
「わかりました」
「それではですな」
「敵を破り」
「そこからですな」
「どうするかじゃ、ここで雌雄を決するぞ」
こう言って敵をさらに攻めさせる、そして。
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