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『組長と零』

作者:零那
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『胸に抱かれ眠る』



やっぱりか...変わってないなぁ。こんなことで傷つくんよね意外と。ほんまごめん...やってしもた。

こういう感覚も普通とは違うよね。蓮やカズの処理してもらった時より、目を背けて傷つけてしまった時の方が申し訳なく思うって...。

落ち込んで肩から雪崩の様になってる体を起こそうと、組長の元へ行った。

『ほんまごめん...つい...なんかブランクあるし照れたんよ...傷つけてごめんなさい』

組長が無言で零を抱き抱えて膝に乗せた。小さい子供をあやすかのように、頭を自分の胸に引き寄せ、ガッシリと強く優しい腕に包んで、優しく頭を撫でる。

えっ何これ今の状況からしたら普通逆じゃない?コッチがなだめてあげる立場な筈やけど?

で、更に謎なんが此の止まらん涙な。ほんま昔から組長と居ったら泣き虫なる。なんなんほんま意味わからん。自分に腹立つ。

組長が耳元で言う。

『まだ泣けてなかったやろ?誠の前で、オマエは誠に比べたら傷ついてないと思うしかなかったやろ?
オマエは昔から、優し過ぎる誠には、妹らしく泣いたり弱味見せたりは出来んよな...
もぉ我慢せんでええから好きなだけ泣け。好きなだけこうしといてやるから』



いつの間にか泣きながら眠ったらしい。子供かほんま。自分に呆れるわ。

何気に時計を見たら5時間程経ってた。半開きだった目が一気に見開いた。
恐る恐る組長を見たら目が合った。その瞬間、目を背けたらあかん!って思って、でも何も言葉が出んくて戸惑って、見つめ合った状態に(焦)

キスされるかと思うくらい、触れるギリギリで止まった。

『...なに百面相しとんねん』ってペチッと頭を軽く叩かれた。

『いや、だって、また目ぇ背けて傷つけたらって思って...』
(ってかマジ顔熱い!勘弁してや(汗))

『ほうか(笑)寝心地えかったろぉ此処♪どや、毎日こうして寝るか?』

『なに言うてんのん(笑)天国の奥さんが泣くでぇ』

『アイツはそない可愛いタマちゃうわ』

『逢ってみたかったなぁ...相当綺麗なヒトなんよね?昔誰か言ってたけど』

『さぁもぉ忘れたなぁ』

『...そぉなん?淋しい?逢いたい?』

『逢いたいなぁ...』

『うん...逢いたいね...』

組長が仲間じゃ埋まらん淋しさを抱えてたのは解ってる。だから零で埋めようとしてみたり?

それは荷が重い。きっとそんな大役は勤まらん...。

もし今より踏み込んだ関係になってしまったら、絶対に壊れる。

組長も、そう思ってくれたんやろ?だからキスせんかったんやろ?
そう信じたい。

一生大事にしたい唯一の神聖な想いが、関係性が、穢れてしまう。
そんなん死んでも嫌や。


 
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